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小ネタ

一緒に入りますと駄々をこねてうるさい竜崎をやっと引きはがし、僕は一日の疲れを癒すべく少し熱めの湯舟につかっていた。

「はぁ……」

ちゃぷん、とお湯がはねる。

「今日も疲れたな……」

疲労の原因は言うまでもない、あいつだ。
頭は切れるが社会生活不適合者の彼は、何かと僕につきまとい、いつでも構え構えとひっついてくる。
実際彼一人ではできないことが多すぎるから、僕はその度いちいち構ってやるのだが。
それにしたって、紅茶が飲みたいだの資料を取れだの、そんなもの自分でやれと叫びたくなる要求が約40分毎。あまつさえ最近やる気が出ないから暇つぶしの相手をしろ、なんて言い出すのだから、僕をなめているとしか思えない。

「……」

つらつらとそんなことを考えていたら、だんだん腹がたってきた。
このあとだって、面倒くさがるあいつを風呂に入れさせなきゃならないのだ。
そしていざ寝ようというときは、こっちが拒否しているにも関わらずいつもいつも……

「……やめた。もう出よう」

あいつに関しての不満は吐いても吐いても尽きることがない。
今さら考えたって仕方ないと、最後に盛大なため息をはいてバスタブから出ようとした。
ざぶん、と波が立つ。
これからの苦労を想像すると目眩がしそうだった。






「先に寝ないでくださいね」
「わかっからさっさと入ってこい」

いつものやり取りを終えたあと、竜崎はゆっくりとバスルームに向かった。
ぱたん、とドアが閉まる音が響く。
僕はまだ濡れている髪をわさわさとタオルで拭きながら携帯を探した。1時間程前に妹から来ていたメールを返さなくては。

「あ」

そのときに初めて気が付いた。

「バスルーム……」

そういえば、服を脱ぐときにスラックスのポケットに入れたままの携帯に気付いたのだった。脱衣所の棚に置いておいて、それで風呂から出てきたときに取り忘れたのだ。
今、バスルームには竜崎がいる。
散々一緒に風呂に入ると言っていた竜崎だ。今行ったら何が起こらないとも限らない。
限らない、が。

「……まぁ、脱衣所だし」

気付かれないように行けば、変なことにはならないだろう。
携帯を取りに行くだけだぞ? 何を怖がる必要がある?

「……ちょっと待て」

そもそも変なことってなんだ。
そのことに気がつけば、僅かに顔がほてるのを感じて、片手で顔を覆う。何を考えているんだ僕は。
馬鹿な考えを捨て去ろうと、僕はバスルームへと急いだ。





しゃぁしゃぁとシャワーの音がする。
身体を洗っているのだろうか?
まさかお湯を出しっぱなし、なんてことはないだろう。
まぁとにかく、これならさっと携帯を取れば無事だろうと、ちょっと安心した。

「あ、あった」

そして、目当ての携帯を手に取ったとき。

「……〜…〜、…」

聞き慣れない、音がした。
いや、この声自体は嫌になるほど聞き慣れている。が、しかしこの音――

「……歌ってる?」

あの、竜崎が?




意外だった。
歌を歌うなんて人間くさいことをするとは。人間に対して人間くさいって言うのはおかしいかもしれないけど。
それに、歌が上手い。
流暢な日本語を話すから忘れていたが、こいつは日本人ではない。だから英語の発音に違和感がないのはわかる。でもそんなことより、ひとつひとつの音が綺麗に紡がれて、絡み合って、そしてひとつの旋律になるような歌を竜崎は歌っていた。

「……light……」

誰の歌なのかはわからなかったけれど、はっきりと自分の名前を発音するのが聞こえた。いや、正確には歌詞の中の"light"に反応した。
普段聞いているものよりもちょっと掠れていて、線が細いけれど芯のあるようなその歌声は、その場に僕を立ち尽くさせるには十分だった。




いつの間にか、シャワーの音と止まっていた。
竜崎の声だけがバスルームに響く。

ふと、音が途切れた。

「……いつまで立ってるんですか」

磨りガラス越しに影が動くのがわかった。
いつから気づいていたのだろうか。

「一緒に入りたいんですか?」







――――

力尽きた………

続きません!

突撃!

隣の晩御飯ー!
……いやうちまだなんでね晩御飯……

突然ですが今日は月くんの誕生日です!
世にも珍しい美しさを持った月くんのお誕生日ですよ!
そして突発L月小説ー←

今書き終えましたが、
……長い……さくっと終わるはずだったのに……





「……」

何をやっているんだ僕は。
もう何十分もこうやって携帯を握りしめて、これではまるで……

「僕は女子か」

しかし力が入った右手を動かせない僕がいる。本当に墜ちたものだ。
時計を見れば、もう0時をとうに過ぎていた。

「馬鹿」

それは自分に向けてなのかそうでないのか、定かではない。
もう寝てしまおうと何度も思った。だがいざ寝ようと思うと気になって眠れないのだ。

「くそっ……」

こんな自分に嫌気がさす。
馬鹿じゃないのか、こうやって来る確証もないものに期待して。

「!」

そのときだった。
携帯のサブディスプレイが光り、2回、3回と、買った時から変えていない着信音が部屋に響く。
どきんと動く心臓が痛い程だ。ボタンを打つ指が震えた。

「月くん!」

小さな機械の奥から聞こえる、待ち望んでいた声。
涙が出そうだった。

「すみません、捜査が長引いてしまって、あの、」
「馬鹿」
「……は」
「遅いんだよ馬鹿」

もう駄目だ。まばたきをしたら粒が零れる。

「ずっと、待って……」
「すみません……月くん、実は私、」

嬉しいのと安心したのと、沢山の感情が溢れ出て、僕は何がなんだかわからなくなっていた。
だから後ろにあるドアが開いて、人が入ってきたことには本当に驚いたんだ。

「……こちらに、移動していたら遅れてしまいました」

もう携帯からでなくても、その声は聞こえる。
相変わらず冷たそうで、けれど温度のある声。

「竜、崎」
「待たせてしまってすみません」

そっと腕を伸ばし、僕をゆっくりと抱きしめる。
あぁそうだ、僕はこの温もりが愛しくて仕方がなかった。

「月くん」

つ、と指先で竜崎は僕を上に向かせる。
睫毛が震える距離に二人はいた。
こんなにも満たされた気持ちになったのは、どのくらい前だったのだろうか。

「お誕生日、おめでとうございます」



ありがとう、の言葉は竜崎の唇に溶けて消えた。





ぐだぐださーせん!

更新

やっとこさ更新ー!
ハロウィンに間に合ったー! 一応!!
誕生記念なのにあんな馬鹿話でいいのか……
でも私の中の竜崎はいつもあんな感じ。
変態竜崎! 月くんはぁはぁな竜崎! セクハラ親父竜崎!
さらりと変態発言がものっそい似合うww

しょんでねー月たんはツンデレじゃないのよツンツンなのよ!
心底嫌そうに竜崎の相手するの。
でも結局いいとこは竜崎の思い通りになる的なっていうか最終的に月たんは食べられるww

あーなんか語ってしまったー
どうしようこれってカテゴリL月?
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