なんてことはない。
ただ前から追っていた麻薬を売買している組織が今夜動くとの情報を入手し、それを鎮圧しに行くだけだ。
はっきりした人数までは分からないけど、俺一人だけでも十分だとは思うが、用心にこしたことはない。
俺の部隊で就くことになった。
5人しかいない俺の部隊。
それに加え絶対に着いていくときかない山本に、雨の部隊数人が加わり、全部で10人でこの任務に就くことになった。
他の部隊と戦線にでることがあまりないうえ、もう一人の部隊長の山本が声がでないままだから、なんだか緊張してしまう。
そんな俺とは対称にのんびりした様子の山本。
戦線にでてる場数が違うからかその差なんだろうが、なんだかイラッとしてしまう。
簡単に作戦だけを伝えて、それぞれ二人ずつに別れて配置につく。
雨と嵐がそれぞれペアになり、何かあれば全て俺の方へ報告するよう伝えてある。
今回、港の近くにある倉庫で売買を行うらしく、なんて在り来たりな…なんてあきれてしまうが、実際今はそんなことどうでもいい話で。
俺と山本がペアとなり、倉庫の中へと侵入する。
すでに売買が行われてる最中のようで、ざっと見た感じでは15人程度。
金の受け渡しまで見届けた直後、外の方から銃声が聞こえた。
ついに動き出したようだ。
俺たちが監視してた奴等も慌てるように去ろうとしたから、俺たちも動き出す。
「動くな!」
銃口を向けて威嚇したが、そんなの聞く耳など持たない奴等は匣兵器まで持ち出した。
倉庫内は一気に戦場と化した。
俺も匣兵器で対抗すべく、左手にはめた5つの指輪に炎をともす。
しかし、動き出すのは俺より山本の方が速かった。
いつの間に出したのか、俺の足元には山本の匣兵器の次郎がいて、その逆隣にいたはずの山本は小次郎とともに、敵方へと特攻していた。
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