戦国BASARAとの異色クロスオーバー。
今回は、ちょっと無理やりすぎたかと思ってマス。
白い世界だった。
見えるのは、地平線まで続く薄い水の膜。
右を見ても左を見ても同じような風景が広がっているそこを、慶次は飽くことなく眺めていた。
「なーにやってんだ?」
傍らから掛かった声に、慶次は頬杖をといて顔を上げる。
黄金の髪に、碧い目をした彼はジタンだ。
たくさんの世界と、たくさんの人間が寄せ集められ、永遠に繰り広げられている神々の闘争――
そんな場所に迷い込んでしまった慶次が、現在世話になっている一人である。
古くからの付き合いである友によく似た声を持つジタンは、明るく派手好きで、
女子に対する姿勢が一致したこともあり、短い時ながら昔からの友のような間柄になっていた。
「いやぁ、こーゆー時は恋がしたいと思ってねぇ」
「お、いいこと言うな、慶次!」
興が乗ったらしいジタンは、身軽な動作で慶次の隣りに座った。
ふわりふわりと期待するように尻尾が揺れる。
「あの子、ティナちゃん、だっけ?
いい話はないのかい?」
「あー、ティナちゃんはナイナイ。
ほら、小さな騎士様が目を光らせてるからさ」
「なるほどねぇ〜。やっぱり、恋ってのはいいもんだねぇ!」
どーしてそーなるんだよ とジタンは けらけらと声を上げて笑う。
「フリオニールさんはどうだい?」
「あぁ、あいつは別の意味でないなぁ。レディと会うと固まっちまうタイプだから」
「そりゃあ難儀だねぇ! あぁ、でも、俺の知ってるやつにもそんなやつがいるよ。
『恋など破廉恥極まりない』って叫んでるのさ」
「そいつは大事だ! レディがいなきゃ、俺の世界は枯れ落ちちまうぜ!」
「いいねぇ、いいねぇ! やっぱり恋ってのは大事だねぇ!」
戦ばかりの世界。
一時だけ、澄んだ笑い声が響いていた。