時折、無性に思う事がある。

人肌が恋しいのかと言われれば否定はしないが、そうではなくて、ただこの体温と混ざりあってひとつになってしまえれば、と。

「デス、デス…!」

途切れ途切れに名前を呼べば察したように合わせられる唇の温度が心地好くて、このまま境目などわからなくなってしまえばいいのに、とぼんやりと霞み始めた頭で考える。
ひとつになってしまえばこいつが一人で抱えようとする痛みも苦しみも、全て分かち合う事が出来るのに。
すがるように手を伸ばせば微かにデスマスクが笑う気配。

「訳わかんなくなるまで、シてやっから」

んな顔すんな、と柔らかく髪を鋤かれて堪らず背中に回した腕に力を込める。
与えられる穏やかなそれに身を任せれば、緩やかに纏まっていた思考が解けてゆく。

「デス、」

最早口をついて出るのは名前と、意味を成さない音ばかりで、すがり付く腕にも力が入らなくて。

「…シュラ」

それでも耳元に落とされた囁きに知らず、涙が零れた。






久々小ネタ。
深夜の萌え語りの産物。
蟹山羊も山羊蟹も好きです。