俳優の小栗旬が来年2021年10月スタートのTBS系日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』に主演することがわかった。原作は幾度となく映像化されてきた1973年刊行の小松左京による不朽の名作[日本沈没]。今回は原作にアレンジを加え、主人公を含むオリジナルキャラクターたちが2023年の東京を舞台に“沈没”という目に見えない危機に立ち向かっていくさまを描く。なお、旬君は2010年主演の日曜劇場[獣医ドリトル]以来、11年ぶりの同枠主演。この他、メインキャストとして香川照之、松山ケンイチ、小栗旬、杏、仲村トオルの参加も発表された。

1973年(昭48)に刊行された小松左京氏による小説[日本沈没]が原作。同局でも74年にドラマ化され、映画やアニメ、漫画などさまざまなコンテンツで楽しまれてきた。今作は2023年の東京を舞台に、主人公を含めオリジナルキャラクターで大きなアレンジを加えたストーリーになる。新型コロナなど大きな危機に見舞われたこの時代だからこそ「見いだしていく希望」をテーマに描かれるという。

今作は「未来への希望」をテーマを据えて、オリジナルの人物で描く。東仲恵吾プロデューサーは「来年は東日本大震災から10年。そして2020年にいろんなことがあった中で、日本沈没という未曽有の現象に立ち向かっていく希望になりたい」と説明した。

小栗旬が今作で演じるのは主人公・天海啓示(あまみ・けいし)。目的のためには手段を選ばず、時には強引な手法で政策を推し進めてきた野心家の環境省官僚。各省庁の次代を担う精鋭達を招集した“日本未来推進会議”に環境省代表として参加している中、日本地球物理学界の異端児・田所博士の“ある暴論”を通し、日本が未曾有の事態へと追い込まれていく運命に巻き込まれていく。

旬君は22年のNHK大河ドラマ[鎌倉殿の13人]に主演する。来夏には撮影に入るため、今作は今月11月から撮影が始まった。コロナ禍を踏まえ「ただでさえ苦しい環境の中、この題材は非常に難しいお話ですが、希望と人間の強さを届けられるよう、全力で希望を持って真摯に作品に向かっていきます」と力を込めた。

東仲プロデューサーは「(主人公が)道なき道を切り開いて立ち向かっていく力強さが小栗さんそのものだった」と起用理由を明かし「かつてない苦しい状況に追い込まれる中で、葛藤する様子、もがき苦しむ様子は今までの小栗さんの役どころとして新境地」と期待する。

天海と同じく“日本未来推進会議”に経産省代表として参加している有能な若手官僚常盤紘一(ときわ・こういち)を演じるのは松山ケンイチ。旬君とは、[リターンマッチ〜敗者復活戦〜]以来17年ぶりの共演。常盤は大手財閥の父を持つことから産業界にも顔が利く有力な若手官僚で、“日本未来推進会議”では議長も務めている有能な人物。天海とは大学の同期で互いを認め合っている。

正義感が強く環境省の腐敗を暴こうと必死に取材を続ける週刊誌の女性記者・椎名実梨(しいな・みのり)役には、杏が決定。杏サンは、旬君とは本作が初共演で、TBS系連ドラは初レギュラー。椎名は正義感が強く、かつては政治部の記者だったが、攻撃的な姿勢が理由で週刊誌に異動。新聞記者に戻るために大きなスクープをあげるべく、環境省の腐敗を暴こうと必死に取材を続けている中で天海と出会う。天海の大義に気付いていく中で、次第にお互いを仕事人として、また一人の人間として認め合っていくことになる。

また、天海や常盤が参加している“日本未来推進会議”を発足した張本人であり、誠実さが売りで国民からの支持率が高い総理大臣・東山栄一(ひがしやま・えいいち)役は仲村トオル。東山総理は日本を環境先進国に向かわせるべく、汚染物質を海底地層に貯留するシステム「COMS<コムス>」の推進を発表したものの、日本沈没という未曾有の危機に直面することになる。旬君とは24年前に[ラスト・イニング]で初共演以来、共演を重ねているが、近年では[二つの祖国]で対峙している。

そして、原作でも重要な鍵を握る屈指の人気キャラクター・田所雄介(たどころ・ゆうすけ)を演じるのは香川照之。今作で旬君とは[キサラギ]以来14年ぶり、[半沢直樹]など日曜劇場出演11回目となる香川サンが演じる田所は、日本地球物理学界の異端児として学界の鼻つまみ者扱いをされていたが、突然“沈没の危機”を訴え、事態を一変させる。最初は「インチキ学者のたわごと」と相手にされないが、状況が田所の予測した通りに進んでいくと、次第にその発言が注目されるようになっていく。常に周囲を翻弄する曲者・田所と、天海はどう対峙していくのか。小栗率いる日本を代表する俳優たちの演技合戦もみどころとなる。


脚本は、[華麗なる一族][獣医ドリトル]、[ウォーターボーイズ]シリーズ、[リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜]、映画[こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話]などの橋本裕志、プロデューサーは[グッドワイフ][グランメゾン東京][おカネの切れ目が恋のはじまり]などの東仲恵吾が担当する。


◎『日本沈没―希望のひと―』あらすじ
2023年、東京。東山総理(仲村トオル)は、世界環境会議で汚染物質を液化して海底地層の隙間に貯留する「COMS<コムス>」のさらなる推進を高らかに表明した。さらに東山は、“未来の日本”を見据えて各省庁の優秀な若手官僚たちを集めた“日本未来推進会議”を発足。そのメンバーに環境省の天海啓示(小栗旬)、経産省の常盤紘一(松山ケンイチ)も選ばれていた。

そんな折、ある週刊誌に関東沈没へ警鐘を鳴らす田所雄介(香川照之)の記事が載る。この記事が原因で、一部の団体がデモを起こし、天海は事態収束のために田所と対面する。しかし、田所は天海の話に一切耳を傾けず、「近い将来、伊豆沖で島が沈没する。その島の沈没は、私が恐れてきた関東沈没の前兆になる」という不気味な予言を放ち、天海は翻弄される。

そんな矢先、天海は週刊誌「サンデー毎朝」記者の椎名実梨(杏)に「Dプランズ」という環境ビジネスで稼ぐ企業と環境省のあらぬ癒着疑惑を突きつけられる。

一抹の不安を抱えつつ、常盤と共に趣味のスキューバーダイビングに出かけた天海は、そこで衝撃的な出来事に遭遇してしまうー。


□[日本沈没]
小松左京さんが9年がかりで完成させたSF小説。73年に発売され、上下巻で累計460万部を売り上げたベストセラー。同年に東宝が当時史上最高の5億円の製作費を投じて映画化。藤岡弘、、故小林桂樹さん、故丹波哲郎さんらが出演し、650万人を動員。興行収入40億円(現在の貨幣価値で100億円)のメガヒットとなった。翌74年に小林さん、村野武範らの出演でドラマ化。2006年に樋口真嗣監督が映画をリメークし、草なぎ剛が主演。興収53億4000万円を記録した。

[日本沈没]メモ
▼原作 1973年に上下刊で発売。重版が次々にかかり、累計460万部を記録するベストセラーに。筒井康隆によるパロディー短編[日本以外全部沈没]も刊行されるなど社会現象となった。

▼映画化 73年12月に東宝で公開。小林桂樹が主演し、田所博士役。共演に丹波哲郎、藤岡弘ら。翌年には同じく小林サン主演でTBS系でドラマ版も制作された。

▼リメイク 06年7月にも草なぎギ剛主演で映画化。田所博士は豊川悦司が演じた。同年には河崎実監督で[日本以外全部沈没]も初映画化された。

▼アニメ化 20年7月にNetflixアニメとして配信。ストーリーは完全オリジナルで、2020年東京五輪直後に起きた巨大地震が描かれる。


▽小栗旬コメント
「日本沈没」といういまだかつてない困難に立ち向かっていく作品です。ただでさえ苦しい環境の中、この題材は非常に難しいお話ですが、その中でも“希望”と“人間の強さ”を届けられるよう、自分を含め、キャスト、スタッフ全力で希望を持って真摯に作品に向かっていきます。
今を生きる皆さんへの賛歌になれるような作品にしていきたいと思っておりますので、ぜひご期待ください。

▽松山ケンイチ コメント
まだ全ての台本が手元にないのでどんな話になるのか分かりませんが、想定外の国の危機に日本人はどう立ち振る舞っていくのか、どう助け合っていくのか、どんな答えが出るのか、楽しみです。客観的に国のこととそこに生きている自分自身を見つめ直すきっかけになる作品になると思います。

▽杏コメント
今回初めてTBS連続ドラマにレギュラー出演させていただくことになりました。日本沈没というどうしようもない自然の脅威にどう立ち向かうかというキャラクターたちの姿は、今の混乱の世の中で戦っている皆さまと近い気持ちで共鳴し合えるのかなと思っています。
そして、演じる私たちもそのような不安や脅威を抱えつつ乗り切ることになります。これを映像として残せることは意味があるような気がしています。万全の体制で挑みつつ、全力でぶつかっていきたいと思います。

▽仲村トオル コメント
2007年の「華麗なる一族」以来の日曜劇場。初めての総理大臣役に緊張しています。僕が演じる東山首相は、物語のはじめは一国のリーダーとしてはやや弱く甘い男に見えますが、逆風の中、上り坂を登った足に力がつくように、最終回を観た人たちに、困難な状況の日々でも諦めず前を向いて歩き続けた人間の未来には少し強くなった新しい自分がいる、というような希望を感じていただけるように全力で頑張ります。

▽香川照之コメント
政府側の海洋環境改革方針に対し、独自の理論で徹底的に異論を唱える頑固な博士の役です。ドラマの原作は何十年も前のものですが、環境破壊問題はいま別の形でこの地球を襲っています。その意味でもわれわれには、未来まで持続可能な環境への取り組みが不断に求められている。
日本が沈没するという、かつては荒唐無稽と思われたテーマを通して、地球が現在抱えている多くの課題を、改めてこのドラマで訴えていきたいと思っています。

▽脚本・橋本裕志コメント
今へ、未来へとつながる、新たな「日本沈没」を目指して、これまでに映像化されたものとは違った角度からのアプローチで取り組んでいます。危機を前にした時にあぶり出される人間のさまざまな感情や、思いのぶつかり合い、極限状態だからこそ繰り広げられる人間ドラマが、そこにはあります。
明日が見えない中で、それでも希望を探して生きていく登場人物たちのエネルギーを通して、皆さんに勇気を与えられる作品をお届け出来ればと考えています。

▽プロデュース・東仲恵吾氏コメント
今作のテーマは、未来への希望です。日本沈没が目前に迫ってくる中で、決して諦めずに今やるべきことを全力でやる人たちの人間ドラマを丁寧に描いていきたいと思っています。
そして、「未曾有の危機でもこの人たちなら救ってくれるんじゃないか」そう思わせてくれる力強いキャラクターを、小栗旬さんをはじめ、松山ケンイチさん、杏さん、仲村トオルさん、香川照之さんと共に議論しながら、ドラマ版オリジナルキャラクターを作り上げました。最後まで立ち向かった先にある“希望”を精いっぱいの熱量で作りたいと思います。


日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』は、TBS系にて2021年10月より毎週日曜21時放送。