久しぶりに友達と会い、大地とのことを改めて話すと、
「何でつき合わなかったの」
ただ一言、嘆息とともに紡がれた言葉。
うん、私もそう思うよ。
いっそ言ってしまえばよかったと。
でも、言えないんだよね。
言えたらいいのに、ね。
「好き」
たったその2文字を口にできていたなら。
私から言って、曖昧な一線を越えられたのなら。
何か変わっていたかな?
思いを相手に伝えようとするなら、
言葉を紡いでしまうのが一番簡単な手段で。
でも、想いを言葉にするのは何よりも難しいことで。
あぁ、できない。
こんな曖昧な想いは言葉にならない。
こんな曖昧な覚悟じゃあなたに伝えられない。
紡がれるのは平静を装った、友達としての「好き」だけ。
自分の臆病さが、恨めしいよ。
もう遅い、かな。
もう、過ぎてしまったね。
素直に好きと言える頃は。
とうの昔に。
でも、言えなくなってもいいとも思う。
今のあなたとの関係がこの上もなく大切だから。
あなたへの気持ちが揺らいだとき。
私の中にある言葉が浮かぶの。
好きと言えないこの距離が苦しい
でも
好きと言えないこの距離さえ愛しい
ずっとずっと、私の中にある言葉。
お気に入りのフレーズ。
「好き」と言えなかったから失った可能性は、確かにある。
でも言えなかったからこそ、あなたと築けた絆や時間がある。
それに私はあなたとのこの距離が結構気に入ってるの。
たまにもどかしくて切なくもなるけど。
それでもあなたの傍にいれないことよりはずっといい。
親友でも恋人でもどっちでもいいの。
あなたの傍にいれるなら、それでいいの。
何て言ったら、みんなにはおかしいって言われるけれど。
あなたといるときの自分は、いつもの自分よりほんの少し好きだから。
私は、私を好きにさせてくれるあなたが好きだから。
それで、いいの。
たまにしか会えなくても。
繋がってるのはわかるから、いいの。
ただ、ときどき無性に会いたくて堪らなくなる。
今、会いたい。
「好き」は言えなくても、
「会いたい」は言えるように。
いつかはなりたいな。