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コープスブライド

ジョニー・デップ第二弾。
今回はアニメーション作品です。
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」が結構好きなので、そのテイストを楽しみたくて鑑賞しました。

* * *

19世紀、ヨーロッパの小さな村。
金持ちだが品格のない魚屋のヴァン・ドート夫妻の息子ヴィクターと、貴族ではあるものの貧乏なエバーグロット夫婦の娘ヴィクトリアは、親同士の政略により結婚を決められた。
会ったこともない人と結婚するなんて、と二人は不安がってはいたが、いざ会ってみるといい雰囲気に。
ところがヴィクターは緊張のあまり期待の言葉が上手く言えず、神父を怒らせ「台詞を覚えるまで結婚式は延期」と言われてしまう。
落ち込むヴィクターは一人森へと向かい、台詞の練習を始める。
すると、なんと結婚の誓いの台詞がスラスラと言えるではないか。
ヴィクターは調子に乗り、近くに突き出ていた枯れ枝をヴィクトリアの指に見立てて指輪を通す。
しかしそれが騒動の引き金に。
枝だと思っていたものは“コープス・ブライド”(死体の花嫁)だったのだ。
結婚の誓いをされたと勘違いしたコープス・ブライド、エミリーはヴィクターを死者の世界へと引きずり込む。
ところが、死者の世界は現実よりもずっと明るく楽しい。
暗くどんよりとしたヴィクターの村とは大違いだ。
カラフルなパブ、楽しく歌うガイコツ。
ヴィクターは次第に死者の世界に魅せられてしまい…。

今や大人気のティム・バートン&ジョニー・デップコンビの4作目。
「チャーリーとチョコレート工場」と同時期に作られた作品のため、キャストやスタッフが一部重複している。

* * *

ストーリーといい、キャラクターデザインといい、色といい、音楽といい、ティム・バートンカラー全開の作品です。
「シザー・ハンズ」と「スリーピー・ホロウ」と「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を足して三で割ったような雰囲気ですね。
この辺のが好きな人は気に入ると思います。
全体が退廃的な感じで、ゴシック調なのが特徴。
不気味なのに奇妙な可愛さがあるこの作品、徐々にその世界へと引き込まれます。

気弱で内向的なヴィクターを演じるのはもちろんジョニー・デップ。
今まで観た彼は割とどっしりした声を出した役が多かったので一体どうヴィクターを演じるのか、と思いましたが、いざ聞いてみると細くて弱ーい声!!
しかも上手い!!
さすがカメレオン俳優ですね。

何よりの見所は、キャラクターの滑らかな動きや豊かな感情表現。
眉や指の先、隅々まで細やかに表現されており、よりキャラクターに感情移入しやすいです。
あと、ティム・バートン作品でお馴染み、ダニー・エルフマンの音楽もピッタリ。
作品を盛り上げてくれています。

ストーリーはといいますと、起承転結が割とハッキリしていてかなりわかりやすいです。
展開は読めるっちゃ読めるけど、アニメだし特に気になりません。
オチがあっさりしすぎなような感じもしましたが、これはキャラクターで楽しむような面を持っている作品でもあると思うのでまぁまぁOK。
なのでじっくり鑑賞、というよりはリラックスしてさくっと観るのが良いのではないかと思います。
二時間ないくらいの短い作品だし。

でも私は結構好きだったり。
ヴィクターの村と死者の世界とのギャップなんてなかなか面白いです。
ヴィクターの村はいつも薄暗く、「音楽なんて情熱的すぎることはやめなさい」なんて言われてしまう楽しみのない村。
一方死者の世界はいつでも賑やか、パブは飲めや歌えやの大宴会、楽しく歌って踊るガイコツたち…。
ヴィクターが憧れてもおかしくありません。
その中でヴィクターは「生きている意味」を考え始めるんですねー。
そして私たちもヴィクターと同時にその意味を考え始めるのです。

でもヴィクトリアが好きなヴィクターはその狭間で揺れます。
しかも、エミリーが“コープス・ブライド”となってしまったなんとも哀れな理由を聞いてますます揺れてしまう。

ヴィクターがどんな選択をするのか、ヴィクトリア・エミリーはそれぞれどう動くか、気になる方はどうぞ。
もしストーリーが気に入らなかったとしても、アニメーションの技術にきっと驚きますよ。

コープス・ブライド(2005)
声の出演:ジョニー・デップ
ヘレナ・ボナム・カーター
監督:ティム・バートン

カールじいさんの空飛ぶ家

ジョニー・デップラッシュとか書いたくせに、さっそく流れをぶった斬ります。
この時「アリス・イン・ワンダーランドの世界展」というものがやっていまして。4月に公開するティム・バートンの作品の小道具とかの展示です。
それを見た帰りに映画館に寄って観てきました(^-^)

* * *

冒険家に憧れる少年カールは、一軒の空き家で同じく冒険家に憧れる少女、エリーに出会う。
意気投合した二人は交流を重ね、やがて結婚し、初めて出会った空き家を新居にした。
二人の間に子供は出来なかったが、夢を語り合い、いつか二人で“伝説の滝”パラダイスフォールへ冒険に行こう、と約束する。
幸せな日々を送り共に年を重ねてきたが、ついにエリーが倒れてしまう。
そして、冒険の夢を叶える前に先立ってしまった。

やがて都市開発が進み周りはビルだらけになり、カールは立ち退きを迫られる。
エリーとの想い出に固執するあまり、頑固な性格になってしまったカールは頑なに家を手放さない。
しかしある事件が起き、立ち退かざるを得なくなる。
立ち退きの前日、カールはエリーの遺した冒険ブックを見つめ、そして決意する。
翌朝、カールは家に二万個もの風船をつけ、エリーの想い出と共に空へ、パラダイスフォールへと飛び立った。

* * *

予告編だけでかなりウルウルしてしまった作品です。
そして本編が始まり5分でボロ泣き…ピクサーお前卑怯なんだよ!!
なに?あの美しい夫婦の軌跡。泣くわ!!
エリーが死んでしまうのは本当に開始すぐなんです。
二人の出会いから別れを凝縮してお送りするわけですねー。
もう泣くわ泣くわ。
最初から涙腺ゆるゆるの状態でいきました。

カールは四角い顔をしたおじいさんです。
頑固さの表現なのかどうなのか、怖い顔。
エリーを亡くしてから、家もカールも薄暗く、輝きを失っていました。
そんなカールがたくさんのカラフルな風船で飛び立つ、ということは新たな生命の輝きを意味していると思います。

また、カールはエリーの葬儀の時にも風船を持っていました。
入院中のエリーの病室にも風船がありました。
二人が出会った時も、カールは風船を持っていました。
二人のどちらか、あるいは両方が風船が好きだったのかも。
もしかしたらあちらでは風船は飾り付けやお見舞い品、というのが普通なのかもしれませんが、私なりに風船の意味を考えました。
風船は、手を離してしまうと遠く、手の届かぬ所に飛んでいってしまうものです。
これまでカールは、ずっとエリーの手を離しませんでした。
どんな時も一緒だった。
でも、もうそのエリーの手は握ることは出来ません。
だからせめて、彼女との思い出の風船は離したくない。
彼女の思い出と共に、二人の夢の場所へと旅立ちたい。
愛するエリーの想い出と、いつも一緒にいたい。
そんな思いで彼は家中に風船を付けたのかなぁ、と私は考えています。

タイトルがタイトルなので空の旅が中心かと思われますが、意外と空を飛ぶシーンは少ないです。
コメディ描写あり、シリアス描写あり、そしてなんとアクションシーンもあり。
主人公がおじいさんとはいえ、なかなかスリリングな展開も結構あったりします。

カールを見ていると、本当にエリーを愛しているというのが痛いほどに伝わってきます。
愛していた、ではなく愛している、なんです。
生きている時からずっとずっとエリーが大好きだし、亡くした後もエリーが大好きなんです。
印象に残っているのは、空を飛んでいる時に家が大きく揺れ、家の中がめちゃくちゃになっていても、エリーの椅子が落ちそうになったら真っ先にそれを戻しに行く、というシーン。
思い出もすべて「エリー」として大切にしているのがわかるシーンでした。

その他にもカールの冒険に付いてきてしまった少年と徐々に絆を深めていく過程、悪者(←声優は「サウンドオブミュージック」のクリストファー・プラマー!)との遭遇と戦い、色んな要素がいっぱいです。
でもストーリーは明快だしとっても観やすい作品なので是非是非どうぞ^^
カールの純愛は素晴らしいよ!

ちなみに、同時上映していた「晴れときどきくもり」という作品も可愛くてすごく好きです。
音楽がなかなか泣かせます(笑)

カールじいさんの空飛ぶ家(2009)
声の出演:エドワード・アズナー
ジョーダン・ナガイ
監督:ピート・ドクター

クライ・ベイビー

高校の授業でメディア論などを学びながら小論文を書いたりディベートをする授業がありまして。
うちの学科にしかない授業で、しかも選択制で非常に人数が少なくさらに講師の先生がめっちゃ良い人で大好きな授業でした。
その授業の最終課題が自分の好きなものを調べてプレゼンする、というもの。
私は当時夢中だったジョニー・デップをプレゼンすることにし、とにかく彼の主演作を観ようということにしたのでここからはジョニー・デップラッシュです。

* * *

1954年、アメリカ・ボルチモア。
不良グループ〈ドレイプス〉のリーダー、ウェイド(クライ・ベイビー)とお嬢様グループ〈スクエアズ〉のアリスンは、予防注射の席で一瞬で恋に落ちる。
アリスンのボーイフレンドのボールドウィンとアリスンの祖母は二人を引き離そうとするが、アリスンはクライ・ベイビーに夢中ですっかり感化されてしまっている。
アリスンは自分のグループのパーティーを抜け出し〈ドレイプス〉のパーティーへと行き、クライ・ベイビーがボーカルを務めるロカビリーバンドと共に熱唱。
ところがそれに激怒した〈スクエアズ〉のアリスンを取り巻く男子連中がパーティーへと殴り込みをかけ、大乱闘となってしまう。
やがて警察がやってくるが、ケンカをふっかけた〈スクエアズ〉ではなく、不良グループだというだけで〈ドレイプス〉のメンバーが逮捕されてしまい、クライ・ベイビーは少年院行きに。
さらに、クライ・ベイビーに一方的に惚れている女が、取材に来たカメラの前で「私のお腹には彼の子供がいるの」というイカれた発言をし、アリスンの心はクライ・ベイビーから離れてしまい…。

「キング・オブ・カルト」のジョン・ウォーターズ(世界一下品な映画と名高い「ピンク・フラミンゴ」の監督!!)が描く、痛快青春ミュージカルムービー。
今では男女問わず大人気のジョニー・デップの初主演作。
歌声は吹き替えではあるものの、若き日のジョニーが歌って踊るという珍しい姿を見ることが出来る。

* * *

第一印象は「なんじゃこりゃー!!」です(笑)
かなりブッ飛んだ映画ですよ、コレは。
全体的に展開が猛ダッシュで進んでる感じがしました。
ていうかジョニー・デップが若い!!初々しい!!
この作品では彼は不良リーダーなのでリーゼントに革ジャン、タバコとキメキメですが、ベビーフェイスな彼がそんな格好をしても背伸びをしているだけにしか見えず、めちゃめちゃ可愛い…!!
目がクリクリっとしていて、まさにジュニアアイドルのような容姿でツッパルもんだから見てるこっちとしては
「ははは、こやつめwww」
みたいな生暖かい目を向けてしまう(笑)
あとミュージカルということで踊っていますが、正直言うと、彼は踊りが下手です(笑)
でも頑張ってる姿がまた可愛い!!

そしてブッ飛んでいるのはストーリーだけじゃない。
クライ・ベイビーも含め、キャラクターがみんなどこかブッ飛んでいます。
クライ・ベイビーの父親は連続殺人で捕まり、母親も共犯ということにされ電気椅子で死刑にされてしまいます。そのため彼の胸には大きな電気椅子の入れ墨が。
そして彼は感情が高ぶると左目から涙が流れる、という変な設定が。
クライ・ベイビーとは「泣き虫」という意味なのであだ名の由来になったのだとは思いますが、果たして必要な設定だったのかはよくわかりません(笑)
〈ドレイプス〉のメンバーも大変です。
すでに二人の子持ちで現在も妊娠中のクライ・ベイビーの妹。(妊娠中なのかどうかわからないようなポッチャリさん)ちなみに彼氏とはラブラブ中。
ツッパッてはいるものの、変テコな両親のもとで育ちピュアなハートと体を持つワンダ。
牛も逃げ出すような、ハッキリ言って化け物のような見た目をしたハチェット(女)。
ちなみにハチェットも彼氏持ちです。化け物もリア充かよ!!
その彼氏は厳しい家庭で育ち、その反発でツッパり〈ドレイプス〉のメンバーに。両親はそのことにもハチェットとの付き合いにも猛反対です。
これだけで近寄りたくない感じがしますが、大変なメンバーは〈ドレイプス〉内だけでは収まりません。
山小屋のような家に住み、庭で遊ぶリスがうるさいと言って猟銃をぶっ放すクライ・ベイビーの祖母。(SM女王のような格好をしています)
祖母と共に暮らし、玄関先に金ダライをだし、そこで体を洗い出すクライ・ベイビーのおじ。(演じているのはあのイギー・ポップ!!)
あぁもう大変だ。
主役から脇役まで濃すぎる。
だからそのぶんアリスンが霞んでしまっている部分があります。
でもそのアリスンも場面によって可愛く見えない時もあるので…でした(笑)

こんなことを言うのはアレですが、ストーリーに期待するな!!
内容は学生映画に毛が生えたような感じです。
不良だって青春するし、普通に恋してその子のために頑張るよ、って話かな、と私は思いました。

でも〈ドレイプス〉のメンバーはみんな苦労していて、だから曲がっちゃったのかなぁというのを感じました。
ワンダの両親はとにかく浮き世離れした頭悪い人って感じで、田舎臭いスイスの女の子を「留学生だ」とか言って家に連れてきて、「変わりにあなたは今日からスイスで暮らしてねー」なんて言い出す。それじゃあ家庭にウンザリもしちゃいます。
ハチェットも醜い容姿のために差別を受けたり悪人扱いされたりと、辛い思いをしてきたことがわかります。
それでも〈ドレイプス〉のメンバーはみんな仲が良く、お互いを家族のように大切にしていたので、とても好感が持てました。
クライ・ベイビーとアリスンの関係をすぐ認めて女の子同士仲良くしてたし。

この映画は若さゆえの暴走とか、仲間の絆とか、自由に恋愛したいとか、そういうものを元気いっぱいに描いている映画です。
ハチャメチャですが、爽快感があって楽しめます。
スッキリしたい方はドウゾ!!
あとジョニー・デップファンの方は必見ですね。
今では絶対見られない、色々な彼がこの作品では見られます。
ていうか同じ年に「シザーハンズ」が公開されたというのはなんかビックリ。
この時から演技派の芽は出ていたんでしょうね。

クライ・ベイビー(1990)
主演:ジョニー・デップ
エイミー・ロケイン
監督:ジョン・ウォーターズ

アッパレ!戦国大合戦

前に「バラッド」のレビューを書いた時にクレしんの方も観たい、と書きましたがようやく観ました。
ていうかこれとオトナ帝国はガチ泣きしちゃうから困る(^ω^`)

* * *

野原一家はある夜、時代劇のような格好をした美しい“おねいさん”の夢を見る。
翌日、シロが庭に大きな穴を掘る。しんのすけはみさえにそれを埋めるように言われるが、シロは頑なに埋めるのを止める。
気になったしんのすけはさらに穴を掘り進め、やがて古い文箱を見つける。
中には「おらはてんしょうにねんにいるぞ」と読める汚い字とぶりぶりざえもんの描かれた手紙。
しんのすけはこんなものは埋めた覚えはないと訝しむが、「おひめさまはちょーびじん」という一文を見て、昨日見た夢の“おねいさん”を思い出す。
そしてしんのすけは彼女に思いを馳せ目を閉じる。
目を開けるとそこは夢に出てきた泉のほとりだった。
わけもわからず歩いていると、合戦の場に出くわしてしまう。
時代劇の撮影だと思ったしんのすけだが、偶然から一人の侍の命を救う。
井尻又兵衛というその侍は命を救われた恩から、しんのすけを自分たちの城の春日城へと招待する。
そこには夢に現れた“おねいさん”こと、春日城の姫君、廉姫がいた。
しんのすけは二人が想いを寄せあっていることに気がつくが、二人は身分の違いから想いを伝えられずにいた。

一方、現代に残されたみさえとひろしはしんのすけの行方不明で頭を悩ませていた。
警察の捜査も行き詰まる中、ひろしはしんのすけの残した手紙に記された「天正二年」について調べる。
そしてその結果、ひろしはしんのすけは戦国時代にタイムスリップしたのだと確信する。
否定するみさえを説得し自分たちも過去に行こうとするが、行き方がわからない。そこで一家はシロの掘った穴へと車を進める。
その頃しんのすけは、姫からの助言で家族へ手紙を書き、あの泉の前にそれを埋めに来ていた。
すると、突然車に乗ったひろしたちが現れ、一家は再会を果たす。
しかし今度は現代へ戻れない。結局一家はしばらく春日城に滞在することになった。

春日城の殿は未来にはどんな大国も滅び去ってしまうことをひろしから聞き、政略結婚で目先の安定をさせても意味がないと考え、廉姫との結婚を迫る大蔵井高虎の縁談を断る。
しかしそれが大蔵井が戦争を仕掛けてくる引き金となってしまったのだ。
ひろしはこのままでは自分たちも戦争に巻き込まれる、と危惧する。

シリーズ10作目となる作品。
戦術や武器、衣装などが細かく描写された本格的な時代劇となっている。

* * *

(相変わらず長いあらすじだ…。)

クレヨンしんちゃんと言えど侮ってはいけません。
これはそれまでの作品よりも対象年齢を高めに設定して作られた作品のように感じました。
大人の恋愛や戦争、単なる子供向けアニメでは扱わないであろうテーマです。
しかしその分どの世代もすんなりこの映画の世界に入ることが出来ると思います。

まず、どのキャラクターも非常に良く出来ており自由に動いている印象を受けました。
野原一家はもちろん、又兵衛、廉姫、高虎、主要なキャラクターを取り巻く人々…。
どれもよく作られており、行動や表情の一つ一つにきちんと意味がありました。

又兵衛は「鬼の井尻」と呼ばれ敵からは恐れられる一方、「青空侍」とからかわれることから、戦に強くとも決して凶暴ではなく、温和で優しい性格であるとわかります。あだなだけでこれがわかるのはすごいです。
それ以外でも殿と話す際は真面目な顔をしたり、女性の前では顔をすぐ赤らめたりと様々な表情を見せ、人間味溢れるキャラクターとなっています。
また、廉姫も武家の娘としての強い覚悟を持ちながらその束縛に盲従するわけではなく、自分の信念を貫く強さを持つ女性として描かれています。
又兵衛に突然抱きついたり、彼の身を案じて矢面に飛び出すなど、大胆な一面もあり、ただの箱入り娘ではないことがわかります。
高虎もあらすじだけだとずるくて乱暴な男に見えますが、指揮の上手い、戦乱の世で力を伸ばしていくタイプの武将として描かれています。

あとは風景が非常にきれいです!!
夕陽に照らされる春日城、城から見下ろす風景、又兵衛の見上げる空…色がすごく綺麗です。
DVDだと特典で背景などをみることが出来るのでじっくり見たい方はどうぞ^^

ていうかひろし好きだ。
ひろしは名ゼリフが多すぎると思います。
今回もタイムスリップしようとし、みさえが「戻れなかったらどうするの」と言うのに対し、
「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか!?」
と説得します。
いい父親過ぎだろ…!!ベストファーザーかあの足臭オヤジ!!
あと作中一番の名ゼリフは
「ぶつかっても保険おりねーぞ!!」
だと私は信じている←
みさえもしんのすけが斬られそうになった時に刀を手に取り、身を挺して我が子を守ったところがすごくかっこよかったです。母は強しだね!!
あとはしんのすけが高虎に向かって
「全部お前のせいだ!!」
と言うところが大好きです。
子供ながらに戦とは多くの命が失われるものだということ、この時代はそれは当たり前だというのがわかった上での正義感溢れる言葉です。

前作の「オトナ帝国」のヒットを受け、若干大人へのウケを狙ったような感じもしましたが、非常に素晴らしい作品です。
名シーン・名ゼリフが多いのはもちろん、小道具や人々の生活もきちんと描かれていて、時代劇としても楽しめます。
アニメだから、と躊躇せず様々な世代に観てもらいたい作品です。

それから、原作者の臼井儀人さんが亡くなられてもうしばらく経ちますが、非常に惜しい人を亡くしたと思います。
自分はアニメもマンガも小さい頃から触れていてこの作品が大好きだったので、残念でなりません。
心より哀悼の意を表します。

嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(2002)
声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治
監督:原恵一

マイ・フレンド・メモリー

子供が主人公の話は結構好きだったりします。
この映画の主人公の親友を演じるのは、あの世界一有名な子役マコーレ・カルキン(「ホーム・アローン」)の弟のキーラン・カルキン。
なかなか可愛い子でした。

* * *

体は人一倍大きいが、繊細で傷つきやすい心を持つマックス。
そのため引っ込み思案な性格で、さらに彼には学習障害があるため学校でいじめられていた。
しかも彼の父親は投獄中で、そのことが彼を更に苦しめていた。
そんなある日マックスの家の隣に、百科事典のような賢い頭脳を持っているが体の成長が止まる難病に冒されている少年、ケヴィンが引っ越してくる。
彼は小さな体をしているが気が強く、誰にも臆することなく意見を言う。
そんな小生意気なケヴィンと気弱なマックス、はじめはうまくいかなかった二人だが、お互いの弱い面をカバーしあって友情を育み、いつしか最高のコンビとなっていく。
いつも共に行動し、互いを強く信頼し、その友情はマックスの心を開き、彼は自分をいじめる不良に立ち向かえるようになる。
しかしケヴィンは知っていた。自分はもう余命幾ばくもない体であることを…。

シャロン・ストーンが初めて母親役を演じたことで話題になった作品。
ハンデを持った少年たちの強い友情と繊細な心を描いた感動作。

物語の要所要所にアーサー王伝説が絡めてあり、話の大きなポイントにもなっている。
ちなみに原題は「The Mighty」(勇者)。

* * *

あらすじを読むと、よくある病気がどうこうでお涙頂戴な感じの話に見えますが、これは違う、と私は感じました。
二人が友情を育む過程、マックスが変わっていく過程、子供ならではの頑張りや意地や無茶、様々なことを優しく丁寧に映し出した作品です。

自分が一番気に入ったシーンは、花火大会のところ。
ケヴィンは歩行器がなければ満足に歩けません。
そのため彼は人の集まる祭りの類には行けませんでしたが、マックスに頼んで一緒に行くことに。
ところが肝心の花火が始まると体の小さいケヴィンは何も見えない。
そこでマックスが取った行動とは、ケヴィンを肩車すること。
それから彼は常にケヴィンを肩車します。
ケヴィンはマックスの頭脳、マックスはケヴィンの体。
二人はいつでも一心同体です。

主人公であるマックスは人物造形、描き方、演技どれも非常に素晴らしかったです。
大きな体とは正反対の小さなガラスの心。
幾つもの深すぎる傷を負った彼を、決して同情を誘うような可哀相な少年にせず自然に描き、心の動きを静かに見せてくれました。
ちなみにマックスは「バタフライ・エフェクト」で主人公エヴァンの友人レニー(割と重要な役)を演じた人です。

そしてマックスの親友ケヴィン。
彼は頭が良すぎる故に、なんでも知っていたのです。自分が永くないこともすべて。
しかしそれを知っているからこそ、生意気に気丈に振る舞い、マックスとの時間を大切にしていました。
誰にも弱みを見せず、明るく振る舞い…
そんな悲しい少年をキーラン君は本当に素晴らしく演じていました。

とにかく二人とも本当に素晴らしい!!
弱い面も強い面もきちんと見せてくれるので感情移入もしやすかったです。

そしてケヴィンの母を演じたシャロン・ストーン。
彼女もまた良い演技をしていました。
一人で育ててきたケヴィンと静かに暮らし、いつでも優しく彼を見守り、しかしケヴィンの病気のことになると取り乱してしまうことも。
そんな未熟な面を持つ良い母、という役柄を見事に演じていました。

感動作、というと軽々しく聞こえてしまいますが、この作品は心を大きく揺さぶります。
少年の成長、友情を優しく見つめたこの作品、是非観てほしいです。

では結末や細かいことは追記に。

マイ・フレンド・メモリー(1998)
主演:エルデン・ヘンセン
キーラン・カルキン
監督:ピーター・チェルソム
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