ただの夢の話

軽い山道を越え田舎道に出た
現実でよく通った知った道に造りが似ていた
山道との境、路傍に蝋燭が並んでいて、消えそうな幾つかを手のひらで包んでは炎が再び赫う様に安堵した
それにどんな意味があるのか、土地の風習や祭りの一環なのか、知らずともきちんと燃えていて然るべきと感じていた
ある所で蝋燭の列は菊の植栽に変わった
スプレーマムタイプの、小ぶりの菊の花だった
蝋燭と同じ弱ったものも多くあったが、手持ちのものではどうしようも無く、見やるだけで通り過ぎた
「辛いときに辛いと言えない事が一番つらいのよ」と調子を崩した日頃意地っ張りのメスの三毛猫がごちたのだと、人伝に聞いた話を思い出していた
この世界では猫が人語を話すのは常らしい
少しだけ民家も増えてすれ違う人の集団も出てきた
横断歩道には子供たちが居て、最後尾から見守りながら渡った
道なりに歩いて、同じ年頃くらいの男女の集団に会う
後で知り合いの男の子に見せようと山道で珍しい虫を捕まえて持っていた為に、虫を携えた大人という怪しさから声を掛けられて、何となく会話を重ねながら歩調を共にした
内の一人、ショートカットの女性が手持ちのビニール袋の中身を入れ替えたいと言った
「悪いけど僕には触れない」とさっきまでひょうきんそのものに笑っていた太った男性が腰の引けた態度を見せたので情けなく感じてかわりに手伝う
袋の中身は砕けた遺骸の一部であった
脳か脂肪か、女性の顔には何かが跳ねて付いていた
「飛び降りた父」だと言った
女性を抱き締めた
少しにおいがした
自分も親しい人間を失っていること、それが頭から離れる事は未だ無いこと、「でもあなたは居なくならないで」と伝えた
少しだけ女性のその後を垣間見るようなシーンの後で目が覚めた
睡眠と死はやはり少しだけ近い世界なのかもなと思った

APD(アップルパイ・デイ)

頂き物のリンゴをアップルパイにしました
画像を載せてナンボでしょうが、夫とあっという間に食べてしまったので撮っていません
薄切りリンゴを薔薇の花のように並べるタイプのあのアレです
初めてやったけど可愛く出来たので満足です
リンゴを煮ている時、オーブンで生地が膨れてきた時、良い匂いが漂って、お菓子作りもしばらくしていなかったけどやっぱり良いものかも知れないなと思いました
前の記事へ 次の記事へ