俳優の小栗旬が、Huluオリジナル連続ドラマ『代償;11/18より日米同時配信開始予定、全6話』で、海外進出することがわかった。2005年に[いつか、虹の向こうへ]で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞した伊岡瞬氏が14年に上梓した同名小説(角川文庫)を映像化。“人間の恐ろしき業”が、途方もない恐怖と嫌悪感を呼ぶ、Huluオリジナル連続ドラマが、世界を震撼させる。

「白石法律事務所」で敏腕弁護士として活躍する奥山圭輔(小栗旬)のもとへ、強盗殺人事件の容疑者・安藤達也(高橋努)の義母・道子(片岡礼子)から、一通の手紙が届いた。「あなたの親友である安藤達也の弁護をお引き受けください」――そう懇願する文面を読んだ瞬間、圭輔は猛烈な吐き気をもよおす。わなわなと震える圭輔。その脳裏には、葬り去っていた“凄惨な過去”がよみがえっていた…。

すべては17年前、近所に引っ越してきた遠縁の達也に圭輔が「友だちになろうよ」と声を掛けたことから始まった。達也は道子と共謀し、金をしぼり取るために奥山家へ近づいたのだが、そんな計画などつゆ知らず圭輔らは達也との親交を深めていった。だが圭輔はやがて、達也の行動に違和感を覚え始める。そんな中奥山家が火事になり、圭輔は両親を亡くすという不遇に見舞われる。しかも、その火事は達也によって巧妙に仕組まれたものだったのだ。だがその犯罪が露呈することはなく、圭輔は“サイコパス・達也”の意のままに操られさらに追い詰められていった。火事を境に達也の家に引き取られた圭輔は、人格など存在しない“悪夢のような少年時代”を強いられ、心を病んでしまったのである。堰を切ったように、頭の中をめぐり始める過去。恐怖心と嫌悪感にさいなまれる中、達也の呪縛から解き放たれたいまの暮らしを壊したくないと考えた圭輔は、独断で弁護を断ることに。だが、達也の魔の手はとうとう、圭輔の周りにまで伸び――!?

達也の狙いは何なのか、そしてどんな“代償”を払ってでも、達也という悪魔をどうにかしなければならないと立ち上がった圭輔を待ち受ける運命とは…。彼を社会から葬るため、危険な賭けに出る圭輔にとって新たな悪夢との戦いが幕を開ける。

人間の正義感と悪意、策略が交錯する中、驚がくのラストへと疾走していく日本発・震撼のクライムサスペンスが海を越え、空前の衝撃を与える。

これまで実験的な作品にも果敢に挑戦し、さまざまな役を演じてきた旬君だが、「代償」ではさらなる新境地を開拓。“精神の限界まで追い詰められた弱々しい男”の役に挑む。

旬君が演じる弁護士・圭輔は少年時代、達也の底知れぬ悪意によって、家族や大切な人たちの命を次々と奪われ、自身もまた人格崩壊寸前に至るような仕打ちを受け続け“凄惨(せいさん)な環境”を強いられてきた。

そんな壮絶な過去によって強迫性障害を患った上に、今度はその原因を作った達也の弁護を担当するはめに。弁護士として彼を救うのか、それとも…。

圭輔は正義と悪の間で揺れに揺れ、ますます追い詰められていく。このかつてない役に、並々ならぬ意欲をたぎらせる小栗。自らの身と心を削りながら、役を追求する旬君の鬼気迫る姿勢が、圭輔と重なり、これまで見たことのない旬君の姿が視聴者に衝撃を与えそうだ。

理屈では割り切れない“人間の恐るべき業”が見る者全てを震え上がらせ、恐怖と嫌悪の渦の中へと引き込んでいく本作。地上波では映像化不可能と言っても過言ではない問題作を、手を緩めず徹底的に立体化すべく、旬君の脇を固めるキャストにも実力派のメンバーが集められた。

一方、圭輔の友人で、無期刑を求刑されている強盗殺人事件の容疑者・安藤達也を務めるのは、旬君とも普段から親交の深い俳優の高橋努。一見すると好青年だが、家庭崩壊に人格否定、犯罪教唆、近親憎悪、人身操作…あらゆる卑劣な手を使い、かつて圭輔を不幸のどん底へと追い詰めた得体の知れない“サイコパス”。あたかもゲームを楽しむかのように、自らの手を汚さずに周囲を操り、犯罪を繰り返す脅威の存在を、どこまでも薄気味悪く演じる。

中学時代の圭輔の友人で、当時から達也の正体を熟知し、その本性を白日の下にさらそうと取材を続けるジャーナリスト、諸田寿人役に淵上泰史。達也の義母で、様々な悪事をはたらく安藤道子役に片岡礼子。人知れず苦しむ圭輔を静かに見守り、支え続けている心療内科「吉田クリニック」の医師、吉田肇役に平田満。圭輔の実力を認めながらも、彼の心の闇を危険視する圭輔が所属する「白石法律事務所」の所長、白石慎次郎役に石橋凌。

達也に有利な証言をする佃紗弓役に柳英里紗、達也のさまざまな悪事の片棒を担いでいる舎弟・田口優人役に柳俊太郎。強盗殺人事件の容疑者として捕まった達也の公判を担当する東京地方検察庁の検察官、茂手木一之役に堀部圭亮らが脇を固め、物語を盛り上げていく。

ドラマ[世にも奇妙な物語]シリーズで演出を手掛けてきた後藤庸介と、[電車男][一週間フレンズ。]な村上正典が監督を務めた。スピーディーなシーン展開と複雑に絡み合うストーリーは、海外ドラマにも対抗できるとして、Huluのオリジナルドラマで初となる日米同時配信が決定した。


▼小栗旬コメント
*圭輔の印象
圭輔は心の病気を患いながらも、表向きは普通の顔をして生活していかなければならないキャラクター。“他者に対してある種、嘘をついている”ということを常に考え、感じながら演じなければならないんです。原作を読んだ時点で『これはしんどい役になるだろうな』と予想はしていましたけど、実際に撮影をしてみて『やっぱり、なかなか大変だな』と(笑)。特に、達也と再会してからの圭輔は、そわそわしている時間が最後まで続きますからね。撮影以外の時は、役のことをあまり考えないようにしようと思ってはいても、結局考えてしまうので、僕自身も日頃からざわざわしている感じがあります。

今回はありがたいことに、最初に全話分の台本を頂いたんですよ。キャラクター作りについて考える時間がたっぷりあるので助かっている半面、実はこれまでに経験したことのない難しさも感じています。というのも、撮影では一日中、苦しんで薬を飲むシーンを何話分も撮ったりするんです。『どうやって差をつけたらいいんだろう!?』と、表現のバランスの取り方で試行錯誤する日々ですね。

*共演の高橋努について
今回の現場でも、努くんの存在にすごく助けられています。普段から親しい間柄なので、先々撮るシーンのお芝居について話したり、読み合わせをしたりしながら、1人だけでは埋まりきらない部分を2人で共有できているんですよ。また、努くんが演じる達也は何を考えているのかよく分からないし、それでいて相手を射抜くような目をしているところもある!いざ会ってみると、やっぱりちょっと気持ち悪くて(笑)、僕もより圭輔として気持ちが入るんです。

*日米同時配信について
自分たちが作った作品が海外の方にどのように感じていただけるのか気になりますね。キャストもスタッフも精一杯やりましたので。

*本作の見どころ
『代償』は地上波のドラマなどではなかなか題材にしにくい物語。それを連続ドラマという枠組みで、約6時間使って掘り下げて作っていますし、面白がって見てもらえる作品になってるんじゃないかな、と思います。最初は弁護士モノのスタイルで始まり、途中からはだいぶ路線が変わるんですけど、そういう点では“弁護士の仕事をしている1人の人間の生きざま”みたいなものが出ている作品でもあります。何と言っても、後からまとめて一気見できるのがいい!実は僕自身、ネット配信サービスでドラマを見る時は、一気見できる作品を選びがちなんですよ(笑)。特に、この『代償』に関しては、最後にまとめて一気見することで、世界観がより深く伝わってくる作品なんじゃないかなって思います。

▼戸石紀子プロデューサー コメント
小栗さんは、どんな役でも幅広く演じることができる変幻自在の俳優さんです。その圧倒的な演技力のみならず、高身長、スタイルと魅力的な低い声は、海外のドラマファンからも好かれる要素です。記念すべきHulu発の海外同時配信作品として、この度日本を代表する俳優として、小栗さんを起用させていただき、見事に演じていただきました。小栗さんが演じる圭輔は、神経質で精神疾患がある役どころなので、彼が追い込まれていくシーンは丁寧に時間をかけて撮影しました。この作品は、海外ドラマのように余計な説明を省いて、スピーディーな展開に見せることを意識しています。さらに、全話の台本があるうえで撮影に入れたため、1話から順番に撮るのではなく、パズルのように組み合わせて撮ったり、伏線を意識して作ることもできました。