暑さが過ぎ去って、訪れる。



【秋色】



涼しくなってきたね。

隣の優しい声に私は頷く。
気持ちいい風が吹く中、秋の匂いが私の鼻をくすぐった。

どこか、行きたいね。

そっと空を見上げて、私は無意識に呟いていた。
それを聞き逃さず、彼は静かに言葉を返した。

ドライブしない?

あ、いいかも!

思い付きに思わず食いつくが、ふと私は我に返る。

でもどこに……?

遊びに行く気分ではなかった。
でもドライブに行くからには目的が何か、ほしい。

秋といえばさ。

あるじゃん、もってこいな所。
彼の言葉に、頭に疑問符が浮かぶ。
そんなとこあったっけ?

さぁ、行こう!

えぇ!?
突然手を引っ張られ、車に乗せられる。
疑問符がさらに浮かぶまま、車に乗ること小1時間。

私は絶句した。

目の前に広がる赤と黄のコントラスト。
秋にしか見れない色彩。

声もないまま、
私たちは目の前の秋を眺め続けた。