友人が送ってくれた、夢と希望と魔法の海の写真を見てかっと沸騰したネタ。
某洋画のパロ、本編はまるっと無視してます。耐性ある方のみスクロールして下さい。
一人の少年が、ランペルージ家のリビングに午後の風を運んできた。
「ナナリー!久しぶり。しばらく見ない間にすごく綺麗になったね!」
繊細な飾りが施された窓を勢いよく開け放ち、埃で黒ずんだ顔に人懐こい笑を載せたスザクは、窓辺に座るナナリーへ真っ先に声をかけた。年頃の娘が聞けば、恥らうか馬鹿にしてと怒るか、の微妙な常套句。ナナリーは少しだけ頬を染めながら、恥じらいを上回る驚きで声を上げる。
「スザクさん!?お久しぶりです…!中国はいかがでしたか?」
「散々だったよ。向こうから出る途中、手違いで飛行機が落ちて。だから、予定より帰りが遅くなったんだ」
「まぁ…!」
電車にちょっと乗り遅れちゃった、そんな小さな失敗の如く語られる不穏な出来事に、ナナリーの顔がさっと青褪める。がしゃーん!と背後で騒々しい破砕音が響いた。
「インドの村近くに流されたところまでは良かったんだけど、頼み事をされてね」
本当に大変だったのだろう。スザクは少しだけ目を細め、ここではないどこかへ思いを馳ている。目が不自由なナナリーには、彼の微細な動きは判らない。けれど、そっと触れた手から、僅かな疲労と大きな安堵が伝わってきた。久方ぶりに感じるスザクの温もりに、ナナリーの唇から小さな本音が滑り出る。
「スザクさんはお願いされたら断れませんものね。お兄様と私のお願い事も、聞いてくださると嬉しいのですけれど」
「う……」
スザクはぐっと眉尻を下げて言葉を詰まらせた。
無茶をしがちな彼を諫め、案じるこの兄妹をスザクは心の底から大切に思っている。気をつけてはいるのだ。ただ、危険という名のサプライズを隠し持った冒険が、スザクを常に引き寄せる。
心配させるのが嫌で、一度だけ何も言わず、書き置きもせず出かけた事があった。
滞在して幾度日目かの晩。ホテルの部屋に戻ると、ナナリーの兄・ルルーシュが無表情でスザクを待っていた。心を許した者の前では感情豊かなルルーシュだったが、これほどの怒りを湛えたところは過去17年間見たことがない。
持ち上げられた腕を目で追いながら、殴られることを覚悟して身構えた。痛みの代わりに与えられたのは柔らかな抱擁と、ささやかな願い事。合わせた視線は潤んですらいて、スザクはどれほど幼馴染を心配させたかを思い知ったのだった。
それ以来、何処へ行くにしてもこの兄妹にだけは出立を告げ、こうして一番に帰ってくることにしている。
「無事に帰って来て下さって本当に良かった、本当に……」
言葉を振るわせる幼馴染の少女の髪を、スザクはそっと撫でる。
「いつも心配かけてごめん、ナナリー……」
「スザクさん…」
静かに微笑みあう二人を、ティーポットの破片を摘み上げながら目に涙を溜めたルルーシュがいつまでも見守っていた。
------------------
世界を飛び回る(一応)考古学者スザクと幼馴染のナナリー、博物館館長のルルーシュ。
スザクは何故かいつも窓から入ってきます。「玄関から入れ!」とルルーシュに何度怒鳴られても、窓。これが「ただいま」と「おかえり」の代わりです。
スザクが持ってきたお宝はルルーシュが博物館でちゃんと管理しています。そんなのよりスザクを飾っておきたいのが館長の本音←
大好きな映画の美味しいとこ取りしすぎて、もはや元ネタの原型を留めてません(苦笑)自己満足で本当にもうしわけないですが、凄く楽しかったwwww