ゴールデンカムイ アオリ 163話/29号、スナイパー尾形とマタギ谷垣・二瓶の銃を撃つことに対する意識の違い
163話 29号
1ページ目:慎重な者だけが、災いを為す。
ラスト:遺体のように、案山子(かかし)のように、
ただ…ただ、待っていた。
予告:次号、勃起!…とはいわない。
※
「勃起!…とはいわない」のは、尾形またはヴァシリだと思われる。
尾形は人間の敵を殲滅するのが身上のスナイパー、
二瓶や谷垣は山で獣を狩って生きるマタギ。
ともに猟師ではあるが、二者のアイデンティティはこのように異なる。
スナイパーである尾形は、ウィルタに同行したトナカイ狩りでトナカイの群れを全滅させた。
それは、戦場では敵兵を撃ち漏らすことが自分の死に繋がるから。
しかし、猟師である二瓶や谷垣が同じ状況にあったら、群れを殲滅することはなかった、と思う。
人間の敵兵と異なり、人間を積極的に襲うわけではない動物相手にそうする必要はないし、
群れを全滅させたら、その後は狩るべき対象がいなくなり、自分たちが困るから。
生業として獣を撃つマタギである二瓶や谷垣は、狩りを自分と獣との勝負だと考えていて、狩りそのものや銃を撃つ行為に際して「勃起!」と言う。
また、アイヌの男として狩りを生業にするようになるであろうチカパシも、彼らの精神を受け継ぎつつある。
しかし、スナイパーである尾形(やヴァシリ)にとっては、銃で"獲物"を撃つという行為がマタギとは違う意味を持つ。
猟師のそれとは異なる。
だから尾形(やヴァシリ)は「勃起!」と言わない、のだろう。
2018/6/24 Sun