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隙間

野原に置き去りのままの心が
ススキの高さを越えた体に
追い付けないから
世界よ止まれと口笛を吹く

化粧を覚えたのはいつだっけ?
スカートを脱いだのはどこだっけ?

与えられた女という仕事が
上手くこなせずに歩いて来たけど
誰かを本気で愛せていたら
大人になるのも悪くはなかった

心と体を隔てる壁が
子宮の奥で血を流している
醜い姿を見るのは嫌だ

洋服で隠す第二次性徴
拘りのシャツを選んだ朝は
アイロンを掛けた私の手間を
誰かに褒めて欲しいと思った

ナイフ

大きなキャンバスに描いた自画像
耳を切るには優しい風だった
誰かの所へ旅立ってしまう
あなたの言う事が聞こえぬように
張り巡らせたアンテナを折った

成長期

あなたの唄は血管のようだ
熱く燃えるから体温が上がる

心の中に残った余韻が
宇宙を彷徨うロケットみたいに
エネルギーで溢れているのは
全身を伝う音楽の力

巨大な渦に巻き込まれた磁場を
引き受ける時のあなたの笑顔が
この目で確かめられて良かった

バンドの存在が大きくなる度に
私は置き去りにされた気がして
手作りの縫いぐるみを放り投げて
あなたの足を引っ張ろうとした

私の想いが届きますように
先走る胸の鼓動が
ライブハウスの裏で空回っていた

ファンクラブは無いけれど
会員番号No.1の
ネームプレートに傷が付く前に
伸ばした爪を切ろうと思った

タイムカプセル

裸足の季節に髪をなびかせて
あなたと一緒に海へ飛び込む
ガラスの瓶に入れた
恥ずかしい手紙を探し
私は何メートル先を泳いでるだろう

人の手に触れたら最後は下僕
雨から身を守る為に濡れて
風に飛ばされても探してくれず
骨が折れたなら拾って欲しい
売れ残ったビニール傘は怯える
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