夜中でした。
母の話では二時頃だったと言います。
お隣りの家から火が出ているのを、私の父が気付きました。
慌てて警察に電話する父。
(余談ですが、第一発見者として受けた取り調べで、何故ここで消防署じゃなくて警察に電話したのかと執拗に聞かれたそうです(笑)
人間慌てるとなかなかまともに対応出来ないもんですね。)
それから消防車が来るまで近所の住民集まってバケツリレー。
やがて消防車が来て、他の家に飛び火することもなく、火事はおさまりました。
りなちゃんも、りなちゃんのお父さんも無事でした。
ただお母さんは、意識を失って倒れていたそうです。
火事の原因はりなちゃんのお母さんによる放火でした。
後日、お母さんは警察に連れていかれ、逮捕されたそうです。
そんな大騒動があって、りなちゃんは遠くに行くことになりました。
初めのうちは、りなちゃんが、「小町ちゃんも一緒に連れてってあげるから一緒に行こうね」と言ってくれていて、私もそれを本気で信じていました。
けれどそんなことが可能なはずがなく。
お別れ当日に、りなちゃんと一緒に行けないことを知り、りなちゃんに手をふりながら、たくさん泣きました。
りなちゃんにもらったミッキーのぬいぐるみを抱き締めて、泣きじゃくって、泣きじゃくって、
りなちゃん、元気でね、また遊ぼうね……
りなちゃんは少しだけ困ったように、悲しそうに、笑って手を降っていました。
今考えれば、同い年でも精神的にはりなちゃんのほうがずっと大人だったのかもしれません。
高校生になった今でも、たまに彼女のことを思い出します。
りなちゃんはあの頃寂しくなかったんだろうか、とか。
もしももう少し大きくなってから出会っていたら、もっと彼女の気持ちもわかったかもしれないのに、とか。
彼女は今どこでどうしてるんだろう、とか、元気かな、とか。
元気でいて欲しいと思います。
もうずっと昔のことだから、顔もほとんど覚えていないし、苗字もわからない。どこにいるかも知らない。
だからもう会うことはないかもしれない。会っても気付かないかもしれない。
でも、もしまた会って、二人ともあの頃のことを覚えていたら、また仲良く遊びたいです。
そして聞いてみたい。
「今、幸せですか?」って。
おわり(^ω^)ノ゛