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アナタと一緒に。



「俺を信じろ」


なんて人には言うクセに、自分は周りのことを信用していない。
虎徹さんの悪いところだ。


人一倍まわりを気にして、
人一倍人の為に走りまわって。

いつだって自分より人が先で、
いつだって自分より人のことばかり気にかけて。


なんて損な性分の人だろうとさえ憐れに思う。


だけど、そんな虎徹さんだからこそ、今、こうして、僕はこうして安心して彼の隣にいれるのだと思うと、自然と笑みがこぼれてくる。





両親の仇をとるために走りまわった20年間。

それもようやく終わって肩の荷がおりて。


昔の僕だったらきっとこれから何を生き甲斐にどうやって生きていけばいいのかわからなくて、何も感じることのない、無感情の人形のような人生を送るだけだったのだろう。



でも、今は違う。

虎徹さんに出会ってから、僕の人生に光が差し込んだ。



両親の仇の為に始めたヒーローだったけど、今は誰かの役にたちたい。
困ってる人がいれば助けたい。
それらは虎徹さんが教えてくれたことだ。


だから、この人に恥じない自分でありたい。
いつも自分のことで精一杯だった自分が、他人のことを考えられるようになったのも全て、この人のおかげだから。


自分の荷物を抱えたうえで、更に人の荷物まで持とうとするこの人の隣で、その荷物を一緒に持ってあげられるような相棒になりたい。

この人の一番近くで喜んで、怒って、哀しんで、泣いて、楽しんで、笑って。

同じものを見て、
同じものにふれて、
同じものを感じたい。




そう思うのは、僕のワガママですか?





END

――――――――――

初タイバニSS…!
間違ってもヤンバニではありません一応…(笑)
くっついてはいないんだけど、ジェイク戦が終わってからの空白の10ヶ月が気になって仕方ない…!
バニーちゃんはヒヨコの刷り込み的に虎徹さんのことを信用して後ろをついてまわってるんじゃないか、と。
(その結果うまれたのがあのデレバニ…!(笑)

僕の名前を呼ぶ君のその優しい声が。9



「…隼人!!」


久し振りの声に驚く間も無く、それからはスローモーションのように時間が流れた。

いきなり力強く腕をひかれ、何事かと振り返れば山本の背中が視界に入った。
それから何発かの銃声が聞こえて、山本の左手から血が滴るのが見えた。
うまく思考回路が動く間も無く山本の背中が遠ざかり、こっちに銃口を向けた敵に斬りかかり、どさっという音とともに血まみれになった敵が倒れるのが分かった。


ほんの一瞬の出来事だった。


返り血をあびた山本が振り返って、目が合って。
そこでやっと身体が動いた。


「…っお前!左腕…!撃たれて…!!」


やっぱりまだ動揺してて、慌てて山本に駆け寄る。
自分のネクタイをはずして山本の左腕をきつく縛る。


「隼人、しめすぎ。痛いのな」
「文句言ってんじゃねぇよ!バカ!!っつーかなんでオレなんかかばって…!」
「大丈夫だって。大したことないし」
「腕だけか!?他は!?」
「大丈夫だってば。隼人は心配性なのなー」
「こっちは本気で心配してんだよ!」


けらけら笑う山本に苛立ちを感じ、胸ぐらをつかんで揺さぶる。
怪我人だとか、そんなの知ったことか。


…そういえば動揺してて忘れてたけど…。


「…山本…お前、声…」
「ん?」


お互いきょとんとして見つめ合う。


「…声、戻ったのか?」
「ホントだ。戻ってる」


自分の喉元を押さえてあーあーとか発声をしだす。


「…なんかイロイロと結果オーライじゃね?」


やっぱりケラケラ笑い続ける血まみれの山本に、安心感と、ほんの少しの苛立ちを感じる。
それからピタッと笑いをとめて、いつもの優しい笑顔になって。
山本の顔が近づいてきて。


「これでまた隼人の名前が呼べる」
「山本…」


血塗られたこんな場所で二人、ゆっくりとまぶたを閉じて、静かに口づけを交わした。





end

――――――――――

長いことメールボックスに放置してましたあわわわわ…!
全然進展のない24山獄…なんでコイツら動かないの…!ジタバタ!!
山本!獄寺なんてもーガバッと押し倒しちゃえよっ!

やたらすっげぇテク持ってる山本といろんなぷれぇが好きな獄寺なハレンチな山獄も好きですが、いつまで経ってもなかなか進展しなくてウダウダやってるずっと初恋的な初々しい山獄も好きです。

僕の名前を呼ぶ君のその優しい声が。8



隼人より俺の方が戦線に出てる数が多いだけ。
だから相手がかまえた時に、隼人より俺の方が動くのが速かった。

特攻隊と言われてる俺はどちらかといえば近距離戦向きだから突っ込んで行くしかない。

とりあえず目の前の奴等を片っ端から斬り倒していく。

昔はそれこそ死なない程度に致命傷を負わせる程度だったけど隼人が側にいる今、そんなこと言ってられない。
隼人が傷付くのも、手を汚すのも、俺が、見ていられないから。
だから隼人よりも速く動かなければ。

向こうも反撃してくるけど、それをかわしながら次々に斬り倒していく。
後方から隼人も支援してくれ、思ったよりも早くカタをつけることができた。
外で戦ってた部下たちからも鎮圧に成功した報告を受けたようで、あとはこの現場をどうにかしなければならない。
さすがに隼人と二人でこの人数は無理だから、部下達を待つことになる。


「…お前、いつもこんなムチャばっかしてんのかよ…?」


声がして振り返ると、眉尻を下げて、寂しそうな表情をした隼人と目が合った。
ムチャしてるつもりはないんだけど、と思い首をかしげる。
更に悲しそうな表情をして俯いてしまった。

隼人に近づいていって、頭を撫でてやれば、顔を上げた隼人と目が合う。

ケガしてない?

口だけをそう動かせば通じたみたいで。


「オレは大丈夫だ。お前は?」


ピースしてみせれば、少し安心したようで。


「外の方のカタがついたらオレの方の部隊が来る。それまではここで待機だ」


ジャケットの内ポケットからタバコを取り出し火をつけ、煙を吐き出して少し落ち着いた様子の隼人を見て、自分が倒した奴等を振り返る。
何人か息をしてる奴等もいるけど、ほとんどがこと切れた奴等ばかりだ。
いつものことでもう慣れてしまったこの状況にため息をついて、隼人の方へ向き直る。

ちょうど、隼人の後方に倒れていて、銃をこちらにむけてる敵が視界に入った。



「…隼人!!」





next

――――――――――

僕の名前を呼ぶ君のその優しい声が。7



なんてことはない。
ただ前から追っていた麻薬を売買している組織が今夜動くとの情報を入手し、それを鎮圧しに行くだけだ。

はっきりした人数までは分からないけど、俺一人だけでも十分だとは思うが、用心にこしたことはない。
俺の部隊で就くことになった。


5人しかいない俺の部隊。
それに加え絶対に着いていくときかない山本に、雨の部隊数人が加わり、全部で10人でこの任務に就くことになった。


他の部隊と戦線にでることがあまりないうえ、もう一人の部隊長の山本が声がでないままだから、なんだか緊張してしまう。

そんな俺とは対称にのんびりした様子の山本。
戦線にでてる場数が違うからかその差なんだろうが、なんだかイラッとしてしまう。


簡単に作戦だけを伝えて、それぞれ二人ずつに別れて配置につく。
雨と嵐がそれぞれペアになり、何かあれば全て俺の方へ報告するよう伝えてある。


今回、港の近くにある倉庫で売買を行うらしく、なんて在り来たりな…なんてあきれてしまうが、実際今はそんなことどうでもいい話で。


俺と山本がペアとなり、倉庫の中へと侵入する。
すでに売買が行われてる最中のようで、ざっと見た感じでは15人程度。
金の受け渡しまで見届けた直後、外の方から銃声が聞こえた。
ついに動き出したようだ。
俺たちが監視してた奴等も慌てるように去ろうとしたから、俺たちも動き出す。


「動くな!」


銃口を向けて威嚇したが、そんなの聞く耳など持たない奴等は匣兵器まで持ち出した。


倉庫内は一気に戦場と化した。


俺も匣兵器で対抗すべく、左手にはめた5つの指輪に炎をともす。

しかし、動き出すのは俺より山本の方が速かった。


いつの間に出したのか、俺の足元には山本の匣兵器の次郎がいて、その逆隣にいたはずの山本は小次郎とともに、敵方へと特攻していた。





next

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僕の名前を呼ぶ君のその優しい声が。6



俺が声をなくしてから隼人の小言が増えたから、黙らせるにはこれが一番だと発見した。
今も言われた通り報告書を書いて持ってきて、また小言が始まりだしたから、その可愛い唇を塞ぐ。


それより先のことはまだしたことはないんだけど、一度ことを進めようとして怖がられたから我慢している。
先走ってやって怖い思いも後悔もさせたくない。
そんな俺の気持ちを理解してからなのかはよく分からないけど、キスは許してくれるからこういう時にも利用させて頂いている。

ただ、今は名前を呼ぶことすらできないから、その代わりという訳じゃないけど、俺の想いを伝える手段としてキスを贈る。


唇を離すとさっきよりも顔の赤みも瞳の潤みも増してて、銀色の睫毛がふるふるとふるえていた。


あーもうホントに全てが可愛いくて仕方ない。


「…テメェ…いつまでもコレでごまかせると思うなよ…!」


そんな強がる隼人にさえ欲情しちゃう俺ってばもうどーしよーもない男だな。
でもこれは可愛い隼人のせいだ。しょうがない。俺のせいじゃない。うんうん。


俺から少し離れて両手でマグカップを支えてコーヒーをすする隼人にさえ欲情する。
目の前の綺麗な銀糸に手を伸ばす。

と、突然隼人の部屋の電話が鳴り出す。
この音は内線だ。
マグカップを置いて直ぐ様電話の方へ行ってしまった為、伸ばした手は銀糸に触れることなく宙をさまよう。
しゃべり方や話の内容で、相手はツナだと容易に想像できた。
聞き耳をたてれば、分かりました、や、なんでしたら今すぐ向かいます、とか言ってるから任務の話だろう。
心中穏やかじゃなくてソファから立ち上がり隼人の後ろへ立つ。
話が終わったみたいで、受話器を置いて振り返った隼人と目が合う。


「…どうせ聞いてたんだろ。オレ、今から任務だから」


机の上の整理を始め、引き出しから指輪やら匣やらの準備を始める。
らくがき帳に『オレもいく』とだけ書いて隼人に向ければ、ふざけんなって言われた。


「声も出ねぇのに足手まといなんだよ!」


確かにそうだけど、そんな風に言われるとやっぱり傷付いてしまう。
それでも、ここで下がるわけにはいかなかった。
めったなことがなければ、戦線へ出ることがない隼人がオレの代わりに赴くというのに。


『足手まといにはならない。指示はできないけど、指示は聞こえるから』


汚い字でガリガリ書きなぐって隼人につめよれば、諦めたように溜め息をつかれた。





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