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サイト休止から二年、もう一度物書きをするキッカケは、やっぱり素晴らしい作品達との出会いでした 新しく私は再起動したい、その思いを込めての“Re:START”
「はぁ〜終ったぁ……」
時計の短い針はすでに三の数字を指している。疲れもピークだ。
「ありがとうございます、小十郎さん。」
「また何かあったら呼べ。」
「ああ、その時は頼みます。」
学校の正門に横付けされた大型二輪車に乗り、小十郎は恭一と言葉をかわす。親しげな様子に、単にツキ狩りの以外でも何か関係があるようだ。
「今日はありがとうございました!」
宵もお礼を言うと、小十郎は柔らかい笑みを浮かべその頭を撫でた。
「なかなかの仕事ぶりだったぞ、お前ならいいツキ取りになれるだろう。」
「……はい!!」
ツキ狩りでの初めての褒め言葉に、驚きつつも、満面の笑みで答えた。
「あんまりつけ上がらせないでください。」
「いや、本当のことを言ったまでだ。」
冗談を、と言う風に恭一は笑ったが、小十郎は冗談を言ったつもりはなかった。
まだ恭一は気付いていないのだ、宵の本当の力を。
※あとがき
作者の苦手なものはたくさんあります。きぐるみ、高所(山を含む)、雷、そしてゆーれー。
敢えて誤魔化したのは、私自身こういったことに詳しくないから。ただツキモノとああいった類いのものは全然違うことと、夜の学校怖いなって話をしたかっただけで(笑)
あとこの小十郎さん、気付いた方がいらっしゃるかもしれませんが、とあるキャラクターをそのまんま使っています。全然キャラ設定が思いつかなくて、ちょうどいいものが転がっていたので……
「大丈夫、あのお兄さんならなんとかしてくれるから。」
宵は自分に力はないから、恭一になにもしてやれないのだと思った。でもそれは違った、恭一にはない力で、恭一を助けることができると分かった。
『お前の考えでいい、そいつはツキモノか?』
恭一はそれを信頼してくれている、それは先ほどの言葉から分かる。全然力のないけれど、できることをしていこうと思った。
恭一と宵しかいない学校に、もう一つの足音が聞こえてきた。誰か来たのかと思っていると、現れたのは厳つい顔をした男。厳ついなんて可愛いもので、顔が怖すぎて、宵と男の子は腰を抜かしてしまったほどだ。しかもがたいがいい、恭一と並んでもその身長も高い上、筋肉がしっかりと付いているため大きく見える。もし男の子に実体があったら、二人は恐怖のあまり抱き合っていただろう。
「あぁ、確かにいるな。」
その男はそんな二人を一瞥するとそう言った、どうやら男の子が見えているらしい。
「早いですね、小十郎さん。」
「こんな時間だからな、バイクを飛ばしてきた。」
バイクとこの男の姿がミスマッチだった、顔だけなら合っていただろうが、男の恰好は袴だ。
「あいつがお前のツキ取りか?」
「はい。」
どうやら恭一とこの男−小十郎は知り合いらしく、先ほど電話をかけた相手もこの小十郎らしい。
小十郎は二人に近づき、腰を抜かしている男の子の傍に膝をついた。内心二人は泣きそうだった、もう泣いているが。
そんな宵の様子に、恭一は少し笑いながら説明した。
「その人は小十郎さん、ツキ狩りで狩ることのできないモノ専門に扱っているんだ。」
ということは、この男の子をきちんとしたところへ連れて行ってくれるのだろう。男の子は未だ小十郎を見てビビっている。見かねた宵が男の子を安心させるように話しかけた。
「大丈夫、この人は君を行くべきところに案内してくれるよ。怖がらなくて平気。」
触れることはできないけど、その頭を撫でるように手を動かすと、男の子は笑った、その姿を消しながら。
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「今回は簡単な仕事だ。学校の中に漂うツキモノの駆除だ。」
「駆除…ですか?」
「学校ってのは怨み、妬みの巣窟だからな。ツキモノがたくさん蔓延っているんだ。そんな中に負の感情を爆発させた人間がくれば、格好の餌食となる。そんなことになる前にまだ実体のないツキモノを定期的に駆除しているんだ。」
宵に今必要なのは、力より経験知だろうと考えた。最初の狩りの時もピンチの時に力が出た。実勢経験を積んでいけば少しずつだが実力が出てきて、力も上がるんではないかと考えたのだ。
「シロアリ駆除みたいなものだと思えばいい。」
夜の学校へ恭一は“宵の月”を担いで入っていく、その気軽さはまるでお化け屋敷に入っていくようなものだ。一方宵もお化け屋敷に入る気分だった、怖がっていない恭一とは違い恐怖で足がすくみそうになってはいるが。
下から順に四階まで見ていく。教室には大したツキモノはおらず、恭一の太刀で一閃してしまえばもやとなり、宵の口に収まる。そして教室が終ると、今度は図書館や化学室のある別棟を周る。
こちらは教室のある本棟とは違い、不気味な雰囲気が漂っている、それは何も人体模型やモナリザの絵が飾ってあるだけではないだろう。怪しさの漂う棟に恭一は眼を凝らしてあたりを窺う。
「きょ、恭一さん、」
「あ?どうした?」
何か感じるのもがあったのか、と後ろを歩いていた宵を振りかえると、今にも泣きそうな顔でトイレを指差している。
「なんだ、トイレに行きたいのか。だったらさっさと……」
「ち、違います!」
呆れたように早く行くように促すと、首を精一杯横に振っている。
「恭一さんには見えないんですか!?あそこにいる男の子が!!」
「な!?」
もう一度トイレをみるが、何かいるようには見えない。しかし何かいるように感じ、宵の言っていることがはったりではないのだと分かる。
「落ち着いて聞け、俺には何も見えない。恐らく人外のお前だから見えるんだろう。」
「そ、そんなぁ。」
恭一が見えないと知り、宵は頼れる者がおらず更にべそをかく。恭一たちツキ斬りは武器を持って生まれてくるだけであって、それ以外は普通の人間と一緒だ。しかし宵たちツキ取りは違う。ツキモノを喰らう、むしろツキモノ側と言ってもいい人外なのだ。
「泣くな! 」
しかし恭一の声が飛ぶと、それは宵の身体に染みわたり、自然と恐怖心が拭われる。冷静さが戻り、真っすぐに男の子の姿をすることができた。
「そいつは今どんな感じなんだ?」
「無表情でこっちを見ています、でも攻撃してくる様子はありません。」
不気味にこっちをじっと見ている。存在感をあまり感じさせず、最初は気付かなかったくらいだ。もし気付かなければ、そのまま通り過ぎていたかもしれない。しかし襲ってくる様子はまったくない。
「お前の考えでいい、そいつはツキモノか?」
怪しいものだからといって、それが全てツキモノとは限らない。時に物の怪やあやかしといった類のものもいる。時としてそれは人間の負の感情を喰らい、人に害を及ぼすツキモノに変化することもあるが、基本的に退治するようなものではない。
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更新履歴
7/3 理由更新
性 別 | 女性 |
年 齢 | 34 |
誕生日 | 1月28日 |
地 域 | 神奈川県 |
系 統 | 普通系 |
職 業 | 大学生 |
血液型 | B型 |