おもしろいよねー、という話し。女装の麗人。正体を偽るために女装してるんだけど最近それが快感と言うか何と言うか。青髭のマブダチ。この場合のBL要素は有りません。にこい●みたいなことになるな、メルとの生活。私だけが楽しい!!!
ただの男体化であるならば、最初っからパパーゼさんで名前もテレンスさんとかでいいと思うの。ダービーじゃないよ!でもそこにオカマ要素が加わると色々楽しい。オカマと知らない青髭が初恋をテレーゼさん(ロンギヌス持ち)に捧げて後から真実を知ってorzみたいな。テレーゼさん爆笑。初恋の君の笑顔が見たいと思ってたけどそういう笑顔じゃねえ…とかズレたツッコミ入れる伯爵。心へのダメージは計り知れませんね。そして私はテレーゼさん♂に妻にちょっかいかけて欲しい。ガチ恋に発展するか否かはおいといて。色男にかけられる甘い言葉に慌てふためく妻とハンカチ噛み締める伯爵ね。本気じゃないとわかっているし親友だから吊るせない。そしてそれをによによして楽しむテレーゼさん。何 これ 楽しい。
ってわけでオカマちゃんとテレンスさんのバージョンで追記にちょっと書く。あれ…このブログ設置して以来初めてのギャグじゃないっすか…。
Ver「ロンギヌステレーゼさん」
「こんにちわ、可愛い人」
ふわり。花のように甘やかな香が鼻腔を擽った。蕩ける様なその匂いと、鈴のように凛と透き通った声。翡翠色の瞳を一度ぱちりと瞬かせた彼女は、その方向に振り返った。途端目に飛び込んできたのは、信じられないほど美しい、人。首元を覆うタートルネックの黒いドレスに身を包んだその人の肌は雪のように白く、微笑みを浮かべた唇は薔薇のように赤く艶やかで。深い色の瞳は柔らかな慈愛を湛えているように見える。黒い聖母。見たことの無い青い薔薇を絹のように美しい髪に飾るその人を見て、彼女は瞬時にそう思った。こんなにも美しい人が、この世に存在するなんて。息を呑むような美しさとはこういうことを言うのだろうと感嘆の溜め息を吐く。だがしかし、その瞬間彼女ははっと目を見開いた。彼女らがいるのは青髭伯爵の城。それも入り口ではなく、城の持ち主である青髭とその妻である彼女の寝室が近くにあるほど城の奥の廊下である。客人であるなら応接室に通されるはず。応接室はこことは違う棟にある。ならば彼女は、何だ?
「…あ、の、失礼ですが…貴女は…?」
尋ねる声が震えた。その理由なんて彼女自身が痛いほどわかっている。客人ではない、しかし侵入者であるならば城内がこんなに静かなはずは無いし、目の前の女性は武器を持っているように見えない。ならば彼女は誰なのか。一番最初に浮かんだのは、夫の顔だ。疑いたくはない、けれどこの状況で他に選択肢はあるだろうか。夫の寝室の近くにいる、麗しい女性。ただの客人では無いと言うのなら、夫の愛人である可能性をどうして否定できようか。
「あら、あの人から聞いていないの?」
からかうような声色に、彼女の顔から血の気が引いた。あの人、とは、夫のことだろう。不器用なところのある人だと、寡黙な人だとは思っていた。けれど自分を愛してくれていると、そう思っていた。思っていたけれど、それは勘違いだったのか。こんなにも美しい人を愛しているのなら、自分に見向きするはずなど無い。素っ気無い態度は不器用なのではなく、愛していなかったからか。
嫌な思いばかりが胸から溢れてくる。絶望と悲しみに頭がぐるぐると混乱して、いつの間にか胸の前で組んでいた手を、白くなるほど握り締めていた。彼女の震える手を見て、目の前の聖母はくつりと笑う。何を言われるのか、浮気にも気付かぬ馬鹿な女だと謗られるのだろうか。目頭に熱が篭っていくのを彼女が感じた瞬間、
「友人よ」
「…、…え?」
少し首を傾げて、黒衣のその人は困ったように微笑んだ。予想外の言葉に思わず声を漏らした妻に、その人は歩み寄る。す、す、と鳴る衣の擦れる音。美しいその人が目の前まで迫ってくるのに、妻はその場から動けずにいた。
「変な誤解をさせちゃったかしら…ごめんなさいね、悪気は無かったのよ」
「きゃっ…」
白く冷たい麗人の指先が、熱を持った彼女の目じりに触れる。一瞬のひやりとした感触の後、少し濡れた麗人の指先が戻されるのを見て、いつの間にか泣いていたのだと妻は目を瞬かせる。麗人の指先は、涙と一緒に頭に登った熱も一瞬で取り去ってしまったのだろうか。にこりと綺麗な微笑みを浮かべるその人の美貌に頬を染めながら、妻は先程の言葉を反芻する。友人、変な誤解、悪気は無かった。勘違いをしてしまったのだろうか?いやしかし、夫からこんな美しい女性が友人にいるなど聞いたことが無い。何故、隠していたのだろうか?それはやはり、夫に隠さなければならないことがあるから?それとも、彼女の言葉は嘘?思い始めれば止まらなかった。浮かんだ疑念は払拭されたわけではない。けれど目の前の女性が嘘を吐いているようにも思えない。困惑にへにゃりと眉をハの字に変えた妻に、彼女は一層優しげな表情を作った。
「私は、テューリンゲンに住むテレーゼというの。今日はあの人に薬を売りつけ…、…渡しに来たのよ」
「テューリン…、…あ…」
「思い当たる節があるみたいね」
ほっとしたように微笑む麗人、テレーゼを前に彼女は思わず口に手をやる。テューリンゲンに住む賢者から時折薬を買っている、と。彼女が熱に倒れたときに確かに聞いた覚えがある。名前も「テレーゼ」で相違ない。しかし。
「も、申し訳有りません…!!夫から、その、賢者の方と聞き及んでおりましたので、てっきり男性だと…!!!」
「うふふ、いいのよ、顔を上げて?」
畏まって慌てて頭を下げる妻の頬を、冷たい手が優しく挟んで上を向かせる。その瞬間彼女の視界に広がったのは、テレーゼの美貌だった。闇のように濃い瞳と、頬に影を作る長い睫。きめの細かい真っ白な肌と艶やかな赤い唇。花よりなお甘い彼女の香とその美貌に、妻は顔を赤くした。同性とわかっているのに、どうしてこんなにも胸が高鳴るのか。間近に迫ったその麗しき貌は彼女の平静を打ち崩すのに十分な威力を持っていた。
「真っ赤ね…うふ…かわいい…」
「や…、あ、あの…っ」
ふ、と息のかかるほど近く寄せられた顔。唇と唇の距離は近く、どちらかが動けば今にも口付けを交わしそうな距離にある。こくりと喉を鳴らした妻に、テレーゼは猫のように喉を鳴らした。
「………ほんと、あいつには勿体ねえな」
「え?」
ふと耳朶をついた、低い男性の声。その発信源がどこなのか、妻がそれを認識するより早く聞きなれた声が怒号となって飛んできた。
「貴様!!!何をしている!!!!」
廊下どころか城中に響き渡るような大声。いつも寡黙なその人のそんな声を彼女は聞いたことが無く、一瞬別人かと思った。しかしその声がした途端その身をやはり覚えのある腕に後ろから掻き抱かれ、別人ではなかったのだと知る。
「あ…っ」
「ちょっと、女性を手荒に扱うのはお止めなさいな。野蛮な人ね」
「喧しい!!!」
太くたくましい腕が妻を守るように強く抱き締める。厚い胸板に顔を押し付けさせられながら必死になって上を見上げれば、そこにいたのは予想した通り夫の顔があった。しかし、こうも怒り狂い般若のように顔を歪ませた夫は初めて見る。声を荒げることだって滅多にあることではないのにこんな女性に、と困惑を極めている妻をそっちのけで、青髭は威嚇するように唸った。
「急に来たかと思えば人の妻にちょっかいをかけおって…!!!」
「あらいやだ、今日来るってお手紙出したでしょう?」
「ついさっき届いたわ!!!大体どうやって入ってきた!!!!」
「普通に玄関から。執事さんにようこそー、って言われたわよ。頭固い貴方と違って話がわかるわー」
「き、っさまは…!!!帰れ!!!!」
「折角来たんだから薬買いなさい。メルへのお土産にお菓子も包んで頂戴ね」
「厚顔無恥とは貴様のことよな!!帰れ!!!」
「ボキャブラリーの貧困な男ね。いやだわあ、か弱い女性に怒鳴りつける男なんて。細君、この男に嫌気がさしたらうちに来なさいな。かわいがってあげてよ?」
「え、」
「何がか弱い女性だ!!!妻に話しかけるな視界に入るな半径百キロ圏内に入るな!!!!」
「テューリンゲンから出るなと言うの?嫉妬は見苦しくてよ」
「黙れ!!!!」
犬と猫、とでも言うべきか。友人であるという割りに二人の会話は喧嘩腰にも程があった。止めるべきなのか、とも思うが口を挟む暇さえ与えず二人は口論を繰り返す。妻の中でテレーゼが夫の愛人である説は炎に放り込んだ雪のように一瞬で溶けて消えた。二人の間に男女間で見られる艶めいた空気は、一切無い。夫がこうも怒鳴り散らすと言うのも驚きだが、その相手が(テレーゼ自身も言ったが)か弱き女性であること、そして神秘的な美しさを持った聖母の如き女性が夫に対してせせら笑うような…はっきりと言えば小馬鹿にしたような表情を作っているのにも驚かざるを得ない。先程までの優しげな雰囲気はどこに置いてきたのだろうか?いや、それはともかく、である。全くノーダメージにも見えるが(というかむしろ楽しそうにさえ見えるが)、彼女はか弱き女性である。夫に怒鳴られて怖くないはずが無いし、使用人たちがこの夫の姿を見て口さがないことを言わないとも限らない、と妻は慌てて夫の服を掴んだ。
「あ、あなた…っ、女性にそのように怒鳴られては…っ」
「っ、…おまえ…」
必死な彼女に、伯爵は一瞬怒りを引っ込めて腕に込めていた力を抜く。正直息をするのも苦しかった妻は安堵したように息を吐くが、日常でこうもきつく抱き締めてくることなど滅多に無い夫なだけに残念な気もしているのは割愛すべき部分である。閑話休題。
そしてその妻の必死の顔を見て、伯爵は苦虫を噛んだように渋い顔をした。妻の前で怒鳴り散らした事実に今更ながら若干の後悔を感じた彼は、全てを吐き出すように思い溜め息を吐いた。そして妻を優しく抱きなおし、にやにやと人の悪い笑みを浮かべるかの美貌の人に未だ敵意の残る視線を向けた。
「……見ろ、貴様のせいだぞ」
「あらいやだ、貴方がちゃんと説明していないせいよ?私のせいにするのはやめてちょうだい」
「抜かせ。…おまえ。」
「は、はいっ」
毛を逆立てた猫のように警戒したポーズは崩さずテレーゼに毒づいた伯爵は、それとはがらりとかわった少し疲れの滲んだ声で妻を呼んだ。初めて見る夫の弱ったような姿に彼女は驚いて、困った顔で見つめてくる夫の目をじっと見つめ返す。その瞳にあるのは後悔だろうか。とかく夫は、その事実を口にしたくないようだった。そして妻も、
「あれは男だ」
「…………………………え?」
その現実を咄嗟に受け付けることができなかった。
「…え?」
「うふ、ほんとよ可愛い人。だからいつでもお嫁に来てくれて構わないわ」
「黙れ殺すぞ」
「あらやだ怖い」
楽しげに笑うテレーゼ。妻が目を皿のように丸くして、ギギギ、と首を回し顔ごと視線を向ければ、かの麗人はご丁寧にウィンクまで飛ばしてくれた。そして長い指先で首もとの布をほんの少しずらし、喉仏を見せ付ける。存外男らしく隆起したその曲線に、妻は見入った。思わず、自分の喉元に手をやる。あんな突起、自分には、無い。
「…え…?」
「…」
今度は夫に視線を向けるも、彼は妻の驚愕の表情から逃れるようにそっと視線を外す。その眉間には深い皺が何重も刻まれており、顔には「だから言いたくなかった」とさえ書かれている。妻の混乱は、ここにきて極限を極めた。
「ほーら見なさい、あなたがちゃんと私のこと話していないからこういうことになるのよ」
「一生会わせる気など無かったわ…!!!」
「でしょうね、だから今日突然来たのだし」
「貴様は…!!!」
緩んでいた夫の腕の力が再び強まる。険悪さを醸し出した夫の雰囲気と再度始まりかけている口論を止めるだけの気力は、今の妻には無かった。ただ受け入れがたい現実に大声を上げて驚くことも出来ず、ぽかんとするばかりである。そして止める人間のいなくなってしまった二人の口論は、妻を挟んだまま再開のゴングを鳴らした。ことの次第に慣れきった執事が、夕餉の時刻を告げるまで。