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常葉様と大樹と時々動物達下

「やっと出向いたぞシキ。」
 
………
 
「…やはり…この体になってからは、シキの声が聞こえなくなったな…」
 
常葉。
 
「!…シキ?」
 
いや、樹齢でな。
そろそろだろうと思って少し寝ていた所だ。
 
「そのままぽっくり逝ってなくてよかった。最後の話をしようか。付き合ってくれるか?」
 
嗚呼…待ちくたびれた。
百年近く待たせおってからに…
 
「すまないな。けどしょうがないだろ?…死んでたのだからな。」
 
…無理するからだろう。
 
「いいだろう?弟に犬死にさせたくないからな。体が不自由な我と比べたら、烈火を優先するに決まってる。」
 
どっちにしろお前は烈火の盾になったことは変わりないだろうな。
保証しよう。
 
「ははっお世辞がうまいな。」
 
失敬な!これは本心だ。
 
「そうしとく。樹齢って言ってもまだ育ちそうだったのにな。…我の微量の毒が回ったのか?」
 
…そう思うか?
 
「わからぬから聞いておるんだ。」
 
本当に樹齢だから心配するな。
とても充実した生き様だったぞ。お前のおかげだな…
 
「そんなしみじみするなよ…。そうだ!何かしてほしいことはあるか?」
 
…私に手を当ててくれないか?
ピトッ
「んっ…こうでいいか?」
 
そう、そのままでいろよ?
 
「…!…シキ…これは」
 
私の形見にしてくれないか?
どうやら私はまだまだ側にいたいらしくてな。
 
「……嗚呼っ…」
 
…泣くな。
そんな大人なのに…それこそ情けないぞ。
 
「ぅ…うるさいっ…!…形見とか言われたら…悲しくなるだろうが!」
 
…常葉よ。
烈火とあんまり喧嘩するなよ?
体を大切にしろよ…直ぐ無理するからな、お前は…
 
「大きなお世話だ…と言いたいが…シキの言葉は身に沁みるよ。」
 
お前もお世話がうまいではないか。
 
「お世話なんてしたことないぞ。本心から思ってる。」
 
…輪廻転生がもしあるなら、今度は人になってみたい。
短い人生の中で足掻いて生きていく可哀想な種族と思っていたが、お前のように気高く生きている者には憧れる。
 
「………!!」
 
…もう声が聞こえなくなった…
 
「〜っ!!」
 

 
「…またな!!」
 
………ふふっ…
 
 
 
「あっ…切ったこと、ちゃんと謝ってなかった……まぁ、コレがあるからいいか。」
 
 
─────
 
なんか無駄に頑張ってから回った(泣)
たのしかったよ!!ヽ(≧▽≦)/
台詞だけなんだけどね!!!!

常葉様と大樹と時々動物達中

「シキ…久しぶり。」
 
常葉…
なにやら最近騒がしかったが…何かあったのか?
 
「…うん…うちの屋敷に忍が来たんだ。我と烈火…それから父上と母上も狙っていたらしい…」
 
…誰か死んだのか?
 
「ううん…その点は大丈夫だ。烈火が忍を返り討ちにしたらしいから。」
 
常葉…?
顔色が悪いぞ…
 
「軽い方だよ。…一昨日まで立てなかったんだから。」
 
まさか…お前毒が!!!
 
「…殆ど毒は取り除けたらしい。だけど…後遺症と…体の免疫が低くなってて……もう…とても戦に行ける体じゃないって…っ!!」
 
常葉…
 
「長男なのに情けない!…烈火は立派な働きをしたのに…我は役立たずだ!!」
 
…辛かったな…常葉…
早く屋敷に戻った方がいい。
此処で野垂れ死んだら意味がない。
 
「…もどって何をすればいい?…籠の中の鳥なら、まだ希望が見える…けど…翼のない鳥は…?もう何のために生きてきたのかわからない…」
 
常葉。このまま此処にいたら…お前に何が起きても何もしてやれないんだ。
出来ればお前の辛そうな顔など見たくない。
 
「草木は好きだ…なんど踏まれようとも立派に大きくなる…花も…とても寒い中必死で堪えて…春になったら美しく咲く…

 
………
 
「俺は枯れたんだよ…シキ」
 
常葉…っ…!!
 
「!っ…ぐっぅ…ゲホッ!!」
ビシャッ!!
 
常葉!!!しっかりしろ!!
おい!常葉!!!
 
─────
 
「…うっ…ぅ…」
 
目覚めたか。調子はどうだ?
 
「…最悪…まだ視界がぐらついてる…っ…さっきよりは楽だけど…」
 
そうか…お前の体が冷えないように、そいつらがずっとひっついてたぞ。
 
「兎に栗鼠狐狸…しかも猪まで?」
 
私の友人達だ。
 
「ありがとう…お前達…」
 
そんなにボロボロなのに…よく外出許可が出たな…
 
「抜けてきた…」
 
…もう…馬鹿だな…お前は…
これでわかっただろう?此処にいても辛いだけなんだ。
 
「…ここにくると落ち着くんだ…空気も綺麗だし…」
 
また…来るといい。
体が良くなってからな?
 
「……もうないだろうけど…約束しとく…我は約束を破ったことはないからなっ!」
 
ハハハッ…それは安心だな。
 
「にーちゃーん!!此処にいるんだろ!??」
 
「烈火が呼んでる…もう行くよ。いつか絶対にシキに会いに来るから」
 
 

常葉様と大樹と時々動物達上

幼少の時の常葉様と大樹

大人の時の常葉様と大樹
 
間違いなく続編物だな
 
なんだろ…
冷めた目で見るとすごく電波だ(爆)
 
────────
 
「大樹よ!刀の相手になってもらうぞ!!」
 
「…ぇい!!やっ!…とぅっ!」
 
…ズッズバッ…ザクッ
 
「…っ…すまない大樹…っ」
 
ザワザワ…
 
「!!…ごめん!ごめん…大樹…!!痛かったよな…ごめん、なさい…!!!ヒック…、ほんとに、ごめんなさぃ!!」ギューッ
 
………
 
「えっ…傷跡が…癒えて…る?そんな事が…」
 
お前が癒したんだ。
 
「だっ誰だ…!!」
 
お前の目の前にいる。お前がさっき傷を付け癒した…
 
「まさか…!!?どうして大樹が喋るんだ???」
 
お前だけに聞こえる。
お前は私を切ったことで悲しんだ。
その事により…お前は自然の力を得た。
お前は天性の六行木気。
 
「いや…そんなのどうでもいい!!…痛くないか?」
 
もう癒えた。大丈夫だ。
 
「…もう…絶対にこんなことしないから…!」
 
…お前は可笑しな人間だな。
木に謝る人など今まで一度も見たことがない。
 
「草木や動物…言葉は通じないけど、そこで生きてるのは人間と変わりない…。だから断りもなくいきなり切りかかりたくなかったんだ…」
 
よい心掛けだ。
まだ幼いのに其処まで考えられるとは…
人間も捨てたものではないな。
 
「最初はビックリしたけど…こうやってはなしてると、何故か落ち着く…」
 
昼過ぎだからな。
どうする?昼寝をするならこの木漏れ日の中にしておけ。
心配しなくても、夕方前には日差しが当たるから
 
「…魅力的だけど…貴方と話していたい!」
 
変わり者だな…本当に。
 
「名乗り遅れてしまった…我は常葉と言う。貴方は?」
 
…名前など必要がなかったからな…常葉の好きに呼ぶがいい。
 
「…そう言われても…"シキ"はどうだ!!??」
 
どうして"シキ"なんだ?
 
「こんなに大きく育つまで、幾つもの季節を越えてきたんだ。だから四季の"シキ"」
 
なかなか粋じゃないか。
…気に入ったぞ常葉。
 
「ありがとう!//」
 
それから我とこの大樹シキは、奇妙な出会いだけど、親友のように話し合った。
シキは我の他愛もない話から悩み事まで、全てちゃんと聞いてくれた。
 
弟も紹介した。六行火気だからちょっとビックリしてたけど、弟もシキも直ぐに打ち解けた。
我が居ないと話すことも出来ないが…(笑)
 
楽しい毎日だった…
 
それから数年たったあの夜が来るまでは…
 
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