話題:140文字小説に挑戦!

「風を切る。」
と言う表現がある。
私は、今それを目の当たりにした。
彼はまさに風を切って、駆けていく。
一心不乱に真っ直ぐに。
眼前を過ったのは一瞬。
振り向けば彼の背中はもう遥か遠く。
他人の喧騒など後ろに捨てて、向かい風ももろともせず、彼は今もひたすらに風を切る。
魚を咥えた猫を捕まえに。