※現パロっぽい何か
続きです。
2012-1-3 10:14
上海滞在記 ニ
一旦荷物を置きにチェックインしたホテルで、あいつは部屋に入るなり固まった。
「!? …………」
「どうした?」
「……少し待っていてくれ」
言うと、あいつは先ほど手続きをしたばかりのカウンターの方へ身を翻していった。
旅券だけ買って、文字通り身一つだけで来た自分の代わりに
ここを手配してくれたのはあいつだったが、何か問題があったのだろうか。
ちなみに、何の齟齬もなく異国語を操って意思疎通していたあいつを見て、
またちょっと惚れ直したのはまったくの余談である。
とはいえ、今のところ誰もいないが、廊下でただ突っ立っているだけなのも手持ち無沙汰だ。
鍵は開いているので、部屋に入ってみることにする。
まぁ、許容範囲内の部屋だった。
壁紙は綺麗だし、タバコの臭いもしていない。
テレビもあるし、テーブルも古ぼけていない。
少し狭いが、値段と照らし合わせれば妥当だろう。
何より17階なので眺めがよかった。市内を一望できる。
日が暮れれば、きっと夜景が楽しめるだろう。
ただし、部屋の中央に位置しているベッドはダブルだったが。
(これか……)
事前にした電話では何も言っていなかったので、恐らくあいつは律義にツインを予約していたのだろう。
手違いか何かは知らないが、突然ダブルベッドがあって、あいつは驚いたに違いない。
恋人が共にいるなら、完全に下心があるようにしか思えないから。
だが。
(……必要か?)
ベッドが二つも。
そう思いながら、大きなダブルベッドに腰掛ける。
くっついて眠るならともかく、普通に横になっても何なら三人寝れそうなくらいベッドは十分広い。
……まぁ、どっちにしろ一緒に眠るのだから、変わりはないと思うが。
ガチャリ とドアが開いて、あいつが戻って来た。
ベッドに腰掛けているこちらを見て、一瞬ひるむも、ため息を吐きながら報告する。
「……二人部屋は、ここしか空いてないらしい」
「そうか。まぁ、いいんじゃないか?」
後半は胸の内だけで付け加える。
どうせ、遅かれ早かれそうするつもりは、どちらも同じなのだから。
atogaki
エロフラグをばきんばきんに立てて申し訳ありません。
そして拙宅のクラウドはスコールのことを好きすぎる。
スコールもちゃんと好きなのですが、クラウドがべた惚れすぎる。どうしたもんか、これ。
ダブルベッドだったのは実話より。
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