自分よりも5つ年上で、この巨蟹宮よりもひとつ下の宮を守護し、神のようだと称され、聖域中から尊敬されている最強の黄金聖闘士。
そんな男が弱々しく自分に縋り付き、整った顔を涙で濡らしながら告げる言葉は、何時の頃からか切実な響きを帯びるようになった。
私はもう疲れた、死にたいと壊れたオルゴールのように途切れ途切れ繰り返すその姿はかつての自信に満ち溢れたものとはかけ離れて、痛ましさすら覚える程。
彼の望む通りにしてやれれば彼は楽になれるのだろうけど、今はまだそう出来る時期ではない。
今彼を失ってしまえば、まだ10を幾らか過ぎたばかりの自分達だけでこの聖域を治めていくことなど出きるはずがないのだから。
サガ、サガ。
俺達はあんたの為ならこの手を幾ら血に染めたって、悪だと罵られたって構わない。
あんたの抱えてる後悔や葛藤だって、その身の内に潜む暗い部分だって、受け止めてみせる。
俺達だって、もう力のない守られるだけの子供じゃないんだから。
だから、頼むから、死ぬなんて言わないでくれよ。
これほどまでに心の中を全て、余すことなく伝えることができればと願った事が果たしてあっただろうか。
ぎゅうぎゅうと引き絞られるように痛む喉は音を紡ぐことはできなくて、らしくもなく滲んできた視界を誤魔化すように、彼の大きな背中に回した腕に力を込めた。
メンヘラサガちゃんと蟹
共依存がとっても似合う年中サガちゃん