お酒……朝まで残らなきゃいいな……
今日は大学時代の先輩方数人と一緒に飲んでました。
みなさん卒業してからもお世話になってるので、楽しくていい飲み会だったな。
……1つの困ったことを除けば。
その先輩方の中の一人が、かなり酔って。
普段は優しい気さくな先輩なんだけれど、酔うとスキンシップが激しい方で。
案の定スキンシップが過激になり、適当に流しても流しきれず。
指を、舐められた。
一瞬だったけれど、確かに。
そして目つき。あれは明らかに欲情した目。
カラオケから出るときもみんなが出たあとなかなか離してくれなくて、少しの間ふたりきりになってしまったし。
ーーちょっとまずったなぁ。
気持ちは全く傾いちゃいないけれど、下手をしたら浮気と見なされるよね、これ。
んんー……
先輩は好きだけれど、あくまで「先輩」として。
この人とキスしたいとか、セックスしたいとかは全く思わない。
別れ際、先輩は私の右手を握って。
薬指に嵌められている指輪を忌まわしげにくるくる回した。
まるで「これさえなければ」と言わんばかりに。
……指輪はよく恋人を束縛するものだと言うけれど。
それと同時に守ってもくれる。
身も、心も。
自分への戒め、ストッパーの役割を担ってくれる。
あなたがくれたこの指輪のおかげで、私はあなたを裏切らずにすんだよ。
端から裏切る気はないけれど。
助かったのは事実。
今度から飲むとき気をつけよう。
変な空気は、今後を破壊することになるかもしれないから。