去年のアサヒで展示をやっていらして、それが超面白そうだったんですが見に行けず。
県民ホールでやるなら見に行かねばと、行ってきた次第です。
会期すごくギリギリだけども!
なんか面白そうなインスタやる人ってイメージだけで行きました。
そして間違ってはいませんでした。
映像インスタレーションで本気でふざけてました。
壁に穴開けて粘土詰めたり、ビンのなか泳いでみたり。
泉さんの映像作品は、ほとんどその展示室で撮られたものでした。
何かパフォーマンス(行為)をし、それを映像化したものをその行為の跡の上や近くにに投影する、という手法がよく見られました。
たとえば《鳩》
何故このタイトルなのかさっぱりですが。
ホワイトボードに投影された映像は、泉さんが音声に合わせてホワイトボードに絵を描いているものです。
「髪は、顎の下まで伸びてます」
「ほくろが鼻の右にあります」
といった音声を聞いて、その通りに似顔絵を描いていきます。
映像の投影されているホワイトボードの後ろに衝立てがあり、衝立ての中に入るとそこにも映像が。
その映像では人が鏡を見ながら自分の顔の特徴を述べています。
つまり、鏡を見ながら自分の顔の特徴を述べている人の映像と、それを聞きながらホワイトボードに似顔絵を描く泉さんの映像が、壁一枚を隔てて展示されています。
描く泉さんの映像は実際に描かれたホワイトボードに投影されています。
ホワイトボードには描かれた跡が残ったままです。
また、衝立ての中の映像はモニターでしたが、モニターの斜向かいには映像の中で使われているものと同じ鏡があります。
この作品に関して感想を言えば、本物(本人)と偽物(似顔絵)が壁の表裏に見せられたように感じました。
しかし本物だと感じたものは鏡を通してしか見ることは出来ず、鏡像でしかない。
さらに、本物にしろ偽物にしろ映像を通じてしか見ることが出来ない。
とすると本物は、本人の映像ではなく行為の跡として残されたホワイトボードと鏡なのではないかと。
まとまりもなくそんなことを考えました。
あと、泉さん適当すぎる。笑
むしろ忠実すぎると言うべきか。
「髪は顎の下まで伸びてます」
って言われて、顎の真下まで髪の毛描いてました。
変なかぶりものみたいになってました。
絶対違うよ。
《無題》
私にはふざけてるようにしか見えなかったけど、泉さんは本気でした。
そんな作品。
展示室のなかに壁が平行に4枚くらいあって、それぞれ小さな四角っぽい穴が開いています。
その穴に大量の粘土を詰め込んで、逆側から出すという、なんとも無意味な行為を映像化した作品。
映像は2種類ありました。
まず、粘土が出てくる側から撮ったもの。
その映像はまさに粘土が出てきたであろう壁に投影されていました。
4枚ある壁にそれぞれ。
粘土の出てきかたが、結構気持ち悪い。
粘土が緑なこともあって、怪物的なものを想起させました。
あと、壁に粘土がべったり付着しているのも気持ち悪い。
つまり、相当気持ち悪いんです。見た目が。
て、2つ目の映像は、壁に粘土を詰め込む泉さんの映像。
柔らかな粘土だとしても、小さな穴を通すのは一苦労らしく、物凄く気張ってました。
とにかく本気なんですよね。
笑わざるをえない。
だってくだらなすぎる。
《小さなキャミー》
小さな木製の小屋を複数人で転がす映像が、展示室に入ってすぐにあります。
小屋がいかにもな三角屋根の小屋で、五角形です。
なんとなく、六本木クロッシングで木の構造物を引き倒してた加藤翼さんを思い出します。
で、その木製の小屋は展示室の一番奥にあります。
たぶん転がされた場所なんでしょう。
小屋を窓から覗いたら、そこにも映像が。
それは、転がされている小屋の中をヘルメットとゴーグルをして、しっかりと固定されて座る泉さん。
小屋の中はおそらくそのままなんでしょう、すごく散乱してます。
映像見ていると、何でそれ置いたんだってものがたくさん登場します。
液体とか、粉末状の何かとか。
転がすんだからどうなるかわかるだろうに、なんでそれ置いたんだ。
傾くたびに、液体をかぶったり、粉が舞ったり、壁に掛けられたシャツが顔に直撃したり。
何でこれをやろうと思ったんだろう。
私の横で映像を見ていた外国人の方々が大爆笑でした。
雑多でごちゃごちゃしてて面白くて、私は泉さんが好きになりました。
オキレイなものとか高尚なものとかが全くない、いかにも現代アート的な展示でした。
県民ホールギャラリー、去年の「日常/場違い」も行っときゃよかったな。
ただ、作品タイトルがわかりづらい形でしか提示されなかったことが不満です。
会期はギリギリ明日まで。
東京アートビート
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