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     寂寞の薫り

病ん病んyummy!
相変わらずメンタルがヘラっているAkashiです。

さて。
すっかり忘れてしまった方も、まったく御存知ない方もいらっしゃることでしょう。このブログのジャンルが小説/創作であることを。

そんなわけで。
たまには小咄…と、いっても突発的に書いた乱文ですが。


 すっかり痩せてしまった枝を揺らす風は冷たく、私の身体ばかりか、ぽっかりと穴が空いてしまった心をも冷やしていく。嗚呼、寒い。とても寒い。

「此方の方が暖かいでしょう?」

 鉄骨とコンクリートの街の人間はよく、雪國で生まれ育った私にこう問うて来る。確かに気温は彼方の方が低い。毎日のように雪も降る。然れど、風は此方の方がずっと冷たい。此方の方が、ずっとずっと寒い。

「いいえ、此方の方が寒いです」

 そう言って悴む指に息を吹き掛けると、白い靄はふわりと漂って消えていった。見上げる灰白色の天上は厚く、重い雲を冷たい風が押し流していく。
 ふと、懐かしい煙草の匂いが掠め、其方に目を遣れど懐かしい姿はなく。少し草臥れたスーツを纏った中年男が、私の傍を足早に過ぎ去って行った。

寂寞の薫り
嗚呼、寒い。

FIN.



世に流通している煙草も、自動車も、洋服も、香水も、柔軟剤も、その数なんて高が知れていて、貴方に似た後ろ姿を捉えることや貴方と同じ薫りと擦れ違うことは日常茶飯事。
それでも私が望む本物に会うことはなく、勝手に絶望する度に死にたくなる。

ではでは。
夜泣き癖が再発してしまったAkashiでした(^O^)/

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