たかみなside
しょうがないよね・・・由依が悪いんだ・・・
目の前でヒューヒュー苦しそうに息をしているのは私の後輩であり次期総監督となる横山由依
由依の周りには真っ赤な血の海が広がっていて、そばには鮮やかに染まった小型のナイフが落ちていた
「由依・・・苦しい?」
「たかみ・・・さん・・・」
ケホッと中身のない乾いた咳は由依の呼吸を苦しめるだけ
「悪いのはどっち?」
「あたし・・・で・・す」
今度の咳は真っ赤な血と共に吐き出された
「由依が悪いんだよね・・・由依が悪いんだ」
由依の腹には痛々しい深い傷がある。そこから泉のように血が溢れ出てた
「ごめんな・・・さい・・」
涙がぽろぽろしずくのようにあふれでていく
「その涙はなんだ?。痛いから?苦しいから?悔しいから?辛いから??」
傷口をつま先でトントンと叩く
一瞬息が止まってもうなにも答えなくなった
死んだわけじゃないし意識もまだあるけど。
多分もう喋る気力がないんだ
「由依は・・・総監督になりそびれた仮だね」
「っ・!・・ハァハァ・・・」
「助けて欲しい?」
携帯片手にそう言ったら首を横に振った
「ん?」
「あたし・・・は悪い・・・子やから・・・死んで・・・償わな」
苦しそうに辛そうに・・・でも真っ直ぐ目を捉えて最後の言葉を残していった。
由依が悪い。由依が悪いんだ。
でも・・・助けてあげることは出来たのかな?
由依を苦しみから救うことぐらいは・・・
出来たのか・・・?。