後2、3話位で本編は終わる…予定です(後日談とか幕間とか、描きたいなとは思っています)。
舞踏会当日のバタバタ
そして舞踏会の当日。
案の定とんでもない忙しさで、お姉様方の手伝いをする。お母様と、一番上のお姉様のヒステリックな叫び声が私をせかしてくる。
「早くしなさい!!」
「はい! 分かりました!」
ああもう、自分たちだけのことなんだから私を巻き込まないで欲しいわ!
髪の毛を巻いたり、コルセットを締めたり、その他にも準備する事が沢山!本当に大変ね。でもやらなきゃ終わらないのだから、やるしかない!
私は、気合いを入れて取りかかった。
「こんばんはー……」
何とかお母様達を見送り、へとへとになりながらも、約束通り私は魔法使いさんの家にたどり着いた。
「やあ、こんばんは……だ、大丈夫?」
魔法使いさんは、若干戸惑った様子で私に声をかけた。相当酷い有り様なのかしら。うう……急いだものだからあまり自分の身支度に気を使えなかった……。せっかく会いに来たのに呆れられてしまうわ。
「ええ……何とか……」
人の婚活に駆り出され、めかし込むのにこき使われて、自分が好きな人に会う時には残念な姿なんてあんまりだわ。
なんだか、どっと疲れた。
「お疲れ様。ひとまず座って? 今お茶をいれるから」
「ありがとう……」
お礼を言って座るので精一杯だけれど、忘れてはいけない。今夜は、魔法使いさんからの用事が有るはずなのだから。
「魔法使いさん、今日は私に何の用事なの?」
「レッタにプレゼントが有ったんだけど、あまり疲れているなら無理に」
「プレゼント!?」
思わず声が裏返る。私の誕生日は、まだ当分先だ。どうして今? この、魔法使いさんが……?
「そんなに驚かなくても」
「ああ、ごめんなさい。でもどうして?」
「うん。でも話の途中だったけど、レッタが疲れているなら無理しなくて良いと思うんだ」
「欲しいっ! 欲しいです!!」
普段、自主的にイレギュラーな事をしない彼からのプレゼントだ。何か有るに決まっている……!
何だろう、もしかして、と心を弾ませた。
「そうか、それじゃあお茶を飲んで待っていて」
「うんっ」
私は顔が緩んでしまうのを抑えきれずに、彼からカップを受け取り、そわそわしながら待った。