設定読んでないと、もしかしたら訳分からん小話。(所詮、自己満←ヲイ)
強引な展開は、目を瞑ってやっといて下さい。
ユーリ過去捏造話です。
読んでやるぜ!って、方は続きからどーぞ♪
力尽きた様に、赤子を抱えて蹲る女を見付けた。
砂漠、そして明らかに外を旅する風貌では無い様子に、彼は訝しげに目を細める。が、見て見ぬ振りも後味悪いので、おもむろに女の身体を肩に乗せ、空いた片手で赤子を抱えた。
少々、乱暴な運び方だとは思うが、こうするより他に運ぶ方法は無い。
オアシスは、すぐそこである。
「・・・・・・う・・・?」
ぼやける視界。
ニ、三度、瞬きをしてピントを合わせると、そこには見覚えの無い、古ぼけた天井があった。
――・・・私は・・・確か、砂漠に居たんじゃ・・・?
そこまで考えて、ボンヤリした女の瞳に光が灯る。
「!!・・・殿下!!」
慌てて上体を起こし、辺りを見回した。が、自分が抱えていた赤子が見当たらない。
最悪の事態を想像して、女の唇が、にわかに色を失った。
――・・・まさか、もう、教団に・・・!?
嫌な汗が背中から吹き出し、女は急いでベッドから降りようとする。
瞬間。視界が歪み、起こした上体は力を無くし、ベッドへ倒れる。
時間を取られる訳には行かないのに、と、女は唇を噛み締めた。
「・・・殿・・・下・・・。」
「殿下ってのがコイツの名前か?随分変わった名前だな。」
不意に、焦る女へ聞き覚えの無い、男性の声が掛かった。
「むー。」
「?どうした?坊主。」
「うー!」
「――ったた!・・・なんだ?坊主。そんなに髭が気になるのか?」
「だぁ!」
赤子が、紫みの掛かった、黒の瞳を好奇心豊かに輝かせながら、男性の髭を引っ張る。
無邪気に戯れる赤子と、面倒見の良い初老の男性を見比べる女の口元には、自然と笑みが浮かんでいた。
「あの・・・ホワイトホースさんは・・・」
女に呼ばれ、初老の男性・・・ホワイトホースが赤子から、彼女へ注意を向ける。
「ギルドの人、なのですか?」
「・・・ああ。ダングレストっつー街を拠点に、ギルドをやっている。今日、此方へ来たのもギルドの用事でだ。・・・が、それが、どうしたんだ?」
ギルドの人間。
しかも、ローレライ教団の圧力を受けない、ダングレストの人間。
それを聞いて、女は唇を引き締め、ベッドのシーツの上で拳を握りしめた。
「私、エリス・ローウェルと言います。お願いです。その子、ユーリと私を、どうかダングレストまで連れて行って下さい!」