英国の世界的バンド・QUEENが1975年に発表したアルバム[A Night At The Opera(オペラ座の夜)]を表現した舞台が、今秋上演されることになった。劇作家・演出家の野田秀樹氏)が主宰する<NODA・MAP>の新作『Q:A Night At The Kabuki』で、松たか子、上川隆也、初舞台の広瀬すず、志尊淳らが出演する。

[ボヘミアン・ラプソディー]などが収録された伝説の名盤が、メンバーがこよなく愛する日本で戯曲へと進化する。

昨秋公開の伝記映画[ボヘミアン・ラプソディ]が世界的に大ヒットしたQUEENだが、『Q』の企画は公開前の約2年前の昨年初めから進行していた。野田氏によると、QUEENの周辺から、[ボヘミアン・ラプソディ]を含むアルバム[オペラ座の夜;'75]の演劇性ある世界観を「演劇」として広げられないか、QUEENの好きな日本の劇作家・演出家ヒデキにお願いできないかとの依頼がきたという。

野田氏は「『棚からぼたもち』だね」と興奮。「オペラ座の夜」から着想を得た創作ワークショップを重ね、インスピレーションを文字に起こしクイーンの周辺に送ったところ、クイーンから「OK、やってくれ」と返事が来て、アルバム全12曲の使用も快諾した。

野田氏は台本を書き始めたが「『ボヘミアン・ラプソディ』のようなクイーンの実話では全くない。どちらかと言えば、『ロミオとジュリエット』の後日談である。そして『歌舞伎の夜』という副題も、勢いでつけただけで、芝居は全然カブキじゃない。でもカブイてはいるかな?という代物、こんな感じで始まります」と明かす。シェークスピアの名作をベースに、ロミジュリは死んでいなかったという発想から、「若き日」と「その後」の2人のロミオ、2人のジュリエットが登場。悲劇の死を遂げた2人が生きていたら…という大胆な脚色から始まり、上川&松、志尊&広瀬という2組の「ロミジュリ」が交錯していく。若き日は広瀬すずと志尊淳、その後は上川隆也と松たか子に決まった。

広瀬サンが[なつぞら]後の初仕事、そして初挑戦の舞台に野田作品を選んだ。忙しい仕事の合間を縫い、野田氏のワークショップに参加し、野田氏も広瀬サンの感性豊かな演技にほれ込んだ。

初舞台は、世界的ロックバンド・QUEENの名曲が流れる作品への挑戦となる。しかも、若きジュリエットは広瀬サンが演じ、その後は松たか子。さらに、広瀬サンと松サンのジュリエット、上川サンと志尊君のロミオと、4人が同じ舞台に立つ場面もありそうで、時代設定も12世紀末の日本、世は侍の時代の始まりという、初舞台としてはハードルの高い作品となる。

野田氏は「『時は、12世紀の末、ところは日本、世は侍の時台の始まり…』そして、あのクイーンの名曲が聞こえてきます」と、時空を超えた異色の作品になることを予告した。

野田氏が全幅の信頼を置く松サンは「どんなものになるか、私にはまださっぱり『?』であり、QUEENを聴き、イメージを膨らませる…には至っていませんが時空間を軽々と飛び越える野田さんの芝居に、すべてを委ねる覚悟です」とコメント。NODA・MAP初挑戦となる上川サンも「また、新しい地平線の見渡せる場所に立たせて頂きました。此処(ここ)から出来得る限りこのフィールドを楽しみ走り回って、その果てにどれだけ新しい景色と出会う事が出来るのか。今はそれが、本当に楽しみです」と未知の挑戦に胸を躍らせる。

広瀬サンと志尊君はワークショップを重ねての抜てき。同作が初舞台となる広瀬サンは、ヒロインを務める連続テレビ小説[なつぞら]終了後、間もなくの出演となるが「芸達者な役者さんしか表現出来ない舞台を毎回作られてる印象です。そこに私が、とは思いましたが、野田さんはじめ、大先輩のお力をお借りしながら、生物(なまもの)の世界を知りたくて挑戦してみたいと思いました」。志尊君も「ずっと観劇していたNODA・MAP。そして、こんな素敵な皆さんと板の上に立てること、幸せに思います。もしロミオとジュリエットが生きていたら…。精一杯ロミオとして生きさせていただきます」と意気込んだ。

共演者は橋本さとし、小松和重、伊勢佳世、羽野晶紀、竹中直人、野田秀樹。なお同公演は、Queenより正式に許諾された公認作品として上演される。作・演出は野田秀樹、音楽はQueenの楽曲を使用する。主催はNODA・MAP、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・ミュージックパブリッシング。

チケットの一般販売は9/7からスタートする。高校生は事前申込制で1000円割引。


■NODA・MAP 第23回公演【『Q:A Night At The Kabuki』inspired by A Night At TheOpera】
2019年10/8(火)〜10/15(火)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2019年10/19(土)〜10/27(日)
大阪府 新歌舞伎座

2019年10/31(木)〜1111/4(月・振休)
福岡県 北九州芸術劇場 大ホール

2019年11/9(土)〜12/11(水)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス


▽ブライアン・メイ(Queen)コメント
この度は伝説的劇作家・演出家の野田秀樹さんがクイーンのアルバム『オペラ座の夜』の演劇性を本物の舞台演劇にしてくださることになり、大変嬉しく、そして光栄に感じています。
日本との長きにわたる繋がりの中で、令和元年という新しい時代の幕開けに、演劇史に新たな1ページを刻むとされる作品で、日本の文化に関わることができるのは喜ばしい限りです。


◆オペラ座の夜
1975年11月に発表されたQUEEN 4作目のアルバム。曲やジャケットが同じ世界観で制作されたコンセプトアルバムで、アルバムチャートでは初の全英1位、全米でも4位を獲得した。収録曲の[ボヘミアン・ラプソディ]は英国で9週連続1位を記録し、グループの代表曲となった。76年に発表された5枚目のアルバム[A Day at the Races(邦題・華麗なるレース)]は[オペラ座の夜]と対になった作品とされる。