「お世話になりました。」
 次の日の朝、セラフィは家の前で一泊させてくれたフリッツとカプリッチオに頭を下げた。しかし妃旺は頭をさげることなく、そんな彼女をフリッツは笑顔で見上げた。昨日とは打って変わり、フリッツは眠たそうな顔をしておらず、むしろその容姿にもあり、天使のような笑顔を見せていた。
 「カプリッチオ、二人に意地悪しないで本当のことを教えてあげてよ。」
 そんなフリッツの口から出た言葉。妃旺はその言葉を聞いて驚いた顔をし、しかしすぐにカプリッチオをねめつけた。セラフィはなんのことだか分からず、不思議そうな顔をするばかりだった。
 「あんた、私をだましたの!?」
 「違うよ。ちゃんと本当のことを話したつもりだよ。」
 カプリッチオはしらをきっているが、主人であるフリッツを騙すことができない。フリッツはその天使の頬笑みを今度は妃旺に向けた。
 「僕は今回の琳の招待を受けるよ。」
 今度はカプリッチオが驚く番だった。フリッツを止めようと説得しようとするが、それは何も理解できないセラフィの叫びでかっ消えた。
 「一体何の話なの!?」
 「琳が今回のことで、主要の人形師を集めようとしているのよ。と言っても、フリッツとマーガレットだけだけどね。マーガレットはマリオンが向かってる。」
 「琳さんがマーガレットさんのお屋敷で会おうって、妃旺から聞いてね。」
 しかしカプリッチオは反対してるようだった。それはそうだろう、琳はもしかしたらkの事件の元凶かもしれないのだから。しかしカプリッチオの止めの声はフリッツには届かない。
 「僕は信じているんだ、琳さんはそんなことをする人じゃないって。自分の作った人形にそんなことさせないし、しない。琳さんは本当に自分が作った人形を愛しているんだよ。」
 それを間近で見ているからこそフリッツは、確信が持てるのだ。
 「だからカプリッチオ、本当のことを言ってあげて。」
 フリッツはそっとカプリッチオの手を握った。嫌そうに眉をひそめているカプリッチオに、ね?と笑顔を見せる。この天使の笑みに逆らえる者がいたらお目にかかってみたいものだ、カプリッチオは内心で呟いた。
 「琳は人形師の中でも先駆者と言っていい。今でこそいないが、何十年も前は何人もの弟子がいた。その弟子ならもしかしたら琳の技術を受け継いでるから、心臓も似たようなのができるかもしれない。正直あの欠片だけじゃ、琳の系統の心臓ということだけしか分からなかったしね。」
 結局カプリッチオは妃旺に不確定な情報を流したようだ。どうやら彼としては、フリッツが危険な目にあうのを恐れて、“琳が危険人物”ということにして、これ以上この事件に関わり合わせたくなかったらしい。しかしそれを見事見抜き、真実を伝えさせたフリッツ。そんなところにカプリッチオは惹かれたのかもしれない。
 「大丈夫、カプリッチオが守ってくれるんでしょう?」
 フリッツがそう尋ねると、カプリッチオははっと目開いた後、強く頷いた。そんなこと当たり前だ、と。
 「セラフィさん。」
 今度はフリッツはセラフィに向いた。
 「信じてあげてください。あなたの人形を。」

 

 



※あとがき
長っ、そして中途半端。ほんとうは次の場面を入れたかったのですが、入れられないので持ち越し。
文章おかしくてすいません、直したいんですが言葉が出てこなくて。無理やり絞り出すとこんな感じです。

此処で言うのもなんですが、恐らくなんですが、途中文字が抜けていたりする部分があるかもしれません。文章がおかしいな、と気付いた方は、ご面倒ですがご一報お願いします。
途中にしたまま放置して後で直そうとしていたら、忘れてしまうんですよね。あと最近PCの調子がおかしいので……

最近サマーウォーズにハマっています。うん、楽しいし、いい話です。