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情熱をウザく語りつくすガイルク熱の掃きだめ場。
ルークを連れて帰って、また例のモツ鍋屋に行った。
ルークも吹っ切れたみたいで、今まで食欲無かったって言うのがウソみたいによく食べる。まあ、良かったんだけど…そんなに患ってたんだなあ。その相手に。そういえば山で抱きしめた時、ちょっと痩せたなって思った。想像通りに華奢な体は、俺の腕にすっぽり収まった。人を抱きしめたのが久し振りで、ちょっとドキドキした。相手はルークだってのに。人のぬくもりに触れるのが、こんなにあったかいなんて思ったのも久々だった。
食べ終わって礼を言うルークを、家に誘った。
このまま帰すよりも、もう少し見守っていたい気分になった。
ルークは戸惑いながらも俺の申し出を受けてくれた。ルークの部屋に行くのは慣れたけど、俺の部屋に呼ぶのは初めてだ。
…と考えたらなんだか変に緊張してきた。
どうしたんだ俺?さっきから妙に動揺してないか?かといってこの動揺の正体も分からない。一体、なんだってんだ。
ギンジには悪いけどバイクを借りたままアパートに向かった。部屋に入ってルークを招き入れると、初めての訪問でルークも緊張してるのか、ちょっといつもより表情が硬い。俺の前でそんな硬くなること無いのに。俺はいつでもお前のよりどころでありたいとか、そんな風に思ってる…だなんて、ちょっと照れくさいから言うのやめた。
ルークがシャワーを浴びてる間、布団を用意しようと思ったけど姉さんが来たときの布団をクリーニングに出していたため、来客用のがないことに気がついた。
まあ、しょうがない。一緒に寝るか。ルークだから全然平気だ。
ルークと交替で俺もシャワーを浴びてベッドに向かった。布団がないからってルークを隣に寝かせる。隣でちょっと照れたようにしてるルークがかわいくて、風呂上がりで暑かったけど気にせずに寄り添ってやった。山道の運転で疲れてるのか、ベッドに入ったとたんに気だるさが襲ってきた。本当はもう少しルークと喋ってたかったのに。すぐ隣のルークの髪から、風呂上がりのいい匂いがする。それをいうと、俺の香水の話になった。そうか、つけ過ぎは臭いか…じゃあ、もうやめよっかな。ルークに嫌われたくないから。心の中だけで思って終わろうとしたことが、眠さでボケてるのか口をついて出てしまった。
あ、しまった…いうつもりのない事まで言っちまった…。ルーク、なんて思ったかな…?
そう思いながら、眠気には勝てずに意識が離れていった。
ルークを拉致って、街からちょっと離れたところにある山に行くことにした。
夏至も近いから日が長くなっててまだ明るかったけど、着く頃には暗くなってるだろ。本当はあんま男同士で行くような所じゃないけど、あえて選択。まだ彼女が居た時に教えてもらったデートスポットだ。
バイクを走らせて30分くらい、山に到着。
そこから更に山を上っていく。山頂付近の公園でバイクを止めて降りた。
明かりがないからかなり足元が暗い上に、絶景スポットは入口からちょっと入った所にある。階段も多いし、腫れ物を扱うようにルークの足元を心配しながら、手を繋いでそこまで誘導してやった。彼女にもそんなことしなかったのに。ルークは男なのに、何故か守ってやりたくなる。
この山は街から離れていないために、夜景がものすごく綺麗に見える。山の中は明かりもないから、本当に透き通るように光の粒が瞬いて見える。こんなロマンチックなものを見せてルークがどう思うかわからないけど、落ち込んでるなら少しでも感動を与えてやりたかった。
失恋したのか、と聞くと、まだ告ってはいないって。じゃあ失恋と決まったわけじゃないんだな。よかった。まだ望みがあるなら頑張れんじゃん。
ルークの事は何でも応援してやりたい。勉強も、恋も一緒だ。
…でも。
さっきから、少しだけ胸の奥が苦しい。何か緊張にも似たような感覚だ。これ、何なんだろう?
とにかく、落ち込んでるルークを慰めて…というか、勇気付けてやりたくて、思い切り抱きしめてやった。
暗闇の中涙を流して俺に縋り付くルークは、本当に…はかなくて、ずっと、守ってやろうって勝手に心で誓った。
それにしても、ルークが恋愛で悩んでるからって俺も一緒に心苦しくなるなんて、俺どんだけルークに感情入ってんだよ。でも、正直な気持ちだからな。
この感情移入の賜物の胸の妙な苦しさを紛らわすため、ちょっと強めにルークを抱きしめた。
俺、何かマズイこと言ったんだろうか?
あの日からルークは、電話に出てくれない。授業ももちろん断られてる。
気分が悪くなったって言ってたけど、本当なんだろうか?疑いたくはないが、突然すぎるだろ。何かあったんだとしか思えない。
あれからもうかなりたつぜ?どうしたってんだよ、ルーク?
…と、カレンダーを見たが意外と3日しか経ってないことに気がついた。
もう、何日もルークに会ってない気分だ。
…それだけ、ルークは俺の日常に溶け込んでいたんだろう。
サークルの最中もイラついてたら、ギンジに察知された。
アッシュ君にもう告白したとか聞かされてビビった。…それも重大ニュースだが、もっと俺を引き付けた情報は、ルークが恋患いで落ち込んでるとかいう事だ。
本当に病気じゃなかったことに安心して、いてもたってもいられなくなってギンジにバイク借りてソッコー拉致りにいった。
だって、ルークが悩んでるって聞いて、俺が何とかしなきゃって思ったんだ。
全て、衝動的にやったことだった。何で、だなんて考えすら浮かばなかった。それだけルークと接触することに必死だったんだ。そのあと、俺は辛い事実を突き付けられる事になる…とは、この時は夢にも思っていなかった。
…ただただ、ルークの事に対して必死だった。
翌日。
授業も身にならなかった。
それは、自分の常識では考えられない事が起きたからだ。
俺、今までこういうときどうしてた?
自分一人で悩んで、解決してきた筈なのに。
今回ばかりは余りに不測の事態で、答えが出て来ない。
どうすればいいんだ…
あ…待てよ。
いるじゃねーか、打ってつけの奴が!
何で今まで忘れてたんだ!?
部活終わってソッコーで家に帰り、ルークの部屋をノックした。
ルークは部屋にいた。
居たは居たんだが。
今週の頭からずっとそうだった。
俺の回りで色々起きてて、ルークの変化をすっかり忘れてた。
ガイさんに気持ち悪いとか言われてたんだよな…。
あと、実はガイさんと両想いなんだって聞かされたんだった…!こんな重要な事まで忘れてた…。
でも、これは本人たちの問題だ。俺が口を挟んでいい問題では、当然ない。知らないフリが一番だ。
それに、今は俺の悩みを聞いてもらいたい。
正直に全部話した。
ギンジさんに告られたこと。
そしたら、さすがのルークもビビってた。んで、逆に男にコクられて気持ち悪いのかとか聞いてきて。
そっか、気になるよなと思ってそこは正直に話した。ちゅーか、お前両想いなんだって…。そんな悩む必要ねーんだって。
まあそれは置いといて、俺の答えはこれだ。
「俺はソノケはないけどギンジさんのことは嫌いじゃないし、今すぐどうこうは考えられない」。
…ん?
そっか。
そうだよ。
冷静に考えたらそれが全てだ。
今すぐには考えられないなら、ゆっくり考えて行けばいいじゃないか。
何も、男だからってギンジさんの想いを真っ向から跳ね退けることもない。ちゃんと考えた上でダメならダメでしかたねーし、ギンジさんも納得してくれるだろう。そーじゃん、そーなんじゃん。何悩んでたんだろ?
でも。
ルークから返って来た答えは、もう想いは諦めていいから普通のいい関係でいたい、だった。
あああ!違うって!そんな必要ねーんだって!
教えてやりたいのは山々だけど、何度も言うがこれはルーク自身の問題だ。ルークがそう決めた以上、俺は口出し出来ない。
って考えてたら、ルークの携帯が鳴った。
ガイさんからだ。
声がでかくて、会話はモロぎこえだ。今からルークを迎えに来るって。
良かったなとルークを見送って、自分の部屋に戻った。これで、ちょっとは関係が改善するかもしれないし、もしかしたらガイさんの方からコクってくれるかもしれない。
ほっと胸を撫で下ろした時だった。
計ったように俺のケータイが鳴った。
…ギンジさんだ。
恐る恐る出ると、意外にいつもと変わらない感じで、ちょっと調子が狂った。
「よ、アッシュ。今よ〜、ガイがそっち行っただろ?俺、昨日の事あいつに相談したんだけどさ。そしたらあいつの方がルークの態度に悩んでてよ〜、俺が今すぐ拉致りに行けってアドバイスしたってわけよ。んとに、せっかく両想いなのにな〜?はがゆいっつーか、なんっつーか。」
そういって笑い出すギンジさんに、少しホッとしたと同時に、俺の事を相談したことを俺に話すか?と思ったら、何かギンジさんらしーな、と思ってちょっと可愛く思えた。
「そーですよね。俺もルーク見てて歯痒かったです。ていうか、ありがとうございます。ギンジさんのおかげで、うまくいくかもしれないですし」
「そりゃ、うまくいってほしいっしょ。俺らくっついたらダブルカップルだべ?」
しれっとそんなことを言ってのけるギンジさんは、一体どこからそんな自信が沸いて来るのか。でも、そういうとこは実は嫌いじゃなかったりする。
しばらく黙ってたら、ギンジさんの方から話してきた。
「そうそう、あと、俺に敬語とかやめろよ?喋りにくいったらねーや。」
「えっ…そ、そんなこと言われても…!」
上下関係厳しい運動部にいたら、目上に対する礼儀は絶対だ。急にやめろと言われても困る。
「ま、徐々にそうしてってよ。んで、距離縮めてこーな?」
語尾にハートマークがついてんじゃねーかと思うような口調でそんなこと言われて、何だか恥ずかしくなってえっと…とか吃ってたら、日曜日デートしよとか誘われて、おやすみ、愛してるって言われて電話切った。
あ…
愛してるって…!
あ、やば…
だ、だから!ギンジさんは男なんだって!
何でこんなにドキドキしてんの俺!?ソノケないよな、俺!?
色んなことありすぎて頭がついていきません。ギンジさん、返事は遅くなると思います。ごめんなさい。
そんなことを思いつつ、俺は今のこの俺の状態が既にギンジさんにハマってるって事に、全く気づいていなかった。
ギンジさんの声が、耳に残って離れない。
…「愛してる」…って言葉が。
何が起こったのか分からなかった。
自分が、何を言われたのか、その意味がどういうものなのか。
結局、あの後タクシーで送ってもらった。
何をされる事もなく、すんなりと帰してもらえた。
別れ際に、「返事は急がない」って言葉を残されて。
自分の部屋に入り、まずは一息ついた。
色々あって疲れた。とりあえずベッドに横たわろう。
…今日は…ギンジさんと食事して…
そして…
時間が経てば経つほどに、自分が何を言われたのかが冷静に分かるようになってきた。
そう、あれは…
まぎれもなく、愛の告白だった。
…本当に?何で?
あんな女に困って無さそうでかっこよくて金持ちで頭もいい完璧な人が何で?
何で…俺?
一目惚れだって言ってたけど…俺、そんなに女子っぽい自覚は無かったんだけどな…。
女に告られたことは何度かあった。だから、想いを告げられるのに慣れてるっちゃ慣れてるんだけど。
…根本的な問題がある。
それは…俺もギンジさんも、男だということだ。
ルークの例があるから、全く無縁で信じられない話じゃない。
だけど、よりによって何で俺が。
しかも相手は…ガイさんの親友のギンジさんだぞ!!??
何だこの出来すぎた話は…。
まて、待て。
一度冷静になろう。
俺は、この状況をどう捉えてる?
まず…嫌かそうじゃないかって言ったら…
う〜ん…嫌じゃない気がする。
普通男に告られたら気持ち悪くてもう絶交したくなるもんだろう。
じゃあ?俺…ギンジさんの事好きって事か?
いや、いや。
それも違う。
そもそも会って数回の相手を、しかも男を好きになるなんて事が有り得ない。
ギンジさんの事は嫌いじゃない。むしろ、好きだと思う。
でもそれは一人の人間としてであって、恋愛感情なんて無い。
…うん、無い。
無いよな。
だって俺は普通の男だから。
ギンジさんの想いへどうやって答えを出せばいいのか。
俺はそんな事ばっかり考えていた。
本当の気持ちに、気付かないフリをして。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 12月21日 |
血液型 | AB型 |