十日ほど前に届いた一通の葉書を




毎日読み続ける母




時おり口にして読んだり




カレンダーとにらめっこ




私は毎日母の様子を遠巻きに眺める




母が毎日見ている葉書は




自動車運転免許証の更新通知




「もうクルマの運転、やめたら?」




私の言葉に母は耳を貸そうとしない




交通手段の無い田舎でクルマは必需品




重ねて母の年代でクルマの免許を持つ人は近くにおらず




自分が運転出来るお陰で皆に感謝されているという生きがいがそこにある




取り上げて失う物は大きいが




事故を起こせば悪夢にしかならない




だからあえて私は助けをせず




認知症である母の理解力で更新を進めた上で




前回よりも厳しくなった適性検査で法的に免許更新を断念してもらおうと思っている




「明日は28日だったかねぇ?」




母の言葉に私が答えずにいると横から息子が




「2日だよ、ばあちゃん」




と教えていた