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贈る花、言葉

※【注意!】小ネタ、なんですけど、カカイルじゃないです。シカク×いのいちです。ついに書いてしもうた。苦手な場合は見ないで下さい〜!























やってるか?などと、まるで居酒屋に入るような口振りで姿を表した男に、俺は何と言うべきか一瞬言葉に迷った。
「シカクか。……いらっしゃいませ」
「何だそれは。他人行儀だぞ」
「一応、お客様だからな」
そんなもんか、とぼやいた男は、ざっと辺りを見回してから再び此方を見た。色鮮やかな花があふれる店内の雰囲気から浮いている自覚があるのか、どこか気まずそうに顔に走る傷痕を掻いている。
「花が欲しいんだが」
「まあ、ここに来るからにはそうだろうな。どんなものが欲しい?」
「あー……そうだな。実は今日、結婚記念日なんだよ」
柄にもないが、花でも贈ろうと思ってな。
そう言って笑うシカクに、此方も笑顔で応じた。営業スマイルなら慣れている。
「そうか、おめでとう」
「ああ……ありがとな」
「結婚記念日か。花束を作ろうか。俺が選んでもいいのか?」
「ああ。元々、お前に任せようと思って来たんだ」
そうか、と相槌をうち、再びにっこりと笑ってみせる。
「少し時間がかかるが、いいか?」
「ああ。ここで待ってる」
そう言ったシカクに作業台の傍に置かれた椅子を勧めて、俺は花束にする花を選びにかかった。

店内にはオルゴール調の音楽がゆったりと流れている。色とりどりの花はどれも鮮やかでみずみずしく、美しい。
ひとつひとつを見て回りながら、殊更ゆっくりと花を選んだ。というより、内心ではひどく困惑していたのだ。
一体俺は、何を選べばいいのだろう。
「いのちゃんは元気にしてるか?」
そう言ったシカクの声は、どこか不自然に明るく響いた。
「ああ。元気だよ。来年からアカデミーに行くんだって張り切ってる」
「はは。ウチのシカマルもだ。まあ口では「めんどくせぇ」の一点張りだけどな。内心、アカデミーにはかなり興味があるらしい」
「そうか。それなら、チョウジくんも来年だろうな」
そこで一瞬だけ、間ができた。先を続けようか迷ったのだが、結局押し出されるように言葉はこぼれた。
「猪鹿蝶は、「今回」もみんな同じ歳だな」
「そうだな。ここまでくると、奇跡……というよりは、運命かもなぁ」
愉快そうに笑ったシカクに、俺は正しい笑みを返せただろうか。

代々、山中家、奈良家、秋道家では、子どもがほとんど同時期に生まれる。一度すべての家系図を見たことがあるが、俺達の先代も、先々代も、ずっと昔もそうだった。そして、自分の子ども達も。
彼の言う通り、「猪鹿蝶」の三人組は運命なのかもしれない。始めから決まっていて、覆すことの出来ないもの。それを馬鹿げていると笑ってしまえるほど、三家の歴史は浅くはない。
どちらにしろ、覆すつもりなど毛頭ない。そんなものを、望んだことは一度も無い。

「待たせたな、出来たぞ」
「ああ、すまん」
立ち上がって此方に近づいてきたシカクは、手元の花束をひょいと覗き込んだ。
「きれいだな。そんなに派手じゃないのがいい」
「そうだろ。シカクの事だから、薔薇の花束なんか気恥ずかしくて贈れないだろうと思ってな」
にやりと笑ってみせながら、花束を渡す。いくらだ、という彼に、サービスだよ、と
手を振ってみせた。
「いや、いくらなんでもそれは悪いだろ」
「いいんだよ。俺がお前に作った花束なんだから」
そう言って微笑んでみせたら、目の前の男は微かに眉をひそめた。一瞬の奇妙な間の後、彼が呟く。
「……これ、一番多く使ってるやつ。なんて花だ?」
「珍しい花だろう?ホトトギスって言うんだ」
そうか、と囁くような声でシカクが言う。暫く花束を眺めた後、此方に向けて顔を上げた時には、もう普段通りの態度に戻っていた。
「ありがとうな、いのいち」
「いや、奥さん、喜んでくれるといいな」
込み上げた笑みは、心からの笑みだ。当然だろう。
俺達は猪鹿蝶だ。三家を取り巻くものすべてを愛おしく思い、慈しむのは当然の事だ。

遠ざかっていく背中を店先から見詰めながら、小さく笑みが零れる。
今更のように左胸が痛むのは、どうしてだろうか。

※ ※ ※

いのいちの店からの帰り道、彼の娘に出会った。
「こんにちは、シカクのおじさん」
屈託ない顔で明るく笑う彼女は、先程まで女の子の友達数人と遊んでいたのだと語った。
社交性のある、利発そうな女の子だ。俺の息子―シカマルは「めんどくせぇ」が口癖なのだが、彼女はシカマルと顔を合わせるたび、その発言を大人びた態度で窘めていたりする。
「あれ、おじさん。その花束、うちで買ったの?」
此方の手元にある花束を指さし、彼女が言った。
「そうだよ。今日、結婚記念日なんだ」
「素敵!それじゃあ、奥さんに贈るのね!」
無邪気に瞳を輝かせた彼女に、思わず言葉をもらしてしまった。
「なあ、いのちゃん。この花、知ってるかい?」
「え?うん。知ってるわ。ホトトギスよね」
「じゃあ、それの花言葉も?」
「うん……ちょっと待ってね。確か…」
そう言って考え込むように小さい腕を組んだ彼女を見て、この質問は卑怯だろうか、と思った。
いのいちに、ではなく、彼の娘にこんな質問をするのは。
「ええとね、『秘めた思い』と『永遠にあなたのもの』よ。きっと、おじさんが永遠に奥さんのものって意味ね!」
「……そうだな。俺ぁ尻に敷かれてるからなぁ」
此方の台詞に、いのは楽しそうに笑った。
「それじゃあね、おじさん。また、お花買いに来てね!」
ぶんぶんと手を振る彼女に対して、どうにかまともな笑みを返せた事に心底安堵した。その小さな背中が見えなくなって、知らず詰めていた息を吐き出す。まるで大きな溜め息のようになって、小さく苦笑した。

秘めた思い、に、永遠にあなたのもの、か。
それを喜ぶには、「俺達」の間には時間が経ち過ぎている。
「……いや、だからこそ、か」
零れた言葉は、誰にも届かないまま風に紛れた。



もう随分と昔の話だ。
たった一度だけ、猪鹿蝶である境遇を呪った事がある。
俺は、いのいちに恋情を抱いた。その感情を自覚した時、殆ど絶望に近い驚愕を覚え、何度も否定をした。何度も何度も否定して……ついに俺は、愚かな行動に出た。
その恋情を、抱いた相手に殺して欲しいと願ったのだ。
はじめから玉砕を覚悟して告げた思いに、いのいちが示したのは拒絶ではなく、驚愕だった。そうして、驚愕の中にある、ほんの僅かな喜色を見つけてしまった。
里でも一、二を争う切れ者だと言われていた筈の俺の頭は、その瞬間全く使い物にならなかった。
俺は、恋情を否定するのを止めてしまった。認めてしまった。許される筈もないと、分かっていたのに。

それでもいのいちは、一度は俺を受け入れた。今思えば、お互いのぼせ上がってしまったのだろう。しかし、二度はなかった。
彼の激しい拒絶を受けた俺はそこで我に返り、本来の目的を思い出した。即ち、この恋情は殺さねばならないのだと。
「若気の至り」だと、そういう言葉で済ませられるものだと今では思っている。

―いいか、シカク。お前も分かっている筈だ。俺達は猪鹿蝶だ。くだらない恋情で三家が失われてしまえば、必ず後悔する事になる。いいか、必ずだ。……一度受け入れた俺が、言えた義理では無いが、それでも。

普段穏やかないのいちが、彼に似つかわしくない強い瞳で此方を見据えてそう言ったのを、今でも覚えている。
結果的には、彼のいう事は正しかった。俺達は愛すべき伴侶を手にしたし、文字通り子宝にも恵まれた。
一度の過ちはどうやら許されたのか、それとも恋情如き、及ぼす影響などかけらもないのか。ともあれ、猪鹿蝶は無事に次代に引き継がれた。
もしも、一時の気の迷いでこれらを手に出来ていなかったとしたら。考えるだけでもぞっとする話だ。

俺達は恋情を殺し、猪鹿蝶の絆を護った。
何者にも覆すことの出来ない、運命的な絆を。



素朴な印象を受ける小ぶりの花々が寄せられた花束は、確かに薔薇の花ほど派手ではない。けれど、どこか清楚さと潔さを感じる美しさだ。
これを妻に贈ることに罪悪感を抱かないのは、結局、俺自身が妻を心から愛している証なのだろう。所詮、花屋の主人の想いなど、贈られる花束にとって何の意味もなさない。

それでも、失われた筈の感情が、胸の奥で微かにざわめくのを感じた。
聴かされた花言葉を、俺が彼女に伝える事はないだろう。
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ついったお題だよーん

今回は「イルカへの恋のお題三つ」でする。イルカ先生視点で〜。
いつものごとく改行除く140文字以内です。

※ほんのり微裏っぽいのがいっこあります。ほんと、微々たるものです(笑)


イルカへの3つの恋のお題:
お前しか要らない/また泣かせたね、ごめん/もっと愛して、奥まで愛して

【お前しか要らない】
「お前が居れば他に何も要らないよ…」
「ねぇ」
「いつでもお前の事を考えてる…もうお前の事しか、考えられない…」
「ねぇちょっと」
「何ですかカカシさん」
「こっちの台詞だよ。何やたら男前な顔してラーメンに囁いてんの!そんなの俺にも言わないくせに!」
「…ラーメンにまで妬かないで下さいよ…」

【また泣かせたね、ごめん】
泣き虫な左目からぽろぽろと涙を零すあなたはとても綺麗。
幸せで涙が出るんだ、と呟くあなたはとても可愛い。
幸せなのに、幸せだから、辛くて辛くて涙が出るんだ、と。
嘆くあなたが、とても哀しい。
泣き虫な左目を抉ってしまえば、あなたの涙は止まるのかな。
こんなことしか言えなくて、ごめんね。

【もっと愛して、奥まで愛して】
嬌声をあげ、脚を開き、腰を揺らし、淫らな言葉で強請ってみせれば、少しずつ余裕を失うあなたが愛しくて。
首に手を回し、口づけを交わし、あからさまな態度で善がってみせた。
もっとおくまでいれて。
矜恃も何もかもかなぐり捨ててまで縋るのは、ただあなたに愛されくて。
愛されたくて、堪らないから。
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人それぞれのアルデンテ

※小ネタ。俺様気味のカカシ先輩と苦労性のヤマトさん。(勿論カカイル)















カカシ先輩に初めて家に招かれ彼の手料理をご馳走になった日は、一体この人に何が起きてしまったんだろうと思った。

彼は元暗部時代の先輩で、他里のビンゴブックに載るほどの人物だ。僕の最も尊敬する人でもある。ただし、忍びとしてという補足付きで。
暗部を脱退し、上忍師になってからの彼は少し…いや、かなり甘くなった。人としては良い事なのだろうが、僕にとっては、というか忍びとしての先輩を尊敬する立場としては心中複雑だ。

前述の件に話を戻すが、彼が僕を…厳密には、僕を含む新生七班を家に招いたのは、彼の体調が全快してすぐの頃だったと記憶している。
曰く、「俺が動けない間に迷惑かけちゃったお詫び」という事だった。
僕の知る限り、先輩は多少甘くなったとはいえおおよそそんな事を気に掛ける人では無かったし、まして手料理なんてものを他人に振舞う真似が出来る人だとは思っていなかった。
僕は表面上平静を装い、「それじゃあ、今晩お邪魔します。子ども達にもそう伝えておきますね」と答えた。
元々感情が豊かな方では無いが、今回はそれがかなり幸いしたなと思ったものだ。

七班の子ども達と共に訪れた先輩の家は、思ったよりも手狭のマンションだった。とはいえ、一人で住むには充分の部屋数は揃っているのだが。S級の任務を多数こなす上忍にしては、という意味だ。
そうそう、僕は先輩宅の玄関で早々に驚愕する羽目になった。扉を開き僕達を招き入れた先輩は、なんとエプロンを身に着けていたのだ。
ア ンダーの上に濃紺のエプロンだったため、目立たたないといえば目立たないのだが、カカシ先輩がエプロンというシチュエーションは衝撃に近かった。七班の一 人、サクラなんかは、カカシ先生エプロン似合うーと茶化しながら笑っていたのだが、僕にとっては似合うとか似合わないとかは全然まったくどうでも良い事 だった。
だって、元暗部だ。元暗部の最強クラスの上忍で次代の火影候補が、エプロン。エプロン!
もしかしてこれはカカシ先輩じゃないのかもしれない、などと軽いパニックに見舞われながらも、辛うじて平静を保った。
きっとこれも暗部時代の精神訓練の賜物だろう。

三人の子ども達をリビングに残し、キッチンに戻ったカカシ先輩の後ろ姿に声をかける。エプロンはなるべく見ないようにしよう。

「先輩、何か手伝いますよ」
「あー、ありがと。じゃ、そこの野菜切ってくれる?テンゾウ、木遁得意でしょ」
「今僕ヤマトです。あと、木遁が得意かどうかは関係無いでしょう」
「あっそう。あー、でも平気?お前、切った野菜の悲鳴とか聴こえたりするんじゃないの?」
「…先輩は僕を何だと思ってるんですか」

えー?お前はテンゾウでしょ、何言ってんの。

どこまでも飄々と軽口を叩き続ける態度は、昔とあまり変わらない。
反論は諦めてため息を吐けば、ちょっと、否定はどうしたのよヤマト、と再び茶々を入れられた。はっきり言って結構面倒くさい。無視しても怒らないだろうが、後々話を蒸し返される事はたまにある。
まあでも、カカシ先輩相手にこれだけの軽口の応酬が出来るのは自分だけだろう、という自負もあったりする。七班を任せてくれたのも、此方の信頼があればこそだ。

そんな事を胸中で呟きつつ自分を慰めていると、先輩がうん、と満足そうに頷いた。

「茹で加減ばっちり。イルカせんせの耳たぶだ」

ぎょっとして先輩の方を見ると、茹で上がったパスタをザルに上げているところだった。
いやもちろん、先輩がパスタを茹でていたのは分かっていた。先程の台詞は、つまりパスタがアルデンテに茹で上がったということだろう。真ん中の芯が、人間の耳たぶくらいの固さぐらいになる事。
一応理性を総動員して平静を保とうとしたが、スタンと包丁がまな板にぶつかる音が少し大きめに響いた。力加減が狂ったのだ。

「なに動揺してんのよ」
「…いえ、別に」
「あの人の耳たぶ、ちょうどいいんだよねえ。噛み心地が良いの」

やけに愉快そうに笑う先輩に、僕は何かを言うべきか迷った。
正直に言うと彼の交友関係…というか、恋愛関係には興味が無かったし知りたくもない。それは暗部時代に彼が手当り次第女性を食い散らかしていた―言葉は悪いが一番正解に近い表現だと思う―のを見てうんざりしただけの話だが…。
これはこれで、詮索するとうんざりするような厄介事になりそうな気がする。
しかし、先輩がこれだけ自分から主張する以上、此方も何事も無かったように聞き流す事は出来ないだろう。

「先輩、その…うみのイルカ中忍と付き合ってるんですか?」
「うん。言ってなかったっけ?」

いけしゃあしゃあと言い放った先輩に、流石にちょっと突っかかってみたくなる。

「初耳ですよ。それにしても、どういう風の吹き回しですか?ひょっとして女の人に飽きちゃったとか。あれだけ手を出せば、そうなる気持ちも分からなくないですけど」
「…何よそれ。昔の話でしょ」

少しだけ不機嫌そうに声が低くなったが、なんだかきまり悪そうに視線を逸らされた。

「別に、飽きたとかそういうんじゃないよ。あの人が女の人だったとしても、俺はたぶん手は出してたし惚れてたと思う」

色々突っ込みたい所はあったが、「惚れる」なんて言葉が先輩から飛び出したことに、エプロン着用以上の衝撃を覚えた。

惚れる?惚れるって、本気って事か?

「え、と、先輩。まさかとは思いますが、その、イルカ中忍一人だけなんですか?」
「だけって何よ。恋人があの人だけって事?当たり前でしょそんなの」
「…昔は一人の彼女につき愛人は三人までとか言ってましたよね」
「…言ってないよ」

言うわけないでしょ馬鹿じゃないのテンゾウ、ともごもごと此方への批判を一通り並べ立てた先輩は、すべての料理が完成した頃にぼそりと呟いた。

「…昔の事、イルカ先生に言ったりしたらただじゃおかないよ」
「言うわけないでしょう。僕だってその辺のデリカシーはあるつもりですよ」

先輩じゃあるまいし、とは流石に言えない。先輩に殴られるなんて嫌だ。痛いし。
ましてや半殺しも、病院送りも絶対にご免だ。

「デリカシーねえ。暗部上がりの人間にそんなものが備わっているとは思えないけど」

その台詞は、間違っても、先輩にだけは言われたくなかった。

もちろん賢明な僕は、そんな発言は心の底にしまっておいたのだけれど。
それにしても驚いた。まさか先輩が、あの男と。
うみのイルカについては、僕も多少知っている。何せ、九尾として憎まれているナルトを人間として認め導いた男だ。ナルトからも絶大の信頼を得ているらしい。実際、ナルトといる時にその名が出ることは珍しくなかった。

カカシ先輩を落とすなんて、どういう手管を使ったんだろう。外見的には(ナルトに関する資料上で写真しか見たことがないが)朴訥としたただの中忍という印象だったのに。

「実はね、今イルカ先生任務中なの。少し長いんだって。だからちょっと、一人で居るのが退屈でねえ」
「はあ」
「イルカ先生が任務に発つ前日にね、お前を家に呼んで飲もうかなって言ってみたんだけど。なんかすっごく複雑な顔してたから、七班みんな呼ぶことにしたのよ」

そう言った顔は残念なほど締まりがなく緩んでおり、誰がどう見てもだらしのない…もとい、嬉しくてたまらないといった様子だった。

「…先輩、昔は嫉妬されるの嫌いでしたよね。鬱陶しいって」
「ええ?そんなことないよ。少しは妬いてくれた方が嬉しい」

だって、愛されてるって証拠でしょ。

それはそれは嬉しそうに笑んだ顔は見とれる程に格好良かったが、生憎忍びとしての彼にしか興味が無い僕にはただの間抜け面にしか見えなかった。

…もしかして、恋の病とかいうやつでおかしくなっちゃったのかも、先輩。

そんな事を思いながら、彼には聴こえないくらいの小ささで、こっそりとため息を吐いた。
先生たち、まだー!?というナルトの声に、今できたよーとのんびり応じた彼をちらりと見ながら、それでも先輩が幸せなら良いかなぁと思ってしまった自分に内心ひどく驚く。

先輩もナルトと同様、うみのイルカという人物によって変わったのかもしれない。より人らしいほうに。

そして、どうやら僕にも、彼らの甘さが伝染しつつあるのかもしれない。と、ふと思った。

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ついったお題ー

久々についったお題ですー。
更新自体久々やんけ!!!(自己つっこみ)

140文字以内(改行除く)でみっつのお題でするー。

※今回ちょっと暗めや悲恋ぽいのばっかです。ご注意くだされ。

カカイルへの3つの恋のお題:夢の中ですら思い通りにならない/俺だけを見て/一人で舞い上がってバカみたいだ

【夢の中ですら思い通りにならない】
困ったように微笑む顔も、ごめんなさいと呟く声も。
現実をそのまま写し取ったような夢に、自嘲混じりの笑みがこぼれた。
せめて夢の中ぐらい幸福な夢を見たっていいじゃないか。
それとも俺は、夢の中ですら「本当」の貴方に逢いたかったのだろうか?
…まったく、救いようの無い恋をしてしまったものだ。

【俺だけを見て】
ねえお願い、と、苦しそうに顔を歪めて懇願する貴方の瞳に俺の姿が写っている。
彼とは反対に、嬉しそうな笑みを浮かべた俺の姿が。
嫉妬に苦しむ貴方を見て優越感を得るなんて、つくづく性根が腐っている。
それでもなお貴方を傷付けるのは、結局、俺も同じ願いを抱いているからなんだ。

【一人で舞い上がってバカみたいだ】
大好きだった。大切だった。守りたかった。
俺は貴方のためなら、なんだってできると思ったんだ。
だけど、貴方はわらって言った。
俺をころしてくださいって。
どうして。
どうしてだよ。
大好きなのに。大切なのに。守りたかった、のに。
ねえ。
俺は、

貴方と一緒に
生きたかったんだよ。
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