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お願い上手3

「本当にごめんなさいね」

「助かったよ、ありがとう」

「これくらい大したことないから。いつも店でマルコとか瓶やら樽やら全力で積むしな」


エースがオススメだという場所で花火をみるために屋台の並びを抜けたところで、重たそうな荷台をひくご夫婦に出会った。
目的地近くだからと代わりに荷台を軽々エースが扱うのをみていて、こういう誰にでも無意識に優しくできるところは彼の長所だと再確認する。
まあ、それがエースの短所になるときもあるのだけれど。


「優しい子だね〜」

「そうだな。お嬢さんもよく気がつくようだし」

「だよな〜!自慢の彼女なんだぜ」

「なに言ってんの!私なんて全然。エースの方が」

「二人とも優しくて気がつく子たちだよ。ばあさんの手荷物持ってくれただろ?それにばあさんが歩きやすいように自分は歩きにくい道を選んで歩いてくれた。ありがとう」


にこにこ笑顔でお礼を言われて嬉しくない人なんていないと思うけれど、やっぱりこういうのは照れてしまう。


「そうですよ〜。御礼に冷やしたラムネでもご馳走させて下さいな」

「わ〜!丁度、喉渇いてたんだ!サンキュー!」

「ちょ、そこは遠慮するトコだから!」

「遠慮はいらん。スイカも冷えているぞ。良かったらウチの縁側で花火をみていくといい」

「え、いや、でもそんな…」

「サンキュー!じゃあ、コレ家の中まで運ぶな!」

「あらあら、助かるわ〜」


あなたはこのご夫婦の孫ですか!というツッコミすら言う間もなく(というか、スルーされそうだけど)あれよこれよという間に、まさに田舎のおじいちゃん、おばあちゃんのお家という感じの縁側に通される。


「あの、せめてお手伝いさせて下さい!」

「いいのよ〜、今日のお礼ですもの」

「どうしてもと言うなら、頑張ってくれたあの子に団扇で涼しい風をおくってやってくれ」


有無を言わさぬ笑顔で団扇を差し出されてしまって、大人しく縁側に戻った私はエースに風を送りながら二人を目で追う。

ラムネを用意してくれるおばあさんと、冷やしたスイカを切ってくれるおじいさん。

おばあさんがラムネを出して、おじいさんが用意したお盆に載せる。
おじいさんがスイカを切って、おばあさんが用意したお皿に載せる。

二人はとても自然にお互いを助け合って今まで過ごしていたのだろうと思える。


(なんだかいいな。こういうの)


ドキドキしたり、ワクワクしたり、そういう気持ちだけが恋愛じゃなくて。
ただ二人でいるだけで、お互いに満たされるのならば、それはどんなに素敵なことだろう。

私はエースにとって、そういう存在になれているだろうか。


隣にいるエースは「もうすぐ花火が始める」とウキウキしながら夜空を見上げている。
一緒にいてウキウキはしてくれてる、かな。
私にか、花火にか、はたまた食べ物たちかは不明だけれど。


「お!始まった!」


さすがはエースが野生のカン(?)で見つけた穴場付近なだけあって、夜空の花火を邪魔するものが一切ない。
絵葉書にしたらキレイに仕上がるんだろうな、なんて思いながら見入ってしまう。


「あのさ」

「なぁに?」


続々と打ちあがる花火とともに響きわたる音のせいだから、と自分に言い聞かせて少しだけ距離を縮めてみる。


「おれ、おまえと一緒にいるのが一番楽しいし、嬉しいし、落ち着くっていうか、とにかく、すっげー幸せだから」


……全く、何てことだろう。
どうしてこの人は私の望む言葉が分かってしまうのか。
計算し尽せる程のタイプではなく、本能でやってのけるから猶更タチが悪い。

私、今どんな顔をしていることやら。


「言葉で伝えるとか上手くないから、おまえにちゃんと伝わってるかわかんねーけど」


「ジュウブン伝わってマス」


「何だよ、そのカタコト!」


「真っ赤な顔の人が何を言いますか!」


「それはお互い様だろ」



お願い上手3



(あー、もう何だよ、この可愛いの!)

(あー、もう何、この可愛いの!)





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(出ていくに出ていけませんね〜)

(ラムネとスイカは、もう少し後にしようか)
▼追記

【title】予定確認


マルコやイゾウが「予定忘れられてねーか?」とか恐ろしいこと言うから不安になってメールしてみた。

あのさ、10月の約束、ちゃんと覚えてるよな?
手帳にシール貼ったりライン引いたりとかしてくれたよな?

なんかサッチが言ってたぜ。
女はそういう小さいモノとかカワイイモノとか好きって。
寧ろ大事な予定を書いて貰えないとか有り得ない!
って。

……万が一っていうか念のため。



忘れんなよー?
今回は前回以上に企画とか「あんそろ」とか楽しそうなことたくさんあるしな!

あとは弟がおまえに伝えておいてくれって言ってたのは……あ、これだな。




うまそーな名前だけど、ちなみにおれとの約束と同じ日。
だから、弟が何言っても騒いでも喚いても絶対に「二人で行こう」って誘いは断れよ?
何ならゲンコツとか平手とかやっていい。

おまえはおれの。
コレは弟でも譲れない。


……すっげー楽しみにしてるからさ。


エース


素敵に無敵エース

片田舎に激しい萌えが上陸いたしました(*´Д`)=з


大好きなはじめさんから、またもやナイスイケメンエースさんのイラストを頂きました!
小話をスクロールして頂くとイケメンエースが!!!!

私の妄想が形になっちゃったよ!
毎日ニヤニヤしちゃう材料がまた増えたよ!

はじめさんありがとうございます!!!

以下、はじめさんの描くエースへの萌えと愛。

▼追記

【title】デートの約束

前に言ってた約束、ちゃんと覚えてるか?

おまっ、まさか忘れたとかいわねーよな!
手帳に「デート」ってシール貼れよって言ったよな?
GWの予定は空けとけよー!



んで、詳しくはWEBにて!

あとは、秋の約束もしとかねーと。
もうちっと先だけど、おまえの予定は先に埋めといてもいいだろ?



GW以上に楽しいことがすっげー詰まってるし、ぜってー楽しいに決まってる!
今からちゃんと空けとけよ!



……すっげー楽しみにしてるからさ。


エース


▼追記

魅惑の年賀状

『あけおめ!今年もよろしく〜ってか、白ひげの年賀状みた!?』


新年早々、私の携帯電話は親友の声を響かせる。
相変わらず元気だなぁ、なんて思いつつも今朝届いた年賀状の中から、とびきり気に入った一枚を手に取り出す。
親友への返事は我ながら……惚れた弱みだった。


「うん!エース、かっこいいよね」


居酒屋白ひげからの年賀状は、スタッフ全員が着物姿で写っている。
可愛かったり、綺麗だったり、どうみても笑いを狙っていたり、ダンディーだったり。

その中でも私が一番気になったのはエース、っていうのはノロケでしょうか。


『マルコさんの男前度には敵わないでしょー!』

「うーん、どっちかっていうとエースは可愛いってコト?」

『今年もThe プラス思考で何より。ところで今から行くでしょ?一緒に行こうよ。何なら振袖着ちゃう?』

「え!?でも私、着付けとか無理」

『へーき、へーき。私がやったげるし!じゃ、30分後に行くから準備よろしくね〜。じゃ!』

「……切れちゃった」


とりあえず準備しようと思いつつ、もう一度年賀状に見入ってしまう。


「やっぱり、かっこいい」


緩む頬もそのままに、結局チャイムが鳴るまでボケッとして親友に怒られるまで残り29分。
今年も私は彼が大好きなんだと思う。


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(なあなあ、今日はあの子来ないの?)
(ん〜、どうだろな)
(……振袖で来るよい)
(ちょ、何でマルコが知ってんだよ!)
(情報網の差だよい)



▼追記
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