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新手の嫌がらせかと思ったよ(バク獏sss)


「バクラぁー喉乾いたー!」

「それは俺様じゃなくて冷蔵庫に言え。」

「ハイハイっと……なにこれ、この季節に麦茶?」

「麦茶だぁ?…て、お前それだし汁…」

「ブフッ!」

「うわー…言わんこっちゃねぇ…。」

「ひ…ひどいバクラ!何でお出汁ペットボトルに入れて冷蔵庫に仕込んでんの?こんなトラップってないよ!僕の純潔返せ!死ね!」

「あ?自分で勝手に間違ったんだろ?つうかお前が吹いたそれ、今日の晩飯になる予定だったんだぞ。」

「ば、晩ごはん…」

「朝から準備してよぉ…蟹買ってきてたんだぞ?」

「う…」

「エビも。」

「うう…」

「アンコウとか。」

「ううう…」

「明日になったら駄目になってんなぁ…」

「うううう〜…」

「で?言うことは?」

「……ごめんなさい。」

「よーし、ちゃんと言えんじゃねぇか。」

「でも僕が心に負った傷は簡単には消えないよ。」

「お前少しは反省しろよ。」





**********
「…で、さっきのだし汁に俺様秘伝の調味料を加えた完成品がこれだ。(ドン!)」
「3分クッキングか!ふざけるな!僕の誠意のこもった謝罪の言葉を返せ!」

明日の朝はお味噌汁作ってね(バク獏sss)

「バクラー、お腹すいた。」

「へー。」

「へー、じゃなくて。」

「んだよ。」

「なんか作って。」

「やだね。」

「なんで!」

「めんどい。夜中だし、今。」

「僕がお願いしてるのに!」

「いつ、誰が、お願いしたよ。」

「したでしょー作ってって言ったでしょー。」

「それはお願いとは言わねぇ、顎で使ってるっつぅの。」

「えーなんか作ってよー。」

「ちゃんとお願い出来たらな。」

「えー……、…なんか作ってくれたら食べてあげてもいいよ!」

「却下。」

「バクラ、今急に料理したくなったりしない?」

「却下。」

「君の作ったお味噌汁が飲みたいんだ!」

「今から?」

「まさか、お味噌汁は朝に飲むものだよ。」

「却下。」

「…もー、バクラのけち!」

「けちじゃねーの。おら、もう寝るぞ。お前明日も学校だろ。」

「えー!やだバクラ、起きてよ!お願い!バクラのご飯食べたいんだってばー!」

「そんなに?」

「そんなに!」

「……んだよ、ちゃんとお願い出来るじゃねぇか。」

「うう…なんか屈辱…。」

「で?何食べたい訳?」

「夜中に食べても太らなくて美味しくてお腹いっぱいになるやつ!」

「注文多いっつの。」

「当然だよ!」

「ったくわがままな宿主サマだぜ。」

「……、ねーバクラー。」

「あぁ?まだあんのかよ。」

「んーと、だから、ええとね、」

「なに。」

「……………、ありがと。」

「どーいたしましてー。」



そう言って、ちょっとだけ笑うバクラの表情が。



(ほんとはすごく好きだよ、とか。思ってるんだよ。言わないけど。)





**********
バク獏しあわせになってください

二択だって言ったのに!(バク獏sss)

「おかえりバクラ!」

「………おう。」

「どしたの変な顔して。」

「お前こそ何で手にフライパンと風呂用洗剤持ってんだ。」

「バクラ言ってたじゃん新婚さんごっこしたいって。」

「いつ。」

「今朝。」

「言ったか?」

「僕の夢の中で。」

「夢かよ!」

「夢だよ。で、先にお風呂沸かす?それともご飯作る?それ以外の解答は求めてない。」

「……それ、俺がやんのか。」

「当然。」

「なんで。普通お前だろ。全部済ませてから出迎えんだろ。」

「はあ?僕を何だと思ってるの?お嫁サマじゃないんだよ?宿主サマだよ?」

「お前はセオリーを分かってねえ!」

「黙りなよ三千歳!やるの?やらないの?!」

「やらねーよ!俺は召使か?あぁ?お前こそ俺のことなんだと思ってんだよ!」

「な、なにって、言わ…言わせんなよばか!」

「赤くなってんじゃねーよクソかわいーな!」

「ううううるさいよ!」

「いーからもうベッドいくぞベッド!」

「ちょっと…っ放してよ僕お腹すいたー!ご飯ご飯ご飯ーっ!」

「嫌なら次から自分で作れ!おら、俺様がベッドだっつったらベッドなんだよ!」

「横暴だー!!」





**********
怒鳴り愛…とか…

いつかじゃなくて、あるいは今も。【後編】(バク獏ss)

渇いていたんだと思う。

喉も、身体も、心も。


満たされたくて、認めたくなくて、作り笑いだけ得意になって。

嘘と欲と戯れの睦言を無理矢理に塗りたくられた頃、口をついて出た本音にますます死にたくなった。




*****




(…殺してくれだなんて。あんなの、思い出すのもうんざりするから話題にしないで欲しい。)


「…次、死なせろとか言ったらほんとに死なす。」

「分かった分かった、好きにしてよ。」

「そうじゃねぇだろ。」

「ちょ、っと!寒いよっ。」


勢いよく被っていた布団をひっぺがされて、明るいとこではあんまり見たくない事後の自分の身体が嫌でも視界に入る。
こびりついた体液の所為で、外気がひんやり冷たい。

なんとなく後ろめたくて、真っ直ぐに見下ろしてくる瞳と視線は合わせられなかった。


「…分かったって。もういいよ。」

「おい、」


剥がれた布団を奪い返して布団にくるまると、隙間から侵入してきた手のひらに痣の浮いた手首を掴まれた。

痛い。僕は別に痛いの好きな訳じゃないからそうゆうことされても嬉しくないよ。


「……宿主。」

「なんだよ、まだあるの。」

「………だから…、あれだ。……手当てだけしといてやる。」

「…………何それ、なんで急に優しくなんの。」


これがアメとムチですかー、なんて。
話題が変わったのにほっとしながら布団から首だけを出して言う僕の軽口をよそに、うるせぇ、と言いながらバクラがベッドサイドにあった小さなテーブルの引き出しから包帯と消毒液を取り出す。
そんなものまであるなんて、ほんとこの部屋って便利。

上半身を起こして腕を出すと慣れた手つきで傷口を消毒しながら、最初からそうやって大人しくしろよとかぶつぶつ言われた。
お前ねぇ……誰が好き好んでレイプされるか。

一応、こんなトコに居ていくら傷が増えたって現実には関係ないんじゃないの、って聞いてみたけどどうやら精神ダメージとして影響が残るらしい。
自分で傷つけておいて、やけに几帳面に包帯を巻きながら答えるバクラが少し可笑しかった。


「ははっ、やさしーんだね?どうせなら最初からシないで欲しかったけどねぇ。」

「俺様は欲しいものは力ずくで手に入れる主義だからな。」

「うわ…ますます最低だね。いくら溜まってても、余所でこうゆうことしないでよね。捕まるのは僕なんだし。」

「はっ、余所でするかよ。俺様が興味あるのはお前だけだからな、光栄に思えよ。」

「…………それは知的欲求的な?肉欲的な?」

「残念ながら後者だな。因みにお前に拒否権はねぇ。」


ふむ。リングに宿る意志とやらは、性格も破綻してたけど性的にも倒錯していたってことだ。
なるほど納得、事は深刻だ。


「やだなぁ…これで愛なんて芽生えちゃったらリアルで昨今の少女マンガを体現しちゃうじゃない。」

「なんか言ったか。」

「なんでもないよ。」


綺麗に巻かれた包帯が眩しくて。
手首に絡まる体温がこそばゆい。


(僕のものじゃない、僕の身体。)


あんなに激しいのも、こんなに優しいのも、きっとこいつの気まぐれなんだろう。
そうでなきゃ、身体だけ繋いでなんの意味があるの。


(気まぐれのお遊びなんて興味ないんだよ。ゲームは本気でやるから楽しいんでしょう。)


傷だけつけて満足するなんてどうかしてる。
どうせなら徹底的に壊してしまえばいいのに。


「ねぇ、誰かさんがあほみたく締めあげた首もすっごく痛いんだけど。」

「あー?舐めときゃ治る。」

「っぎゃっ!舐めないでよばか!」

「ってぇな髪掴むんじゃねぇよ!」


綺麗な髪。僕の銀髪。
同じカオ、同じ声。
僕を犯したのは、僕が見放した、僕自身の身体。

これがこんなにあったかかったなんて、知らなかった。


「てめぇ、今に見てやがれ。ヨすぎて声も出ねぇ位啼かせてやらぁ。」

「やれるもんならやってみなっての。」

「上等だコラ。」


どうしようもない日常で、もしかしたらこいつだけが僕の退屈を紛らわせてくれるかもしれない。

諦めていたものを、埋めてくれるかもしれない。
満たしてくれるかもしれない。


(この感情はきっと恋なんかじゃない。)


歪な自己愛でも恋愛ごっこでも、それでも。
ねぇ、やるからには徹底的にやろっか?



「そんなに言うなら、僕が自分で脚開くように口説いてみなよ。お前が居なきゃ生きてけないくらい、どろどろにお前のこと愛させてみなよ。そうして飽きたらいちばん酷いやり方で捨てればいい。そしたらいつか、」


半端な優しさより、執着と依存と、死にたくなるくらいの絶望を見せて。

捨てても捨てられても、それでも欲しくて欲しくて仕方ないくらいになれたら。



「いつかほんとに、愛になるかもね。」




(新しい傷が出来る度に、こっそりと寝ている僕の身体を乗っ取って。包帯もまともに巻けない僕の代わりに、丁寧に薬を塗ってきれいに包帯を巻き直してくれていたお前のことを僕はまだ知らない。)





**********
色々言いたいことはあるけどもう割愛。
最初は一つの記事にするつもりだったけどあんまり長くなったので無理くた前後編に分けました(^ω^)
宿主をいじめられっこ(?)にしてすいませんバク獏は幸せになるべきなのほんと…

いつかじゃなくて、あるいは今も。【前編】(バク獏ss)

身体に傷が付くことは日常茶飯事だった。

拳で殴られたり足で蹴られたりするよりも、モップの柄で殴られたり、果物ナイフで切り付けられることの方が多かった。

理由は、その方が傷がキレイだから、と話しているのを聞いたことがある。
楕円形に青紫色に浮いた痣よりも、直線に走る痣や、真っ直ぐに裂かれた切り口のがイイ、と。
常識人の僕には、なんとも理解し難い理由だ。


(とんだへんたいだよね。虫酸が走るよ。)


中性的と評されることの多い自分の顔立ちは、暴力に快感を感じる歪んだ性癖の同性たちに食い物にされることも多く。
レイプされたことはなかったけど(あいつらはそこまでする度胸は無いらしい)、その中途半端さが逆に僕を苛立たせた。

結局彼らもたったそれだけの人間なのだ。
彼らに興味も無ければ、そんな人間に傷つけられる自分の身体も痛みはあれどどうでも良かった。


(ただ僕の中の、もう一人の人格はそうは思わなかったみたいだけど。)




*****




「おい、」

「………。」

「おいって。」

「…………。」

「おいっつってんだろ、宿主サマよぉ!」


(〜あああうざいなぁ、もう!)


寝たフリでシカトを決め込むつもりだったけど、後ろで呼ぶ声があんまりしつこいから嫌々寝返りをうって無言で振り返る。

うう、痛い…寝返りをうつだけで、どことは言いたくないそこが、その、ものすっごく痛い。
ついでに言えば、縛って押さえ付けられてた手首に無理矢理抱えあげられた脚に腰に、爪たてられた背中に絞められた首に…要は全身?寝たくても眠れない位には、フツーに痛いんですケド。

ベッドに手のひらついて偉っそーに見下げてくるこいつにも、同じ気持ちを味わわせてやりたい。


「なんですかぁ。まだ僕に用事ですかぁ。」

「…怒ってんのかよ。」

「少なくとも良い気持ちじゃないよね、こんなことされて。」


縛られた後の手首に浮いた紫色に近い痣と、ねばついた体液に濡れた太股を布団の端から見せてやったらようやく大人しくなった。

…そもそも、コトの起こりは突然だった。
お風呂場でうとうとしてたら急に無理矢理意識を持ってかれて。
次に目を開けたらそこは僕の心の部屋で、無駄に不機嫌そうなアイツと目が合った。…というより睨み付けられた。
そんなの当然嫌な予感しかしないから、(あ、やばいかも)なんて思った時には隅にあったベッドに叩きつけられてマウントポジションとられて。
みっともなく抵抗しながらも、力で押さえ込まれたら非力な僕は為す術もなく。
あっという間にズボンを剥ぎ取られてサヨウナラ僕の処女。

とにかく痛いし苦しいし、泣いたら押さえつけられるわ、叫ぼうにも無理矢理口の中突っ込まれてしゃぶらされるわ。
想像を越えた激痛と恐怖と屈辱のハジメテは、一言で言うなら最悪だった。
というか、それ以外のものがあるなら是非教えてもらいたい。


(どこぞの少コミでもあるまいし。つーかコレ犯罪。アウト。捕まりますから。)


そんなんだからさすがに僕もそれなりにショックだった訳で(まず自分の心の中で犯されるってどういうことだよ)、今も泣き寝入り状態なんだけど。
それなのにコイツのふてぶてしさったらない。

キズモノにされて枕を涙で濡らすいたいけな僕の隣で、さも一仕事終えましたって顔で寝ようとしてやがったからベッドから蹴り落としてやった。
ほんと何で僕の中にこんな奴が寄生してるんだろう。


「…お前さぁ。悪い事したなー、とかさぁ。全然思ってないでしょ。」

「あ?何で俺様が悪びれなきゃなんねーんだよ。」

「うわぁ…今ので好感度更にガタ落ちだね。」


いやまぁ、そもそもこいつに好感とかそういう好意的な感情は持ってないんだけども。
それでも今のみたいな発言されたら、男として…ってゆうか人として、完璧に駄目な部類の生き物だと思う。因みに思念体のこいつを生き物として扱うのは正しいのかどうか、とかゆう理論は今のとこ問題じゃない。
だってこの心の部屋に居たら、あいつの感触がはっきり分かるんだもん。
触覚、体温、匂い、……せーえきまで。
それらを備えたあいつはこの部屋では生きてるとしか思えない。


「お前だって万更でもなかっただろ、よがってたじゃねぇか。」

「はぁあ?いつだよ。」

「首締めた時。」

「…アレはよがってたとは言わない。声にならない悲鳴って言うの。」


しばらく時間は経ってるはずなのに、まだ喉に異物感がある。
絞められた所為じゃない異物感もあるけど…うん、出来るだけ考えないようにする。


(…熱っぽい手のひらに、ねちこく気道を撫で回された。)

(きつく力を込められたら、息の仕方を忘れた。)


痛くて、苦しくて、散々なぶられた下半身は張り詰めて。

痛いのと気持ち良いのが交じり合ってぐちゃぐちゃになった頃、考えることも放棄した。


このまま全部忘れてしまいたい、誰も僕のことを覚えてくれてなくていい。

消えたい、
やめたい、
なくなりたい、
やっと、終われる。



『…はやく…、殺、して、』




それはきっと、紛れもなく僕の本心。





**********
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