どんな治療法にもリスクや問題はありますが、インプラント治療の最大のリスクはもしも、失敗したとき、全く同じ治療をやり直すことはまず不可能という点です。
入れ歯、ブリッジ、クラウンなどの義歯と異なりあごの骨にインプラントを定着させるので何らかの理由でインプラントと骨がなじまず、インプラントが定着しなければ同じ穴に再びインプラントを埋入することができず、再手術して、いったん削ったところをさらに深く掘ることになるのです。
埋入するのもリスクがあって、周辺の神経を損傷する危険性もあります。
典型的なインプラント治療は、大きな3つの関門があります。
最初に人工歯根を、歯茎を切り開いてあごの骨を掘ったところに埋め込みます。
あごの骨、及び周辺組織と人工歯根がなじみ、定着するのを待ちます。
歯根と義歯の間をつなぐアタッチメントをつけ、義歯をかぶせれば使用可能です。
というプロセスをたどります。
人工物を骨に埋め込むのですから、組織が歯根の周りにできて骨に定着するまでには時間がかかり、もちろん、いろいろなケースがありますが、2ヶ月くらいは最低でもかかり、長い場合は6ヶ月ほどかかるのが普通です。
インプラント治療の開始から、本格的な義歯を入れるまでに短めなら3ヶ月ほど、長いと10ヶ月に渡る治療期間を要します。
技術の進歩した今では、インプラントの専門医も登場し、失敗例は少なくなりましたが、それも皆無とはいきません。
人工歯根とその上の義歯の接続が不十分で、歯がグラついて違和感を覚えるなど、問題となる不具合が報告されています。
これは担当歯科医の技量の低さの影響が多分にあります。
高い技量を持つ歯科医を選ぶことが大事だといえるでしょう。
埋入手術後の経過が良く、義歯の使用に問題がなければインプラント治療は終了です。
けれども歯科医の指示に従ってメンテナンスを受けなければならず異常がなくても維持費は必要になります。
使用に問題がなくても、三ヶ月に一度のペースで定期検診に通うのが一般的です。
定期検診にかかるお金は基本が保険適用なので、あまり高額にはならず三千円程度かかることが多いです。
普通は、一年あたり1万円、もしくは、2万円程度の費用を支払うことになります。
インプラント治療を始める前にチェックすることとして、あごの骨が治療に耐えられるかどうか調べてください。
特に、歯周病や顎関節症の既往症があれば、治療開始前にそちらの病気を完全に治すのがとても大事です。
それから、美容整形や外傷といった、あごの骨に手を加えた経験がある方も治療が事故につながる可能性があります。
もちろん、こうした既往症があるだけでインプラント治療ができないわけではないため不安がなくなるよう歯科医に相談してください。