スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

泉太郎「こねる」@神奈川県民ホールギャラリー

去年のアサヒで展示をやっていらして、それが超面白そうだったんですが見に行けず。
県民ホールでやるなら見に行かねばと、行ってきた次第です。
会期すごくギリギリだけども!


なんか面白そうなインスタやる人ってイメージだけで行きました。
そして間違ってはいませんでした。

映像インスタレーションで本気でふざけてました。
壁に穴開けて粘土詰めたり、ビンのなか泳いでみたり。


泉さんの映像作品は、ほとんどその展示室で撮られたものでした。
何かパフォーマンス(行為)をし、それを映像化したものをその行為の跡の上や近くにに投影する、という手法がよく見られました。

たとえば《鳩》
何故このタイトルなのかさっぱりですが。

ホワイトボードに投影された映像は、泉さんが音声に合わせてホワイトボードに絵を描いているものです。
「髪は、顎の下まで伸びてます」
「ほくろが鼻の右にあります」
といった音声を聞いて、その通りに似顔絵を描いていきます。

映像の投影されているホワイトボードの後ろに衝立てがあり、衝立ての中に入るとそこにも映像が。
その映像では人が鏡を見ながら自分の顔の特徴を述べています。

つまり、鏡を見ながら自分の顔の特徴を述べている人の映像と、それを聞きながらホワイトボードに似顔絵を描く泉さんの映像が、壁一枚を隔てて展示されています。

描く泉さんの映像は実際に描かれたホワイトボードに投影されています。
ホワイトボードには描かれた跡が残ったままです。
また、衝立ての中の映像はモニターでしたが、モニターの斜向かいには映像の中で使われているものと同じ鏡があります。

この作品に関して感想を言えば、本物(本人)と偽物(似顔絵)が壁の表裏に見せられたように感じました。
しかし本物だと感じたものは鏡を通してしか見ることは出来ず、鏡像でしかない。
さらに、本物にしろ偽物にしろ映像を通じてしか見ることが出来ない。
とすると本物は、本人の映像ではなく行為の跡として残されたホワイトボードと鏡なのではないかと。
まとまりもなくそんなことを考えました。

あと、泉さん適当すぎる。笑
むしろ忠実すぎると言うべきか。
「髪は顎の下まで伸びてます」
って言われて、顎の真下まで髪の毛描いてました。
変なかぶりものみたいになってました。
絶対違うよ。


《無題》
私にはふざけてるようにしか見えなかったけど、泉さんは本気でした。
そんな作品。

展示室のなかに壁が平行に4枚くらいあって、それぞれ小さな四角っぽい穴が開いています。
その穴に大量の粘土を詰め込んで、逆側から出すという、なんとも無意味な行為を映像化した作品。

映像は2種類ありました。
まず、粘土が出てくる側から撮ったもの。
その映像はまさに粘土が出てきたであろう壁に投影されていました。
4枚ある壁にそれぞれ。
粘土の出てきかたが、結構気持ち悪い。
粘土が緑なこともあって、怪物的なものを想起させました。
あと、壁に粘土がべったり付着しているのも気持ち悪い。
つまり、相当気持ち悪いんです。見た目が。

て、2つ目の映像は、壁に粘土を詰め込む泉さんの映像。
柔らかな粘土だとしても、小さな穴を通すのは一苦労らしく、物凄く気張ってました。
とにかく本気なんですよね。
笑わざるをえない。
だってくだらなすぎる。


《小さなキャミー》
小さな木製の小屋を複数人で転がす映像が、展示室に入ってすぐにあります。
小屋がいかにもな三角屋根の小屋で、五角形です。
なんとなく、六本木クロッシングで木の構造物を引き倒してた加藤翼さんを思い出します。

で、その木製の小屋は展示室の一番奥にあります。
たぶん転がされた場所なんでしょう。
小屋を窓から覗いたら、そこにも映像が。
それは、転がされている小屋の中をヘルメットとゴーグルをして、しっかりと固定されて座る泉さん。
小屋の中はおそらくそのままなんでしょう、すごく散乱してます。

映像見ていると、何でそれ置いたんだってものがたくさん登場します。
液体とか、粉末状の何かとか。
転がすんだからどうなるかわかるだろうに、なんでそれ置いたんだ。
傾くたびに、液体をかぶったり、粉が舞ったり、壁に掛けられたシャツが顔に直撃したり。

何でこれをやろうと思ったんだろう。
私の横で映像を見ていた外国人の方々が大爆笑でした。


雑多でごちゃごちゃしてて面白くて、私は泉さんが好きになりました。
オキレイなものとか高尚なものとかが全くない、いかにも現代アート的な展示でした。
県民ホールギャラリー、去年の「日常/場違い」も行っときゃよかったな。
ただ、作品タイトルがわかりづらい形でしか提示されなかったことが不満です。

会期はギリギリ明日まで。
東京アートビート
www.tokyoartbeat.com
続きを読む

ドガ展@横浜美術館

見たのはだいぶ前になりますが、とりあえず感想を。


あんまり印象派とか風景画は好きじゃないけど、ドガは風景画よりも踊り子とか人間を描いてるし、古典主義から発してるし、招待券もらったし行ってこようかなと。

そんな感じで行ってきました横浜美術館。
もしかしたら金氏徹平展以来じゃないでしょうか。
美術館の前の噴水がお花でいっぱいになってて驚きました。


感想を一言で言えば、やっぱり印象派は苦手です。
美術史上すごく意義のある動きだったのはわかっていても、作品にあまり魅力を感じられません。
そして印象派の展覧会はやたら混んでいて、うるさく得意顔でうんちくを語るおじちゃんおばちゃんが会場内に一人はいるのです。
好きになれないのはたぶんゆっくり見れないのも原因かもしれません。

ドガ展に関して言えば、ドガの作品を見せることに一生懸命で、ドガの革新性とか、何故彼が古典主義から印象派へと様式をかえたかなどの説明がほとんどなくて、私は不満でした。
なんとなく、ただ並べてある感。
目新しい発見もなく、展覧会として開催した意味あるのかちょっと疑問…。


もちろん《エトワール》や《浴盤》は素晴らしかったですが。
パステルって独特の風合いが出るんですね。
油絵だとテカテカしてしまって絵画世界と現実世界の前に膜があるように感じますが、パステルだと遮るものがないというか。
しっくりと絵画世界に鑑賞者を引き込むような。


総じていえば、踊り子と馬と浴女ばかりでした。
浴女主題のものは、後ろからの構図だったり屈んでいたりで顔が見えないものばかりだったのが印象的でした。



会期は12月31日まで。
ドガ好きな方は是非。

東京アートビート
www.tokyoartbeat.com

五島記念文化財団20周年記念展「美の潮流」@Bunkamuraザ・ミュージアム

本日まですが感想だけ。

美術検定が午前で終わるし、どうせ都心まで行くなら午後何か見て帰ろうと思いまして。
数日前から考えてましたらとに〜さんのブログで紹介されてまして。
最終日だし、なんか無料らしいし、渋谷は帰るとき乗り換えるし、渡りに舟と。



まずこの展覧会名では何が展示されてるかさっぱり検討がつかないのも若干もったいない気がしてなりませんが。
まさかの現代美術展です。
なんでこんなタイトルにしたんだろう…。

さて、この五島記念文化財団とやら。
「優れた人材の発掘と育成を通じて、真に豊かな社会の実現にお役に立ちたい」という理念のもと、「芸術文化の分野で、有能な新人の顕彰および海外研修、帰国後の成果発表の機会を助成支援し、わが国のみならず世界の文化の向上・発展に寄与する」ことを目的にしているそうです。

この展覧会は財団設立20周年を記念して開催されており、
歴代美術新人賞受賞者41名が出展しています。

出展者には去年のStitch by Stitchの手塚愛子、今年のアーティスト・ファイルの石田尚志などなど。
そしてこの新人賞、加藤美佳とか束芋とかも受賞してるんですね。
私がナントカ賞的なものをあまり知らないからもあるのですが、聞いたことない賞だったのでなんかびっくり。


手塚愛子《rect08-1/F20》
手塚さんは刺繍の人なイメージ。
この作品では花柄の布を木枠に貼りカンバス状にしてあります。
中央の部分のみ横糸を抜かれてほぐされています。
縦糸だけの布になる前の状態を部分的に作り出されています。
コンセプト云々より、その器用さに衝撃。

坂本幸重《不二》
超かっけー!!
ってなった絵です。
上部には金地に黒で富士山が描かれていて、下部には卓上とも町並みともみれるような風景、と黒猫。
使われている色は黒あるいは暗い緑や青系の色のみです。
日本画的な素材を使っているようでした。(キャプションに材料が書かれてませんでした…)
凄く神々しい富士山と雑多なものの対比。
超格好いい。

木村太陽《Feel Your Gravity》
超絶気持ち悪い作品。
でも私はこの作品に一番惹かれました。
どんな作品かといえば、開いた状態のファッション雑誌を掘った作品。
掘った先には眼。眼球。
開かれたページがちょっと際どめな感じのページで、女性の肌や服のうえにおびただしい数の眼球があります。
雑誌のページが層になって見えるのも気持ち悪い。
どこに惹かれたかというと、キャプションに書いてあった内容です。
この作品は作家が好きなところを掘れるのではなく、目の部分を掘らねばならない。
そうすると、作家は作品に作らされているような構図となる。
作っていながら作らされているというのはとてもおもしろい。
そして、夜中とかに夢中になってこれを制作する、あるいは制作させられる様を想像すると、なんとなく怖い。

ヤノベケンジ
作品というか、2003〜2010年に行われたプロジェクトのドキュメントでした。
60分でしたがアソート的な構成だったので2つのプロジェクトのだけ見てきました。
全体的な感想として、ヤノベさんはくだらないこと(というと語弊があるかもですが)を本気でやる大人なのかなって思いました。笑

「太陽の塔乗っ取り計画」ってのがありまして、大阪にある岡本太郎の《太陽の塔》の目の部分に腰掛けるっていうプロジェクト。
途中警備の人が来ちゃう騒動があったり、風か強くてあんまり腰掛けられなかったりと、普通に笑ってしまう出来事満載。
バラエティー見てる気分でした。

「アトムスーツ」はアトムスーツっていうほとんどモビルスーツなものをヤノベさんが作って、それが実は放射能を防御するスーツで、そのアトムスーツを着てチェルノブイリを歩くプロジェクト。
(アトムスーツでググるとそのエキセントリックな見た目がわかります。笑)
このプロジェクトのコンセプトよりも、私はドキュメントの中で出てきた「彫刻のなかの彫刻家」という言葉がおもしろいと思いました。
アトムスーツがヤノベさんの彫刻作品だとすると、そのスーツの中に入ることでヤノベさん自身がアトムスーツの動力となります。
彫刻家が自分の彫刻に取り込まれてしまう、するとこのプロジェクトを行っているのはヤノベケンジなのかその彫刻なのか。
どうとでも考えられそうな作品。



これ好き!って作品と、よくわからないなぁって作品に別れました。
抽象彫刻って、どう接したらいいの…。

草間彌生展 ワタシというナニモノかへの問い@吉祥寺美術館

草間彌生。
いわずと知れた現代作家です。
最近じゃ携帯のデザインとかやってましたね。
斬新すぎて私はおったまげました。
あの犬の形の携帯はどうやって使うんだ…。


一昨年の赤坂アートフラワーでスタンプラリーをコンプリートした記念に、草間さんのドット満載なかぼちゃのファイルをいただきました。
それは現在私の展覧会チラシファイルとなっています。

そんなわけで、草間さんといえばドット、草間さんといえばかぼちゃ。
このイメージのまま見てきました。



彼女の創作の原点は幼少期からの幻覚幻聴体験に基づいています。
その体験によって網目やドットが画面上によく表れます。

何より驚いたのは、線のタッチだけで「草間作品だ!」と思わせること。
1952年の初期作品、墨で描かれた《Infinity Nets》は網目の絵です。
縦線と横線だけで構成された絵ですが、人目で草間作品だと思わせる力強さや迫力や執念のようなものを感じます。


昔の小さなコラージュ作品なども出ていました。

まさかの乙女っぷり。
その乙女ぶりたるや、驚嘆せざるをえません。
考えてみればモチーフはかぼちゃとか花とかドット(見ようによっては水玉?)とか、なんとなく女の子の好きそうなものが多いですよね。

《鳥》はちょっと手帳にありそうな感じ。
2羽の鳥が枝に止まっている写真を楕円に切り取って、まわりを金で縁取る。
それをマリン系の青い紙のうえに貼りつけ、まわりを線(網目)で装飾する。
その上から大きめのドットを貼りつける。
すごく手帳にありそうな作品なのに、網目とドットが使われていて、紛れもなく草間作品。


シルクスクリーンの作品は花や、きのこ、ドレスなどの服飾、果実などのモチーフが多く、やはり乙女っぽい。
すごく可愛い。

でも無限に広がっていくようなドットや網目で構成されていて、余白は一切無くて、画面は埋め尽くされています。
少し恐怖を感じるような。

抽象的な作品になると無限に広がるドットと網目の威力は増して、身体感覚にも影響します。
《朝の太陽》という太陽のような暖色の環状のグラデーションの上から、渦巻状に青のドットが描かれている作品は、
ずっと見続けていると、画面が歪んでいくように、あるいは揺らいでいくように見えてきます。

《花芯》は花を上から見たものを敷き詰めたような絵ですが、花の中央の芯となる部分がドット、花びらが網目となり無限に広がっていきます。
網膜に絵が貼りついてしまったかのような錯覚を覚えました。



そんな可愛いけど毒気のきついような展覧会でした。

会期は7日まで。迫ってます。

東京アートビート
www.tokyoartbeat.com
前の記事へ 次の記事へ
プロフィール
Sさんのプロフィール
性 別 女性
年 齢 34
地 域 神奈川県
職 業 フリーター