どうもうんこです(あへ顔ダブルピース)。
Twitt/erで仲良くして頂いているみくりさんという方がいらっしゃいまして、pi/xivでも沢山青妻小説書かれてる天使なんですけども、その方とお話したマフィア青妻が滾りまして、既にみくりさんが至極の萌えを産み落とされてるにも関わらず滾った挙句うんこひりだしました。しね、苦しんでしね、爆ぜろ等の苦情は覚悟の上です。
愛人(お人形さん)のいる青髭と愛人(犬、またはペット)のいる妻の倫理に欠けたマフィアパロ…すみませんうんこです。私はうんこです。人様のネタで小説書くうんこです。うんこです。流して下さいね。
愛されていないのは知っていました。何せ互いにマフィアの家系で、結婚は勢力拡大のための政略結婚だと最初からわかっていましたから。愛の無い結婚だったのです。育った環境が環境ですから、私達には倫理というものが欠けているように思えます。初夜の日にほとんど初対面である夫に抱かれ純潔を散らされることも、睦言に「テレーゼ」と呼ばれた事も何とも思いませんでしたもの。ただ夫には既に心を預けた女性がいるのだと、その事実だけをぼんやり受け止めておりました。
夫には、飼っている女が何人かおります。各地に転々と、年々増えているようですが、適当な時期に減りもするので、いつも五人か六人いるというところでしょうか。私はあくまで「友好」の為に嫁いだ女ですので、夫の良いようにばかりはできませんしね。夫の好みの通りに着飾られ、愛され、ええ、まあ私も夫と過ごしている以上その女性達にお会いする事もございますが、皆似通った顔立ちで、似通った格好をさせられていますわ。恐らくそれが、まだお会いした事の無いテレーゼ嬢の御容姿なのでございましょう。黒い髪に黒い服のとても綺麗な女が。けれど、元来は違う髪色の者をも染めてテレーゼ嬢に仕立て上げるのですから、おかしいことこの上ありませんわ。いい年をして、自分の夫がお人形遊びですもの。笑うしかないでしょう?
いえ、まあけれど、私が彼を笑うことは出来ないかもしれませんね。私も、そう、犬を飼っておりますから。夫が私より随分年上だからでしょうか、私の犬はいつも可愛い子犬なんですよ。人間、無い物ねだりは課せられた宿命でございましょう?時折猫や鳥も飼いますけれど、やはり一番良いのは犬ですね。主人に忠実ですから。惜しむらくは、悉く狩が苦手なことでしょうか。獲物を獲ってくるよう申し付けましたら、いつも首だけになって帰って来ますの。この間も失敗してしまって、また新しい子を見繕わなければならなくなってしまいましたわ。まあ、前の子にはそろそろ飽きていたから良いのですけど。
その内犬に噛み殺されるぞと夫は私をからかいますが、ご自分とて、お人形に呪い殺されるのではないかと常々思っておりますの。けれど、ええ、まあそうですわね、男と女の思考回路って違いますわよね。当たり前のことではありますけど、私、今それをしみじみ実感しておりますのよ。ほら、殿方は浮気をされますと、浮気をした女を憎らしく思われますでしょう?逆に女は、誑かした浮気相手の方を憎らしく思います。個人差はありましょうけれどね。だからいつかこんな日が来るのではないかと思っておりました。
私は一応、彼の妻なわけですから、彼と共に住んでおります。私もですけれど、夫もお人形を家に入れることがしばしばありますので…ええ、まあ、お人形ですから本来ならずっと部屋においておくべきなのでしょうからそれは何らおかしくないのですが…お人形にだって心はありますもの。ほら、人の形をしているから魂が宿るとよく言いますでしょう?彼女らからしたら、私の立ち位置は妬ましいものでしょうねえ…恨まれるのはお門違いと思うのですが…何を勘違いしているのか、私が夫に愛されていると嫉妬されますのよ。ご自分の姿を鏡で見て頂きたいものですわ、私とは似つかぬ容姿だというのに。ああ、話が飛んでしまいました。まあ、時折おりますの、ナイフだったり拳銃だったり、そういうものを持って遊びに来るお人形が。その度に護衛の者か屋敷の者に摘み出されて、その後は…二度会った子はおりませんわね、そう言えば。頭の悪い子達ですわよねえ…目に見える殺意を振りまかなければいいのに。その点、今回の子は頭が良いわ。にっこりと笑うお顔はお人形さんとして合格点ですし、手に持っているティーセットだって可愛らしいアンティーク。まあ、それはうちの執事が買ったものですけれど。私は少女趣味が過ぎるそれを扱ったことがありませんでしたから、使われて食器も嬉しいでしょうね。ただ、初めて使われたのに毒入りの食べ物や紅茶というのが頂けないわ。
え?何でわかるか?ああ、それは、彼女を見れば。奥様とお話がしたかったの、なんて言いながら笑って、いいお人形さんだわ。でも、滲み出る殺意や憎悪は隠しきれていないからそこは不合格ね。私は貴女に全く興味は無いのだけど、貴女がここに来た理由なら興味あるわ。今までの子は殺意を振りかざして来たのに、貴女は押し殺して来るんだもの。そんなに私を殺したそうにしてるのに。ねえ、貴女、貴女はそうやって殺意を押し殺すやり方を誰に聞いたの?
今回のお人形さんが、たまたま知恵のある子だったのかもしれません。でも本当に知恵があるなら私を憎むのはお門違いと分かるはずだわ。じゃあ誰の入れ知恵かしら?…お人形さんとお話できるのはね、夫だけですのよ。護衛はおろか、屋敷の小間使いとすら彼女らは会話を赦されておりませんから。だから思ったんです。ああ、ついにいらなくなったのかしら、って。
あの人にとっては私も人形の一つですから、こんな日がいつか来るのでは無いかと思っておりました。いらないものは捨てなくてはいけないでしょう?それは私は「友好」の証で嫁いだ妻ですが、夫と結婚してから何年経っても子供の出来る気配がしませんし、使えぬ道具をおいておく理由なんてあの人にはないでしょう?あの人の今の力であれば、恋を捧げ愛を誓ったテレーゼ嬢と結ばれることも出来ましょうし。
あら?そう考えると、このお人形さんも捨て駒かしら?私が死んで、彼女が裁判にかけられれば、夫の元には彼女を迎える準備ができるもの。表立ってないお人形さんたちも、知られぬところで処分してしまえばいいわけですし。
全てが繋がったところで、私はお人形さんを見つめました。綺麗な笑顔。でもそこから滲む殺意の醜悪さ。貴女、捨てられるのにそんなに彼が大事なの。取られたくないの。最初から貴女の手には彼の心の欠片もありはしないのに。
少しおかしくなって、笑ってしまったわ。その途端笑顔が引きつるのだから、やっぱりお人形さんとしてはあまりよろしくありませんわね。
でも。
背にある窓から零れる陽光は暖かく、風は気持ちよく吹いていました。澄んだ空気が気持ちのいい、小春日和の今日でしたから、あの人が破棄すると言うならまあそれでもいいかしらと思いましたの。最初に言ったでしょう?私たち夫婦には、倫理というものがすこぅし、欠けておりますの。命なんてどうでもいいのですよ、自分のものですらね。だからね、まあいいかと思いましたの。
天気の良い日のことでしたから、とても気持ちの良い日のことでしたから、夫と初めて会った日によく似たある晴れた日のことでしたから、
「よろこんで頂くわ」
死ぬのも悪く無いと思いましたのよ。