ソルトside

久しぶりに足を運んだマジ女はいつもと変わらずうるさげだった。

それでもおたべが「死んだ」という事は行き届いてるようで全体の士気は下がったような感じがする。

変わらず、私が通るために開けた道を通り行きたくないあの部屋へと足を運んだ

もうおたべはこの世にいない。

その事実が私の体と心を貫き私のメンタル共にボロボロだった。

それでも私の責任として、負い目は隠したくない

その事実を隠すことはおたべの意義も隠してしまいそうで・・・。

1度深く呼吸をし、鉄のひんやりとする感触とともにドアノブを右に回した

俯いたまま1歩足を踏み入れれば懐かしい、大好きなおたべの匂いがした。

だから・・・思い出してしまうから来たくなかったのかもしれないな。

おたべが大好きだったから、死んだと言う事をまだ心のどこかで認めていなかったから・・・

こんなにも・・・

涙が溢れ出てしまうんだ。

「なに泣いてんのー、ソルトらしくもない」

そんな声が聞こえてきて、胸のどこかがカッと熱くなる

「顔上げなーよ、顔見せて」

もう・・・やめてくれ。これ以上私の心を・・・支配しないで・・・

「ソルト・・・??」

ポンッと肩を叩かれた。

その感触がへんに心地よくて・・・



え・・・感触・・・???

「おたべっ!?」

顔をぱっと上げると半透明で霞んだようなおたべが見えた

「ん?どうしたん??」


おたべの人差し指が私の目をすっと伝った

拭われた涙の層が剥がれおたべの姿がより清明に目にうつった

夢か??いや・・・夢だって幻覚だってなんだっていい。

おたべがここにいれば・・・なんだっていい。

「ちょいちょいー、なんやねん」

ぎゅーっと真正面から抱きついた

そのおたべの温もりがこれを嘘じゃないと証明してくれるようで。

今まで不安だった、感情がおたべに再び会えたことで全て爆発してしまった

まだこれが信じられない

本当におたべか??

でもこの匂いや、感触や優しさは・・・きっと・・・

おたべなんだろう・・・