この映画を見るのは二度目。殺人で無期懲役服役中の兄と、「犯罪者の家族」として悲惨な仕打ちを受ける弟の愛憎物語。

2007年の公開で、この年東野圭吾は直木賞を受賞、感動的傑作と名高いこの「手紙」の映画化は小説に限りなく忠実である、と話題になった。


兄:玉山鉄二&弟:山田孝之、その妻:沢尻エリカ。

なんかもう、どうすることもできない不幸の輪廻。両親がちゃんといて普通の暮らしをしていたら兄はこんな事件を起こさなかっただろう。
また断ち切れない血の繋がりにより、周囲の人は弟を避けたり遠ざけたりする。同じような境遇の人と結婚して強く生きようとするが、今度は自分の娘が世間からはじかれていってしまう。


どうすることもできない現実の前に行き詰まる。

まるでハッピーエンドのように描かれていたけれど、実は何一つ解決などしていないし「兄が殺人犯」という事実は絶対に消すことはできずついて回る。

犯罪は加害者も被害者もそれぞれの家族も傷つくし取り返しがつかないのだという現実がひしひし伝わってきました。



=以下全編のあらすじ
両親もなくたった二人で暮らす兄と弟。兄は弟のために必死で働き弟は兄に感謝している。

ある日弟の学費欲しさに兄は盗みに入り誤って家人を殺してしまい刑務所に。兄と弟は互いに手紙のやりとりをし始める。

弟は大学進学を諦め、お笑い芸人を目指すも、テレビやCMの仕事が入り始めた頃、兄が殺人犯であることが世間に知られ夢をあきらめ就職する。

だが就職先でも常に「殺人犯の兄」が弟の道を閉ざし、愛する女性とも別れることに。弟は自分から全てを奪った兄を疎ましく思い始め手紙を無視し返事も出さなくなった。

失意の弟を「逃げてはいけない」と励ます女友達。弟は彼女と結婚し家庭を持つ。実は彼女は弟の代わりに兄と手紙のやりとりをしていたのだった。

僅かな平和の後、今度は幼い一人娘が友達に避けられ始める。兄のことが知れ渡ったのだった。

意を決して弟は数年ぶりに兄に手紙を出し、これまでの悲惨な出来事を全て打ち明け、もう二度と手紙を出さないでほしい、と頼む。

ある時芸人時代の相方が刑務所の慰問ステージに出ないかと誘いに来て弟は応じる。

ステージに立つ弟と服役囚としてそれを客席から見る兄、その目には涙が流れていました。