田舎で6

…距離が離れてると思ったが流石に田舎だ、
俺の苗字を見ただけでだいたいの系譜があっという間にばれてしまった。

「今、これから警察に行くこともできるんですけど」
と、彼女が言葉を続ける
もう、駄目だ。
俺が破滅するだけじゃなくて、ばあちゃんもここに住めなくなるかもしれない。
ごめん、父ちゃん、ばあちゃん・・

「どうします?警察は嫌ですか?」

先ほどまであんなに怯え、いまさっき処女を散らしたばかりの少女とは思えない、堂々とした態度。
勘弁してもらえるなら何でもする、と卑屈になる俺は、さっきとは全く攻守が逆転している。
それじゃ、こっちに一緒に来てくださいと
さっきの彼女の衣類とバッグが置いてある所まで連れてこられると、
彼女がバッグから学校のノート−表紙には2年1組と、可愛らしい名前が書かれているー 
と鉛筆を取り出した

「ここに、あなたが今日私をレイプしました、って書いてください。
あ、私の名前は ノートの表に書いてあります」

と、適当な白いページを開いたノートと鉛筆を渡される。
もうこの先どうなるかわからないが、自分の破滅以外も掛かってる身としては
警察を回避できるならもう何でもするしかない。
適当な文面が思いつかなかったが、震える手でいわれたとおりの内容を簡潔に書く。
署名も、と言われて署名もする。
それを受け取った彼女は、ふと思いついたように

「拇印もお願いします」
と言う。拇印を押そうにも朱肉などない。
時代劇の連番状のように指を噛み切って血で押すべきかと逡巡すると、
彼女が俺の手を取り、親指を彼女の秘部へ誘導する
え、と思った瞬間、指先には血が混じった精液が手に付く

「それで押してください。あ、私の血とあなたが出したのが混じったやつだから
 証拠としても効力ありそうですよね」

なぜか嬉しそうに言う彼女に俺はもう抵抗できず、力なくその親指に付いた液体をノートに押し付ける
あまり拇印のような形にはならなかったが、それでも彼女は満足そうだ

「それじゃ、としあきさん。今日からあなたは私の言うこと何でも聞いてくれるって
約束してくれますか?」

サスペンスドラマなら逆上した犯人が彼女の首を絞めるところかもしれないが、
そんな度胸が無い俺は頷くしかない。
それを見た裸で仁王立ちしている彼女は、俺が東京に帰る日を尋ねると

「それじゃ、帰る日まで毎日、12時丁度にここに来てください。もしこない日があったら…
 わかってますね?」

…とまぁ、こんな感じで一日が終わったわけ。

次の日、その次の日と行った川原で警察や彼女の家族が待ち構えているといったことはなく、
俺としてある意味パラダイスが毎日続くことになった。
まぁ、基本的に俺が下で動くから石とかで切れた背中とかの生傷が痛いのが悩みの種なんだけどね。
今年もあとちょっとで帰省なんだが、彼女の脅迫はその年のお盆までが効力ではなく
毎年の帰省とその度の逢瀬も強要されている。
実際、その事に全く不満は無いんだけど主導権を取り返すためにも
今年あたり隠しカメラを仕込んで本当に撮影してやろうかと考えている