早朝、集会所に行くとそこにはOlenが太刀を研いでいた。
よくよくその太刀を見れば、歴戦をくぐりぬけてきたことが窺える。それなのに刀身が細くなっていたいのは、この男が丹精に太刀を研いでいるからだろう。今もその人研ぎ人研ぎに魂を込めるかのように研いでいる。
「で、お前の答えは?」
太刀から目を離さずOlenはRayに尋ねた。
「戦う……兄たちの仇を取るために。」
つまりそれは兄たちの死を認めると言うこと。昨日までは兄が生きていると夢を見ながら、その兄を守るためティガに挑んだ。しかし今日は違う。兄は死んだと認め、その仇を取るためにティガを狩る。
そこで初めてOlenは顔をあげて、Rayと目を合わせた。
「最初に会った時よりもいい目してるぜ、あんた。」
 Olenの太刀は、Rayの目を映す程に美しく磨かれていた。

 


ティガの亡骸を前にハンターを地に置く。ハンマーはティガの返り血で、切れ味もないほどにボロボロだったが、これをRayが使うことはもうない。これはここに置いて行くのだから。
「もうやることなくなっちゃった。」
兄たちを守ることがハンターになった理由だった。次は兄の仇をとることがハンターを続ける理由だった。じゃあ、今は?なんの理由もなくなったRayに、ハンターである意味が見いだせない。
 「じゃあ俺とこないか?」
 太刀を鞘に収めながらOlenが言った。Olenの瞳は、山下を見つめている。
 「俺が帰る予定だった村に仲間がいて、狩猟団をやってるんだ。馬鹿ばっかで、毎日騒ぐしか脳のない、お前の兄のように、村から愛されるような品行方正な狩猟団ではないけれど。」
 毎日酒と女に溺れるような自分とたいして差のないような、ハンターとしてどうなの?と疑問に思う様な奴らを思い浮かべる。
 「それでもハンターとしての腕も、誇りも、ぴか一の奴ら。俺の最高の仲間だ。」
 過去を乗り越え、今を生きる、素晴らしいハンターだ。そんな彼らの姿を見て、ハンターであり続ける理由を見出してほしい。
「お前に見せてやるよ、ハンターの生きる姿を。」
だから来いよ、と差し出された手を拒否する理由がRayにはなかった。




※あとがき
このあとOlenの問題ばっかりの狩猟団に仲間入りして、あーだこーだとかあるんですが、そこまで書く気にはなれなかった。ってかモンハンやってるんですが、設定とかよくわからないので。ラオシャンロンが町を襲うことがあるので、ティガレックスもお腹が空けば村を襲うかな?みたいな気持ちで書きました。けど書きたいことが何一つ書けなかったorz
どうしてモンスターを狩るのだろう。素材のため、食糧のため、身の安全のため、誰かを守るため。ゲームなのでそんなこと考える必要はないのですが、時々考えてしまうんですよね。それをちょっと形にしてみた小説でした。Rayには、誰かを守るために武器を持つのではなく、ハンターとしての誇りを胸にハンマーを振ってほしいです。
ちなみに双剣からハンマーに変えたのは私のことであったり(笑)