相変わらず捏造激しい過去話2ー。
1を見てからどうぞ。
読む人は、続きからレッツラゴーです。
・・・数年後。
「じーじ!まってよ、どんじーじ!!」
てちてちと、心許ない足取りで、黒髪の、幼い子供が老人まで走り寄る。
「おお、ユーリか。」
「おれも、じーじのぎるどのしごと、てつだう!」
子供、ユーリの気持ちは嬉しい。嬉しい・・・が。
「ユーリは家でエリス姉ちゃんと、お留守番、だ。お前が、もう少し大きくなったらギルドの仕事に連れていってやる。」
流石に五歳の子供を、魔物だらけの仕事先へ連れて行く訳にはいかない。
確かに、周囲の大人達に、よく構ってもらっている為か、三歳の誕生日に貰った木刀をよく振り回し、稽古をつけて貰っている。その為、剣の扱いに関しては、同年代の、どの子供達よりも秀でている位だ。
天性の才能も加わってか、簡単な魔物一体ならば、一人でなんとか倒せてしまう位、剣術のセンスが優れている。
ただ、一回。エリスに黙って簡単な魔物と戦わせた時、彼女と、自分の娘に散々叱られた。勿論、自分の監督付きなので安全性は確保出来ていたのだが・・・・・・。
因みに、この話を部下にした事は、まだ無い。
「おるすばん、つまんない!おれも、じーじのしごとするっ!!」
親の心、子知らず。いや、この場合、祖父の心、孫知らず。と、表現するのだろうか。
爺馬鹿なのは、自覚しているが、頼まれるとつい連れて行ってやりたくなる心を鬼にして、ドン・ホワイトホースは首を横に振る。
「帰ったら稽古つけてやるから、ユーリは大人しく待ってろ。それに、留守番も大事な仕事だ。」
“ユーリにしか出来ない仕事”。
そう言えば、渋々ながらも、ユーリは首を縦に振った。
「俺はニ、三日留守にする。その間、姉ちゃん達の事を頼んだぞ?」
「わかった。おれ、じーじのかわりに、ねーちゃんたちのこと、まもる!」
言って、ユーリは左手に持った木刀をクルクルと、バトンの様に回す。この子には、何故だか物を回す癖があった。
それでも名残惜しいのだろう。ダングレストの出口まで、ユーリは着いてくると、待たせていたギルドの仲間達と共に外へ行くホワイトホースへ手を振った。
この時、この瞬間を、十六年経てなお、ホワイトホースは未だに後悔する。
エリスとユーリの失踪。
そして、二人の死亡が裏付けされた報告は、ダングレストへ帰って来たホワイトホースの耳へ、直ぐに入れられたのだから。