他の歯科治療と、インプラント治療が大きく異なるのは失敗してもやり直しできないことが多い点です。
入れ歯、ブリッジ、クラウンなどの義歯と異なり人工歯根は完全にあごの骨と結合しなければならないのでインプラントと骨の間に自前の組織が形成されず、インプラントの定着がみられなかった場合、再度、大がかりな手術を行って骨をさらに削って修復するという治療しかなくなります。
それに、埋入手術の際には埋入部分周辺の神経損傷というリスクもあるのです。「インプラントって差し歯とは何が違うの?」という質問はよく訊かれます。
読んで字の如く、歯の中に人工歯の土台を差し込むのが差し歯です。自前の歯根に土台を埋め込み、歯冠部を被せるものです。なので、完全に歯を抜いてしまった部分には、そもそも埋め込む先がないわけですから、使えないのです。一方、インプラントは原理が全く異なります。これは、歯の土台となるあごの骨の中に、フィクスチャーなどと呼ばれる人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付けて固定するという施術なのです。歯を丸ごと抜いてしまった場合でも、顎の骨に問題さえなければ利用できるのがインプラントの利点です。どんな方にもインプラント治療が良い訳ではありません。
他の治療が難しい患者さんにお薦めします。周りの歯との関係から、クラウンやブリッジは入れられない、義歯では上手に噛めないなどでインプラント治療を選ぶしかないという患者さんに適用されるのが普通です。入れ歯に比べ、インプラントでは噛み心地は自分の歯に近く食事に食べ応えが感じられ、美味しく食べられます。
喫煙が、インプラント治療の成否に及ぼす影響は無視できないものがあります。
インプラント治療は数ヶ月かけるつもりで始めなければなりませんが、人工歯根の周りに組織が形成され、自分の歯のように安定することがその後の治療に関わる重要な問題です。
周辺組織を回復させるために、ニコチンも一酸化炭素も確実にマイナスの作用があります。
この治療ができるだけ早く終わって欲しいと思うなら、治療を受けている間は禁煙あるのみです。
多くのメリットを知られるインプラント治療。
でも、マイナスの部分も理解しておきましょう。
まず、他の歯科治療と比べても費用がかかることです。治療の内容や、インプラントの材質によっては数十万円かかることも珍しくありません。
それから、治療が失敗すると、場合によっては取り返しがつかない健康被害が起きるリスクも背負っています。
障害を負うにとどまらず、死亡事故も実際に報告されています。