カーテンから漏れる淡い光に当てられ、チュンチュンと鳴く鳥の鳴き声に 誘われるように眠りから覚めた。カーテンを開けると、ポカポカとした暖かい陽気を受け、僕はふわっと欠伸を漏らしながら 両手を伸ばし 延びをする。台所で、母さんが用意しているであろう朝食の匂いを嗅ぎ、目をこすりながらのっそりとベッドから降りる。シーツを伸ばし、もう一度欠伸を漏らしながらようやっと顔を洗いに行く。母さんにおはようと呟いてから、そのままトイレにも行く。制服に着替えて、朝食を食べる。母さんが今日は帰りが遅くなるけど、お夕飯には間に合うからと言って牛乳をついでくれた。わかった、と返事をして食べ終わった食器を下げる。歯を磨き終え、カバンを持っていざ行かんとしていると、玄関で母さんが誰かと話す声が聞こえた。楽しげにはなす声の向こう側には秋本がいた。「お、あゆむ〜おはようさん!」「おはようじゃない、名前をのばすな、なぜお前がいるんだ秋本」「なぜって、迎えに来たんやないか〜」「ロミオ、あなたに会えてうれしいわ、
でももう充分だから帰って頂戴」「さぁさジュリエット、私とともに参りましょう!二人でどこまでも、地の果てまでも行きましょうぞ…!」「ロミオ…!嬉しいわロミオ!でも私はこれから行かなくちゃいけないところがあるの…ロミオ、あなた一人で地の果てまで行って頂戴 今すぐに 、早急に」「そんな〜つれないこと言わんとって下さいジュリエット」後ろで母さんがクスクスと笑っている。僕は靴を掃き終えて玄関をでる。「いってらっしゃい、歩」「行ってきます」後ろで秋本が 行ってきます、お母様!と言って敬礼をする。母さんが笑いながらいってらっしゃいと手を振る。ドアを閉めて鞄をしょい直す。「ほないこか」と秋本が言って、二人同時に歩き出した。ぽかぽかと暖かい、風がふんわりと耳の横をすり抜ける。


「The MANZAI」秋本、歩
ロミオのお迎え。(ロミオとジュリエット)