そんなのウソだって思ってた。
雷に打たれる?一目惚れ?
何それ?
頭おかしーんじゃねーのって。
だって、そんな事いままで無かったし、それどころか付き合っても俺を本気で好きにさせる女だって居なかった。
だから、女は金を運んでくるかセックスの相手くらいにしか思ってなかった。
そんな俺が。
まさか。
初めは戸惑った。何かの間違いかと思った。
でも、こんな気持ちになるのは初めてなんだ。だから、偽物じゃないって確信した。
もちろん、俺はホモだったのかと悩みもした。でも、彼以外の男をいいと思ったこともないし、セックスなら女で事足りてたのに。
…だから、確定なんだ。
俺は…
あの日見た、あの赤毛の男の子に惚れちまったんだ。
大したもんだよ。
このギンジ様のハートを一発で射止めるなんて。
今まで、誰にも出来やしなかった芸当をいとも簡単に。
一目惚れした以上に、俺はあの子に興味を持った。
一体、俺は彼のどこに惹かれたのか。何より、俺の心理が不思議でしょうがなかった。
俺は、何とか彼に…
そう、アッシュに近づくために悪いがガイを利用した。
…ていうか。俺の予感じゃあいつはルークの事が好きだから、これは利用じゃなくて協力だ。うん。
想いを告げたとき、流石にガイはビビってた。お前もルークが好きなくせに、とは思ったがすぐに否定されたからそれ以上突っ込まなかったけど。
まあ、経験豊富な俺様に言わせると…
そんなことじゃ、この先辛いぜ?お前…。
人の事はさておき。
俺はアッシュとなんとかコンタクトを取ろうと、ガイにルーク入れて4人で食事を出来るようにセッティングしてもらった。
大学近くのモツ鍋屋。
「いや〜〜〜、あの時は突然だったよな〜〜〜!改めて俺、ギンジってんだ。ガイの大の親・友で、ルークの事は前から知ってるよ。よろしくね〜アッシュ君v」
「は、はい…よろしくお願いします。」
アッシュ君は礼儀正しくぺこりとお辞儀をした。
もーーー!!そんな真面目なところもマジかわいいし!!
「アッシュ、ギンジさんは工学部なんだ。お前、工学部行きたいんだろ?いろいろ教えてくれるんじゃないか?」
「え?そうなんですか!!??」
ルークが俺の紹介をすると、アッシュの俺を見る目つきがみるみる変わってきた。
ナーイスフォローだルーク!!
何時になく真面目に学部や授業内容の事を答えてやる。もちろん、アッシュと仲良くなるために。
盛り上げるのは俺の得意分野。
一旦アッシュの信頼を得ればこっちのもんだ。
最初はカタかったアッシュも、俺の話術で次第に解き解れて行った。よし、第一段階成功!
んで、帰り際。今後も何かあったら、って、ちゃっかり赤通もしてケー番ゲット。流石、俺。
これでいつでもアッシュと連絡が取れる。
二人を見送って、徒歩でバス停まで歩いた。
「お前…ほんと、お手柔らかにな…」
「な〜にが?」
「だっておまえ、手ぇはえぇし!言っとくがアッシュ君は男なんだからな!!そうそう簡単にいく相手じゃないんだからな!その辺謹んで…」
「俺を誰だと思ってんだ、友達長いだろ?ギンジ様だぜ〜?」
そう吐き捨てると、ガイははあ、と大きくため息をついて地面を見下ろした。
まあ、お前の不安も分からんでもないけど。
俺は狙った獲物は外したことはない。
相手が男だからって、失敗するなんて思えない。
何てーか、変な自信がある。
「俺さ…。お前よか、うまくやる自信あんぞ?」
…そう。
想いに気づけないでいるお前よりは、な。
ガイがへ?と、素っ頓狂な顔で俺を見たと同時に、バスがプー、と扉を開けながら到着した。