本日無事に普通自動車の免許を取得した。二人に一人は持っているこんな資格でさえ、落ちるのではないか、うまくいかないのではないか、みんな(それこそまだ高校に在学しているような女の子や男の子たちは)簡単に受かるのに私だけがうまくやれずに再試験になるのではないかと試験を受けている最中ずっと気が気でなかった。高校生の頃、時間いっぱい使って問題を解くことなんてなかったような気がするのに、こんな容易い試験でギリギリまで粘って結局手応えのあるような、ないような、そんな曖昧とした感触しか残らず、試験を終えた後の採点を待つ時間、再試験を受けるのにかかる費用を計算していた。緊張やら不安やらで手の色が変わる頃、もったいぶったアナウンスの後でようやく電光掲示板に受験番号が表示され、必死で数字の羅列を追った先に自分の番号を見つけた。219。あまり嬉しいとは思わなかった。それよりも恥をかかずに済んだ、再度受験料を払い込む事態にならなくて済んだ、と安堵した。手続きに向かう自分の顔はきっと不合格者のように青かっただろう。

帰ってきて彼に報告した後、今度の休みで旅行に行く計画の大詰め。しかし風呂から上がって、私はようやく口座の残高に思い至る。どうも来月の家賃が支払えないような気がする。気がする、気がする、気がする。私はなんてぼんやりと生きているんだろう。金を数えるのは怖い。減っていく金の計算をするのは怖い。怖いから気付かないふりをしていた。電話で彼に言うと呆れられた。そりゃそうだ。いい歳した人間のやることじゃない。

金が無いことに気が付いて、吐きそうになった。何も考えたくない。誰のことも考えたくない。自分のことなんて一等いやだ。こんな私の歩く道が続いている場所なんて、未来なんて、わかりきっている。でも、それを想像するのが怖いから私は何も考えないふりをする。見ないふり、聞かないふり、気付かないふり。どうしてみんなそんな風にしっかりと地面を踏みしめて立っているの?下を向いたら綱渡り。そうと気付いてしまうのに。踏み外すのが怖いから私は今日も地に足つけて生きていかれない。

逃げたい