・・・あぁ目が覚めたの。そう、良かった。
え?ここ?どこって・・・学校の屋上じゃないか。
ふふっ、君って本当に馬鹿だね。まぁそんなとこも可愛いだけどさ。
なに?僕をしらないって?
やだなぁ、ずっと傍にいたじゃないか。ひどいなぁ。
ずっと傍で、君を、見ていたんだけどね。
君が困っていた時は助けたし、君が嬉しい時はお祝いしたし、君が悲しい時は原因を排除したし。
そうやってずうっと君の傍で、君を見守ってきたんだよ。
君だって喜んでいたじゃないか。ねぇ違ったかい?

どうしたのそんな真っ青になって。寒いの?
ごめんね。本当は晴れた日にでも連れてくるべきだったんだけど、君にどうしても覚えてもらいたくて。
雨で体が冷えちゃったね。今あっためてあげるよ。
・・・ふふっ、こうやって触れ合うのは初めてだなぁ。
ずうっと、遠くから見ることしかできなかったもんなぁ。嬉しいなぁ。
あれ?そんなに震えて、やっぱり寒い?
ごめんね、すぐに終わるからね。

僕の世界は本当は君と僕だけで良かったんだ。
その他は付属品、おまけ、気にかけなくてもいい存在。
だけど、君は、その付属品が大好きなんだね。
なんで知ってるのって顔だね。ふふっ、可愛いなぁ。
言ったじゃないか、ずっと見守ってきたんだって。
君の知らないことなんて何もないよ。それこそ、あの付属品以上に、ね。 
奪ってしまいたかったよ。閉じ込めてしまいたかったよ。
でも僕は君を愛しているから壊したくなかったんだ。壊れた君も愛しいけど、 でもその瞳は曇ってしまうだろう?
混じりけのない、純粋で真直ぐに愛して欲しかったから。
嘘偽りなく、種も仕掛けもない正しい愛が欲しかったから。
いやだけど・・・本当に嫌だけど、君の恋を譲るんだ。
ねぇ、知って。僕は君を、愛しているよ。

ふふっ、君は気付いたかな?あの付属品に譲るのは恋であること。 
僕は恋を諦めたんだ。
でも、やっぱり全部をあいつに譲るのはしゃくだから、恐怖は貰うことにしたんだ。
ううん、恐怖もそうだけど、君の心に一生残るトラウマ。傷による悲しみを貰うんだ。
傷ついて、悲しんで、怖がって、君の心がそれで一杯になった瞬間、君の心は僕のものになるんだ。
ふふっ、理由はどうであれ素敵なことだと思わないかい?
あはは、そんなガタガタ震えちゃって。本っ当可愛い。食べちゃいたいなぁ。
涙しょっぱいね。君の目玉もしょっぱいのかな?
ね、食べていい?なーんてね。

さって、君に最後の愛を囁こう。
好き、愛してる、好いてます、君だけを想っているよetcetc。
陳家な愛の言葉しか使えない自分に腹が立つほど君の愛に溢れているよ。
・・・最後くらい、君に好きと言われて死にたかったなぁ。
ね、雨の日になるたび僕を思い出してね。
君を愛して愛して愛しすぎて狂ってしまった、死んでしまった僕を思い出してね。
君が応えられなかった可哀そうな愛を思い出してね。
ね、××・・・愛してる。さ よ う な ら


愛の壊レル音がシた

(そういって灰色の世界から消えた少年は) 
(数秒後にぐしゃっと音をたてて壊れてしまったの)