高校の先輩で、大学に入って映画サークルに所属している人がいて、その人から聞いた話です。
その先輩を含めた3人の男子部員で8mm映画を撮ろうという話になり、「やはり主演の女の子はカワイイ子がいいな」という事から、タウン情報誌の募集コーナーに自主映画に主演してくれる女の子の募集広告を載せたそうです。
本の発売日の数日後、7〜8通の反響があり、3人はその審査をやっていて、
「この子、なかなかカワイイぞ」「この子も良いんじゃないか?」
などと、同封された写真とプロフィールを見ながら話をしていたらしいのですが、いきなり部員の1人が、「うわ!!何だコイツ・・・!!」と叫んだそうです。
その人が持っている写真を見ると、異様に顔が大きく、目がくぼんでいて、ちょっとパーマのかかったロングヘアーの女性が笑みを浮かべて映っていたそうです。
その風貌は、正直に言って気持ち悪いといった感じで名前は淵(ふち)さんといい、プロフィールには「ファッションモデル」と書かれてあったそうです。
でも、怖いもの見たさというか、からかい半分で採用する事にしたそうです。
数日後、メインの女の子と、そのファッションモデルを喫茶店に呼び、打ち合わせをする事に。
まずはメインの女の子(香織さん)と待ち合わせをして、ファッションモデルは1時間後に来るように連絡をしていたら約束の時間の少し前に来たそうです。
彼女は身長が185cm位あり、写真で見た通り顔が異様に大きく細長く目がくぼんでいたそうです。
ロングスカートにブラウスという普通の服装だったらしいのですがその高い背と大きな顔に圧倒されてしまったらしいです。
場の雰囲気を良くしようと、多少の冗談も混ぜて話を進めたけれど香織さんは良く笑ってくれるのに対し、淵さんはクスリともしなかったそうです。
そして、大きな公園で撮影を開始させたのですが、初めからメインは香織さんだったので、香織さん中心に進んでいき、淵さんは常に待機状態。
次第にイラ立ってくる彼女をなだめながら撮影していましたが、「そろそろ、あのファッションモデルも少し撮ってやらないとまずいな」という話になり、渋々ですが呼びに行こうとした時、今まで大人しく座っていた彼女が突然立ち上がり、「いつまで待たせるの!? 何でその子ばっかり撮るの!?」と、くぼんだ目をカッと見開いて叫び、ロングスカートの裾をたくし上げ、こちらに向かって猛ダッシュしてきたそうです。
その形相を見た先輩達3人は恐怖に駆られ、香織さんを放って逃げ出してしまいその後、携帯も変えアパートも変えたそうです。
それから香織さんに何度か連絡をとろうとしたそうなのですが、どこへ行ったのか、全く連絡がつかなかったそうです。
あのファッションモデルは何だったのか、香織さんはどうなったのか、いまだに謎みたいです。