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調律

ダウンコートの集団が動けば
肩をぶつけたり足を踏まれたり
人混みの中で羽根を奪われて

大音量のエレクトロニカを
ヘッドフォンの奥で掻き混ぜるのは
心が折れたモノクロの夜に
世界と僕を切り離す為だ

街で流れるクリスマスソングは
何年経っても変わらないけれど
スーパーで流れるヒットソングの
スピーカーの場所を探してみる

曲に合わせて口ずさみながら
こんな時は世界はひとつだと
大袈裟な声で叫びたくなるが

傘の色が黒から白に変わり
積った雪で重たくなったのに

懐かしい唄が蘇る今は
空の色さえ青に変えてしまう
不思議な心を手の平で包み
誰かにそれを渡したくなった

冬の旋回

日が暮れるまでボールを蹴り続け
ユニフォームの番号は10だった

私にだけ見せてくれたミサンガ
もうすぐ切れそうになっていたけど
あなたはどんな願いを掛けたの?

手紙を乗せたラジコンの明かりが
足元を離れグラウンドを照らし
黒い傘の中で回り続けて
あなたの視線にやっと出会えた

雨から雪へと変わるこの季節
長袖の隙間に風が吹いたら
ミサンガの青は空に吸い込まれ
溜め息の白でキャンドルを消し

寂しくなった左の手首に
お揃いのブレスレットを探そう
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