由依side
あんにんと別れたんはついさっき、まだ消えやん体の火照り。
心臓がバクバク言ってて周りの景色がなんも目に入ってこやん
『由依の事がずっとずっと好きだったの、ダメ・・・?』
そう突然あんにんから告げられてぐっと近付いてきたあんにんの唇
どうすればいいか分からんくてただあんにんの思うままに体を流してた
そっと唇に手を触れてみたら清明に全部思い出す、あんにんの唇の感触だとか胸の鼓動とか風の匂いとか
ニヤニヤ、ニヒニヒ顔のあたしはきっと周りの人から避けられてたはず・・・
そうこう思ってるうちに見慣れた景色。
ドアに手をかけてみたら、たやすく開く自分家のドア
まった、ぱるる鍵閉めてへん・・・
いつもの事やけどね
「ぱるるただいま?」
いつもなら『おかえり!!』ってリビングのドアが開くはずなんやけど今日は物音のひとつとしてしやん
「ぱるるー?」
そこにぱるるの姿はなかった
ちらって時計に目を移せば短い針が 2 を指してる頃。
もうこんな時間か・・・そりゃもう帰って寝てるわな
軽くシャワーを浴びて、服着替えて二階にあがる
自室のドア開けた瞬間、暗いはずの部屋はすみだけ明るく照らされてた
それは机のスタンドの電気で、その机に突っ伏すように寝てるんはまぎれもなくぱるる。
なんでやろ?ってぱるるの下敷きになった紙に目が入る
何書いてるんやろ?起こさんように気付けながらその紙を引き出した
その手紙はあたしに送るものでまだ書きかけ
でも、途中だけでもあたしの胸は強く引き縛られた
ぱるるがあたしの事を・・・??え、でもそんなはず・・・
ちらってぱるるの顔を見てみれば目の下に映ってる涙のすじ
何してるんやろ??ぱるるが寂しい、って思って家に来てるんは知ってたのに
あたしは結果ぱるるをひとりにしてたやん
ただ遊びに行きたいからって、留守番ばっかりさせて用事押し付けて自分は楽しんで
挙句の果てにはここまでぱるるを追い詰めてた
泣かしてもたんや・・・ぱるるの事
あたしは何が出来るんやろ?ぱるるの為に・・・この小さな遥香の為に。
手紙の最後辺りの文
これはあたしに対する義務やでな?
できるだけ揺らさんように気付けてベッドに寝かした、敏感なぱるるはすぐに目覚まして驚いてたけど後ろから抱きしめたらすぐに肩の力を抜いた
「帰ってたんだね・・・おかえり・・・」
眠そうなぱるるの声、けど明らか鼻声で泣いてた、って言うんは誰が見ても明らか
「ただいま・・・ごめんな、こんな遅くなって」
「私は大丈夫・・・由依こそあんにんとどうだった・・・?」
自分はあんなにも悩んでんのに、また人の事考えて・・・
「なぁぱるる、ほんまにごめんよ?」
ふっと軽く笑った様な気がした、けど作り物の笑顔って分かるから・・・思わずぎゅっと力強く抱きしめてまう
「今日の由依変だよ・・・?どうしたの・・・」
「あたしは・・・、ぱるるの事考えてへん、最悪な奴やな?」
そう呟いたらくるっと首だけこっちに向かせた
「読んだの・・・?」
「ごめん・・・」
困った様な泣きそうな・・・
そんな複雑な表情に変わった
「由依に見つかる前に捨てようと思ってたんだけど・・・読んじゃったんだね、ごめん、あんなわがまま」
「こっちこそごめん、なんも考えてなくて」
重苦しい沈黙を先に破ったんは、にこって笑ったぱるるやった。
「でも今ここに居てくれてるのは間違いなく由依でしょ?こうして抱きしめてくれてるだけで、満足だから・・・」
笑ってたはずやのに、涙がぱるるの目に溜まってきて流れ落ちていく
「ごめん、困るよねこんな私」
「こっちこそごめん、ぱるるの事考えてなくて・・・」
その瞬間重なり合う唇。
「フフ・・・これは由依が私にする賠償、私は何をしたらいいかな?」
一瞬何が起きたんか分からんくてポカーンとしてまう
「そばにいてろ・・・バカ」
そう、ぱるるの・・・
この笑顔が大好き
あたしの本命って・・・もしかして
ぱるるやったんかな?