明日わたくし誕生日。
そんな40歳の最後の朝。
ニャンコは旅立ってゆきました。


東京から戻って、いつもの注射。
いつものお風呂。

お風呂のあとはだいたい疲れてグダっと眠っちゃうんだけど。
そのグダっとが妙に長くて、なんだか心配だった。
歯医者の予約があったのも私、忘れてた。
猫の体に良いと聞いたサプリを注文してみた。
2つの病気の程度は軽いらしいけど、18歳だし。
もしやもうダメなのかもしれない、そう感じはじめた。

でもいっぱい寝たからか、めっちゃ元気になって、
彼女的にはご馳走な猫缶を1個半ほどペロッとたいらげた。
普段はカリカリだもんね。

新しい猫砂をトイレに入れた。
病院でもらった糖尿の処方食も封をあけてみた。
相変わらずオシッコ垂れちゃんで、後ろ足が心もとないけど。
いつもどうり元気になった、そう思ってた。
オイラは外食でひどく酔っ払い。早めに寝た。

翌日23日、起きると部屋の前で鳴いている。珍しい。
なんのご用事かしら。
私の顔を見つけて歩き出す彼女の後ろ足が、おかしい。
踏ん張りが利かないのか、ドタッと倒れる。
そんな訳ないと何度も歩き出しては倒れる。
倒れこんだ彼女の顔とシッポは不満げだ。
「何で歩けないのよ、おかしいでしょ?」

出かける用事を今日は取りやめにした。
宅急便でサプリが届く。何だかもう意味が無い気がする。

猫ベッドに入れてあげても強引に移動する。
倒れる時の、骨がゴンゴン当たる音が痛々しい。
移動した先でオシッコ。
だからソコはトイレじゃないって毎度言ってるじゃん。
でももういいよ、倒れてもオシッコ場所まで歩きたかったんだね。

脱水状態の腎臓病だと間際に苦しむって知ったから、水皿に連れて行く。
飲むかな?飲めるかな?体を支えてあげる。
どうやら目も見えなくなったらしい。
アゴに水が付いてはじめて水皿に気付いて、ちょみっと飲んでくれた。
とうとう前足にも力が入らなくなった。
子猫の哺乳瓶で、サプリを溶かしたお水を飲ませる。
メインクーン(猫種)はお水が大好きだもんね。

私はベッドに入らず楽屋用毛布を引っ張り出し、猫のそばで一緒に過ごした。

猫図鑑で見た、フワフワの毛とキリッとした目つきのメインクーンに惚れて、東京から大宮のブリーダーさん宅まで迎えに行ったのが、べーちゃんだった。
彼女は子猫の時から高飛車な猫だった。
子猫らしく誰にでも興味をしめしたり、遊ぼうと飛び掛ったり。
そんな事はまずしなかった。
ご飯とお水をねだる時、家人が魚やスイーツを食べてる時。そんな時だけウルルンな瞳で見つめてきた。
まさにツンデレ。
1年前に亡くなった弟分、スコティッシュのちーちゃんの愛されキャラとは間逆だった。

そんな彼女が、猫ベッドから手をのばし、そばに寝ている私の腕にちょんと乗せる。
心細いんだろうなぁ。
飼い主の私のこと大嫌いのはずなのに、やっぱちゃんと飼い主って認識してくれてるんだね。
スースーと息をしてベッドに横になってる姿は、いつも通り寝ている彼女に見えた。
お腹や頭をなでてあげると、そのつどニャウと返事?をしてくる。昼間とは違う反応。

朝6時になって突然、喘息みたいな息の詰まった呼吸と顔をして、足をバタつかせる。
ほんの3・4秒。
それをもう1回して、短い呼吸になったと思ったら。
ふと気付いたら眠ってた。6時40分ごろだった。

聞いていたひどい最後とは、ぜんぜん違ったと思う。
長い時間苦しまずに良かったね。たぶんだけど。

看取って見送って。
なんか1日で、あっけないなぁ。今はそんな気分。
2年半、人に預けてた間に猫との距離感を少し作れてたから、そんな気持ちになれたのかな。
ずーっと一緒に居たまんまだったら、きっとしんどい今だったろぅ。
最後の2ヶ月を一緒に過ごせてよかったよ。
預け先の人に会えないままでゴメンね。
でもオイラが飼い主だもんね、いいよね。
仕事がしんどい時にも君が居てくれていっぱい救われたよ。
ツンデレの君にはうざい飼い主だったろうけど、ありがとね。

昨晩のザーザー雨が止んで、
冬に似合わないくらいのポカポカなイイお天気になったよ。
さよなら、べーちゃん。